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ドラゴニュート

とりあえず西に移動して迎え撃つ形にしようと思う。


そう皆に伝え、移動を開始する。


こちらの集団には頼んだドラゴニュート二人がついてきてくれるようだ。

それとドラゴニュートは触っていれば念話が出来るらしいし、大きい方は人間の言葉も理解できる、そうだ。助かる。



不意に接敵しても大丈夫な感じにカッシオとダンジョウ、ハギルを前面に出した陣形で東へ進む。


リヒューサはまだ竜化せず人のままでいてもらった。わざわざこちらから位置を教える必要もないと思ったので。


俺の護衛はそのリヒューサだけでいいと思っていたけど、ドラゴニュートの二人は俺の護衛をすることにしたようだ。



ドラゴニュートのうち一人はトゲトゲのあるリザードマンといった感じで、他のリザードマンと大差はないのだけど、もう一人のドラゴニュートはまだ子供のようで明らかに小さい。


大きい方のドラゴニュートが肩に手をおいて念話で話しかけてきた。



『こいつは最近ドラゴニュートに生まれ直したばかりだから小せぇんで進軍には不向きだ。けどブレスをはけるから戦力としては一人前だと思う。リュウト様が抱きかかえてくれたら移動も問題なくなるし、護衛になるし、念話も出来るからいいと思うんだが、どうだ?』


火炎放射器を持って歩くって感じか。確かにこんな小さい子に歩かせるのは当人も疲れるだろうし、速度の問題もあるな。俺も剣は持ってきてるけど無詠唱の魔法のほうが役に立つだろうし、いいか。



大きなドラゴニュートの足元についてきていた小さなドラゴニュートを抱きかかえる。

思ったよりずっと軽かった。しかしけっこうとげとげしてるのでなかなか難しい。

大きなしっぽも抱きかかえるのには邪魔だ。


ふとグーファスを思い出して肩に座らせることにした。俺の肩幅はグーファスに比べたら狭いけどこの子の分ぐらいはあるし、しっぽが絡んで固定するからいい感じだった。


『よ、よろしく』


小さいドラゴニュートから念話が届いた。


『ああ、よろしく。いつまでも小さなドラゴニュートという認識ではいろいろとアレだから名前を教えてくれないかな?』


念話は出来るらしいから通じると思うがどうだ?



