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答え合わせ

「あとですね、これは皆の了承を得てからになると思うのですが、私が持つすべての権限をリュウトおよびユーリアに譲り渡そうと思っています。私はただの後ろ盾になろうかと」



今ここにユーリアはいないので確かに決定とはならないだろうけど、結構な爆弾発言だ。

もちろん俺も聞いていない話だ。

似たようなことは前から言われてはいたけど、今このタイミングなのは驚いた。



「いったいどういうことですか? 我々はクレイト様についていくつもりなのですが」


ハギルが焦った感じでクレイトさんに問い詰める感じで発言した。うーん、ハギルの立場を考えるとそうなるのも仕方ないよなぁ。



「ハギルの発言は嬉しいけど、忙しくなりそうなのでね。もちろん僕も直接君たちに頼むことはあると思うけど、基本はリュウトやユーリアに任せるというだけさ。彼らの言うことは僕の言うことだと思ってくれていいよ」


「それってカッシオ関連で、ってことですか?」


今のところ俺だけが知っている情報なので、あえてここで質問してみる。



「ああ、そうだね。約束もあるし、世界のことも考えると、他の魔王を放置するわけにもいかないからね。だから僕がここを離れることも増えそうだからね。ですから大司教とアンソニーくんにはリュウトやユーリアを支えていただきたい、皆さんの領分の範囲でね。もちろんこちらもそちらに報いることになるでしょう。そのへんお二人はよく分かっていただけていると思うのでね」



アンソニーさんはクレイトさんに深々と頭を下げた。大司教は立場があるからそんなことは出来ないみたいだけど片手を上げて賛同してくれた。二人の助力の保証はたいへんありがたい。


「また時間を作って領主様のところへも挨拶に行くよ。ドゥーアくんには引き続きエテルナ・ヌイの管理を、ケリスくんには主にエテルナ・ヌイでのリュウトやユーリアの護衛を今後も続けてもらいたい。まあもしかすると魔王戦のときに手伝ってもらうかもだけどね」


