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包囲

壁に空いた穴から侵入してきていたレッサーデビルとその周辺にブレスをふきつけるようエクテルグに頼む。


まだ接敵していないところへ放射状のブレスをエクテルグが吐いてくれる。

ゴブリンゾンビたちはそれでびびったりはしてくれないけど、レッサーデビルと空飛ぶイルカの関心をこちらにひきつけれたようだ。



奥の一角にたかっていた奴らもこちらに引き寄せることになった。

集中されてやばいかもと思ったけど、結果的にそれは正解だったようで、奥の一角でたかられていたのはアルティナさんとオーガたちだったようだ。


盾を構えたオーガたちが複数にたかられてしまったため防戦一方になってしまい、防御結界で支援して時間を稼いでいたようだ。


レッサーデビルからしたらずっと防御されていて破れないやつを相手にするより、俺たちという他の驚異に対処したほうががいいと判断してこっちに来たようだ。


すなわちそれはアルティナさんをフリーに近くするということで。



アルティナさんやオーガたちががその機会を逃すわけもなく、たかってきていた空飛ぶイルカを吹き飛ばした。

直後、付近にいたナーガラージャがアルティナさんたちのカバーに入り、ゴーレムやオーク戦士がそれに続く。


ナイスだ。あっちはもう大丈夫だろう。

問題はこっちだ。



エクテルグのブレスのおかげでゴブリンゾンビは当然として、レッサーデビルもこちらにはうかつに近寄ってこない。


しかし向こうには機動力が高いっぽい空飛ぶイルカと炎があまり効いていないレッサーデビルがいるから油断はできない。

完全無効でなくてよかった。


エクテルグのブレスの合間にライトニングを主にレッサーデビルに飛ばしていく。


そうやって今度はこちらが時間を稼いでいる間にアルティナさんたちの体勢は整っていって返り討ちにし始めていっている。

俺らの代わりに下がっていったゴーレムの投石による支援攻撃がかなり効いてくれているようだ。

ゴブリンゾンビとか避けようともしないしな。

なんだかやたら硬いからなかなか倒せてないけど。



軽い地響きがして何事かと思ったら、以前見たやつよりかなり堅牢そうな石の壁が壁に空いた穴を塞いでいた。


アルティナさんの魔法か。


まだ壁の向こうにたくさんいたみたいだし、素晴らしい。


その分が東門に流れてしまいそうだけど、ここを破られてしまうよりはましだろうし、向こうにはケリスさんがいるしな。


こっちも退路を阻んで包囲した形になったし、窮鼠猫を噛むをされないように気をつければこちらの有利だ。



ナーガラージャやオーク戦士、ナーガたちやアルティナさんが少しずつ敵の数を削っていく。


俺はエクテルグの支援といった感じで何体か倒した。


出入り口を塞いだので逆に包囲戦となり、どんどん敵を削っていく。


レッサーデビルが強いのは分かるけど、なんでこんなにゴブリンゾンビの耐久力が高いのかがわからないのが不気味だ。


リザードマンの村の近くで戦ったゴブリンゾンビは生身のゴブリンよりも弱かったのに、ここにいるやつらは不死の力を弱める結界の効果もあるはずなのにゴーレムと同等じゃないか、ってぐらいの耐久力がある上に、力も強いようだ。

ゾンビの割には早い動きで接敵したゴーレムをがんがん削っていく。到着した時ゴーレムが何体もやられていたのに納得できるほどだ。



まあそれでもエルテルグと俺のコンビと、アルティナさんとの無言の連携の方がまさってくれたようで、空飛ぶイルカもレッサーデビルもどんどん消えていく。


そうなのだ、奴ら死体を残さないみたいだ。


敷地内だからアンデッド化することはないんだけど、外であった時これは助かる。

双方死体が消えるってことはあの空飛ぶイルカも魔属かその眷属なんだろうな。



この辺にいたゴブリンゾンビをほぼ討ち果たし、残るはレッサーデビル二体と空飛ぶイルカ数体といったところで奴らの集団の中央にボールライトニングが打ち込まれた。


俺は使えないし、アルティナさんは最後のゴブリンゾンビを倒しているところだったので、違う。


誰だ?