『エクテルグ、です』


エクテルグ、なのか。しゃーしゃーしか言ってない気がするけど、なんか意味がある名前で翻訳したらそうなるとかなのかな? 念話は便利だけどそのへん不思議機能だな。


『わかった、エクテルグ、よろしくな』



それなりに警戒しながら西に進んでいった。


湿地帯が終わり森になっているところで止まった。


森の中に入るのはこちらは人数が少ないから危険と判断したから。



森を出てきたところで迎え撃つことにした。


カッシオとダンジョウは陸の上、ハギルとリヒューサ、俺達は湿地帯の上だ。


俺にはもちろんないけどナーガラージャにもドラゴニュートにも湿地帯に適正があるらしいから。



カッシオとダンジョウが前衛、ハギルと大きなドラゴニュート、名前をフファンというらしい、は中衛で魔属ズの討ち漏らしを担当してもらう。


俺とエクテルグ、リヒューサとそしてさっき跳んできたクレイトさんは全体の支援だ。



森の向こうから地響きみたいな音が聞こえてくる。相当な大軍みたいだ。


ダンジョウは前に見た鎧と日本刀、カッシオはローマ時代みたいな鎧と金属製の槍で待ち受ける。


ハギルは二刀流の剣、フファンは両手持ちの大きなハンマーだった。



『さて、くるみたいだ。皆気をつけてくれ』


クレイトさんが念話を飛ばしてくる。全方位ではないようだ。おそらく他の皆にも飛ばしているのだろう。そういうところはすごいよな。


ウレイトさんが言ったとおり、二本脚で走ってくるとかげ、有り体に言えば小さめの恐竜に乗ったおそらくゴブリンが五体、こちらに駆けてきた。


ゴブリンは槍を持っている。騎兵かな。

こちらを見るなり襲いかかってきた。



おそらく、と言ったのは緑色で耳が尖っていて鬼のような顔つきの小人だったからだ。


こっちのゴブリンは見たことなかったけどイメージ通りの姿をしていたので間違いはないと思う。


こんなところで敵対者として出会ってるし。



それよりもそのゴブリンが乗っている動物だ。あれ絶対恐竜だよな。


たまにああいう小型の恐竜が馬代わりに使われているってファンタジーはあったけど、この世界ではゴブリンの騎獣のようだ。


正直ゴブリンの持っている槍よりその恐竜の噛みつきの方がやばそうまである。



そんなゴブリン騎兵の攻撃はダンジョウに集中した。


カッシオは槍だから反撃を恐れたのかもしれない。


知恵が回る奴らのようだ。



クレイトさんと俺、リヒューサがマジックミサイルをそいつらに撃つ。


攻撃対象がかぶってしまって二体が落馬、じゃないな落竜した。


ほぼ同時にカッシオがどうやったのか分からないけど一体のゴブリンを貫き、落竜させる。


ダンジョウには二体が襲いかかった。



最初の突撃攻撃、チャージはあっさりかわし、続いてチャージしてきた二匹目の槍を刀で滑らして受け、騎上のゴブリンを斬りつけるという器用な真似をダンジョウはしていた。やっぱ相手が悪かっただけでダンジョウって強いよな。


チャージがすかった一匹目はその奥にいたハギルに突っかかっていったけど、ゴブリンとともに噛みつき攻撃をしてきた恐竜もろともハギルに細切れにされていた。


南無。


チャージできなくて騎兵ってだけでは体を伸ばすととても背の高いハギルの相手にならないよね。相性が悪すぎる。



続いて森から地響きが聞こえてくる。そんなゴブリンの大軍なのか?


「リヒューサ、竜化は魔王が出てこない限り控えてくれ、逃げられても困るから」


うへ、クレイトさん、殲滅する気だ。まあたびたび東が驚異になってるからなぁ、この期に一掃して憂いを無くそうといった感じか。まあでもリヒューサは竜にならなくても優秀な魔法使いだから戦力ダウンってことにはならないからいいけどさ。



森から地響きを立てて現れたのは、ティラノサウルスだった。


え? まじ? まーティラノなのかアロなのか、俺はそこまで恐竜に詳しくはないから、細かくは分からないけど、あの頭が大きくて前腕の小さい、二本足で歩く暴れん坊なイメージのあの恐竜だ。


さっき小型の恐竜が現れていたから不思議ではないんだけど……、ファンタジーなのに恐竜か。まあドラゴンがいるんだからまったくおかしくはない、かな?


そんなどうでもいいようなことを一瞬で考えて、雑念を振り払う。


「腐肉喰らい?! なぜ今こんなところに?!」


ハギルが声を上げている。どうやらティラノはここでは腐肉喰らいらしい。前からその腐肉食らいという名前は聞いてたけどティラノだったのか。まあこいつならゾンビでもばりばりいってそうだ。


腐肉喰らいは吠え声をあげてこちらに威嚇してくる。明確にこちらに敵対している。


その目は一番近くにいるカッシオをずっと見たままだし。



腐肉喰らいがいきなりダッシュしてきてカッシオに噛み付いた。噛み付いたというか大きいからパックンチョって感じだけど、幸いカッシオはうまく避けて空気を噛んだだけだった。


カッシオの動きが早すぎて一口で食べられてしまったかに見えたよ。


空を切ったことに気づいた腐肉喰らいがすぐ近くにカッシオがまだいることに気づいて二度三度噛み付く。しかしそのたびに空を切る。明らかに反撃できるのにカッシオは反撃しない。


おちょくっているようだ。



それに気づいたのか腐肉喰らいが再び吠え、その場でぐるりと回り、しなやかで太い尻尾攻撃をしてくる。風圧がここまで及んできそうな攻撃だったが、カッシオは人間には不可能なレベルでジャンプし、腐肉喰らいの眉間に槍を叩き込んでいた。


着地したカッシオはすかさずライトニングを放ち、腐肉喰らいの眉間にささった金属製の槍に当てていた。



刺されたときはそれほど大きな反応をしめしていなかった腐肉喰らいがその一撃を食らって、体をびくんと振るわせてから地響きを響かせて倒れた。


眉間に槍を刺されても致命傷にはなっていなかったようだ。

しかしそこにライトニング、すなわち電気を流されてはさすがに無理だったのだろう。


脳が小さくて槍が届いていなかったとしても頭部に電気を放射されてはさすがにね。

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