二人共最敬礼な感じで頭を下げた。この二人に関しては俺が仕切るとかは難しいし、任せたい。


俺はどちらかというと屋敷の方の管理だね。ユーリアの代官みたいな感じか。



「まあ細かいことはおいおいやっていこうか。とりあえずあれの決着をつけないとね」


といってクレイトさんが向こうを見る。ダンジョウとコインゴーレムの戦いは続いていた。パッと見ではダンジョウが押されているように見える。コインゴーレム強ぇ。



皆で戦いの成り行きを見守っていると、コインゴーレムが突然爆発したかのように飛び散った。


ダンジョウがなにかしたのか? いや、コインゴーレムが自爆みたいな感じでわざと飛び散ったようだ。


飛び散った金貨が散弾のようにダンジョウに襲いかかる。


ダンジョウは当たったらやばいところだけ弾き返しているようだ。そんな中ダンジョウが攻撃に転じた。


あれだ、どうやってるのか分からないけど、剣による衝撃波飛ばしだ。


コインゴーレムがいた場所に浮いていた、明らかに特別なパーツっぽく赤く光ったコインが両断される。



その瞬間金貨の爆発散弾が止まる。コインゴーレムのコアが壊されちゃったってことかな? 足を形作っていたコインもざぁーっと形を失っていく。


どうやらコインゴーレムはダンジョウに倒されてしまったようだ。


ダンジョウがクレイトさんを見る。クレイトさんは動かない。


ダンジョウの周辺に張られた戦闘フィールドとなっている結界はまだ解除されない。



「まだ終わってないよ」


クレイトさんのその一言と同時に崩れていったはずのコインがダンジョウの近くに集まっていく。


ダンジョウは退避しようとするけど、その足をコインで出来た腕に掴まれてしまっていた。


「バカな? コアと思われるものは破壊したぞ?!」



その腕を外せず、一度切ったけど、金貨の集合体である腕はそのままダンジョウの足を掴み続けており、すぐに元の体が復元された。



「構造上コアをなくすことは出来なかったけど、僕は弱点をそのままにしておくのが大嫌いでね」


クレイトさんは自身の弱点であった属性をも予め克服している人だし、不可能でなければ弱点は残さないであろう人だ。


……もちろんダンジョウはそのことを知らないだろうけど、俺の記憶を読んだカッシオには分かるはずだ。



元の姿を取り戻したコインゴーレムが大きく振りかぶり、ダンジョウを地面に叩きつける。


その瞬間にコインゴーレムの手首を切って脱出には成功したものの、地面にしたたかに打ち付けられてダンジョウがもんどりうつ。



「もうよいのではないかダンジョウ。クレイト様の力、思い知っただろう?」


カッシオがダンジョウにやれやれといった感じで話しかける。ダンジョウはカッシオのほうを見るが、無言だ。


コインゴーレムがまたコインを全方位に飛ばし始めた。先程破壊されたはずの赤いコインがまた中心部分に浮いている。



「ばかな?!」


「ふん、やれやれ、お前は気づかなかったのか? こいつにはコアが五つあるぞ。いやコアは一つだが、サブコアとも言えるものが他に四つある。そのサブコアがすぐにコアを復活させていたではないか」


ダンジョウが目を見開く。気づいてなかったようだ。もちろん俺は……気づいてなかったよ。



「くっ、カッシオ様の言った通りのようですね。私にはこいつを攻略することは難しいようです……」


ダンジョウが攻撃を受け流しながらクレイトさんに降伏を申し入れた。


クレイトさんはにこりと笑ってその降伏を受け入れて、コインゴーレムを止めるのではなく結界内に入っていった。


クレイトさんの周りには魔法障壁でもあるのか、クレイトさんには金貨の散弾は当たっていない、寸前でなにかに当たって落ちていっている。


「急ぎで作ったコインゴーレムを止める方法は倒すしかないのですよ」


とか言いつつ。



ダンジョウをかばう位置に立つクレイトさん。コインゴーレムは結界内に入ってきたクレイトさんに一瞬戸惑ったような感じで散弾を止める。


しかしすぐにクレイトさんに殴りかかってきた。


「本来、宝物を守るためだけのトラップのような守護者だからね。主人が誰であるかとか儀式なしでは設定できなかったんだ」


そう言いながら無詠唱でクレイトさんがマジックミサイルを放つ。

五発の弾が胴体と両手両足に一つづつヒットする。ヒットしたところに赤く光るコインがあらわになる。


そこにもう一度無詠唱で発動させたマジックミサイルがそれぞれ赤いコインを破壊する。



とたんにコインゴーレムが人の姿を保てなくなってコインの山に戻る。


「とまあ、これが答え合わせだよ。五箇所の同時破壊でないとこいつは止まらない」


……答え合わせも何も、あんな威力の高いマジックミサイルを二連続で的確に放つとか、クレイトさん以外に出来るの? って思うんだけど。


ダンジョウも答え合わせの意味を悟ったのか、うなだれている。



「カッシオ様と共についていきたいと思います」


頭を下げたままダンジョウがクレイトさんに降伏?した。


「うん、いいけど、条件が二つある。一つは君が今までつかえていた大魔王の現在の位置を教えること。二つ目はギアスを受け入れること」


「ついていくと決めた以上、逆らいません。大魔王イスカリオ様の現在位置のおおよその距離と方角でよろしいでしょうか? この土地の地理が分からないので、相対的な位置しかわかりません」


「ああ、それでいいよ」


「……ここより南東、五百キロほど先でございます」

ここから南は帝国でその東に都市連合があったはず。都市連合に紛れ込んだのか。


帝国を攻めるとの噂もあったし、ややこしいとこに降りてきたっぽいなぁ。


それとイスカリオって大魔王が都市連合なら、もう片方の魔王はゴブリンの土地に降り立ったに確定っぽい。

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