と振り返るといつの間にか後ろにカッシオとハギルがいた。

加勢に来てくれたようだ。


ボールライトニングの影響が消えた瞬間、ハギルが突撃し、かろうじて生き残っていたレッサーデビルを一刀のもとに切り捨てた。



「まあほぼ終わっていたようだがな。さあ東門へ戻るぞ?」


カッシオが偉そうに言う。俺たちとアルティナさんやここの防衛をしてくれた皆が苦労してできたことだぞ。


まあ確かにこっちは穴を塞いでしまったので東門へ敵が流れているのは確実だろうから、急いで戻らないと。

アルティナさんはナーガラージャたちの負傷者の撤退を手伝っているようだし、ここにも見張りは必要だろうからおいて行くことにした。



「クレイトさんは?」


移動中手短にカッシオに聞いた。カッシオやハギルがこちらに戻っているなら、もうクレイトさんも戻ってきているはずだし。


「ああ、クレイト様は北に向かわれた。おそらく北にいるのは兄上、魔王だろうし、我も完全な状況で当たりたい故な」


東門を攻められたまま魔王の対処はできないってことか。まあクレイトさんなら一人で魔王を倒してしまいそうだけど。



東門に到着すると、やや戦線が後退していて、敵の数が増えている感じだった。


やっぱりこっちに流れ込んでしまったようだ。けど包囲はできてるからまだ挽回はできる。



「ナーガラージャとアイアンゴーレムは前に。突出はするな、囲むんだ。オークとナーガ、ゴーレムは前に出た者の支援を」



今まではこちらも数に任せた包囲をしていたようだけど、さすがにそれでは負傷者が続出するので、指示を出した。

ドゥーアさんもさっそく指示に乗ってくれたようだ。



「申し訳ありません。大まかな戦略程度なら分かるのですが、戦闘の個別指揮まではなんとも……。ただの町長ですので」


まあそうだろうな。俺はゲームとかでそういう知識あるけど、町長が戦闘でどうすればいいとか想像もつかないよな。

むしろ包囲してるだけ偉いと思う。実際戦闘しているナーガラージャですらよくわかってないようだし。



交代して下がってきた者たちにはユーリアがポーションを分け与えていた。


うちは回復魔法使えるの少ないもんな。


東門を中心として綺麗な円で囲むことができた。


ゾンビたちは恐れず囲みを破ろうと突っ込んでくるけど、そこはナーガラージャが応用を効かせて一瞬下がって三方から袋叩きにしていた。


あまり制御されてないようでゴブリンゾンビたちは単独で突っ込んでくるだけなので対応できた。


たまにレッサーデビルや空飛ぶイルカがゴブリンゾンビに便乗して囲みを破ろうとしたけど、そこは俺やカッシオ、ハギル、ケリスさんやドゥーアさんが火力で潰していく。



同時に連携して囲みを破ろうとはしてこないので、おそらく指揮してるやつはこの中にいないのだろう。


レッサーデビルもただの駒、小隊長程度のようだ。


しかし指揮官なしでこんな数を投入してこないと思うのでぜったいどこかに指揮官がいると思う。



東門からさらに一団が入ってきた。


翼の生えたレッサーデビルのような大型の魔属を二体引き連れて、偉そうな軍服を来ている人型だった。


もう見ただけで指揮官と分かる風貌だ。



「ふん、マルモンか。魔力がやや高いだけの平凡な、しかし大魔王直属の魔将だな。周りの二体はグレーターデビルだ」


カッシオはそう言うけど、魔将レベルで魔力が高いと言われるのであればだいぶとやばい相手なのでは?


慌てて俺は周りにマジックシールドをかけていく。


それを見てくれたか、ユーリアや一部のナーガやオークたちもマジックシールドを使い出す。



「離れたままでは不利だ。突撃するぞ」


「お、おう」


慌てて剣をアポーツする。エクテルグは降ろしてユーリアを守ってもらうよう伝えた。



グレーターデビルらが、囲んでいるゴーレムやオークたちに向けてファイアーボールを打ち込んできた。


けっこう密集していたので巻き込まれた者は多い。

けど大半がすでにマジックシールドを受けていたようで、一発で壊滅とはならなかった。



しかしその一角が崩れたのは間違いなく、そこに殺到、突破されてはお終いだ。

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