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バフ掛け

墓参りが終わって、皆で模擬戦をやる場所へ戻ってきたら、馬車が数台とまっていた。


シャイニングホライゾンもきたようだ。今急ピッチで荷持を下ろしている。



普段人前に出ない義体の方々も手伝っているようだ。

今日は忙しいもんな。


偉いさんも複数きてるからドゥーアさんとケリスさんが動けないってのも大きいと思う。



子どもたちのいる場所には数体の見たことのない木製のゴーレムらしきものが立っていた。


おそらくクレイトさんが作ったゴーレムだろう。

やたら肩幅があって腕が四本生えている。


ウッドゴーレムが子どもを二人、両肩に座らせていく。

そして小さい方の腕で子どもたちの肩を持った。


あの腕はジェットコースターとかで見かける安全バーみたいなものか。


それなりの身長があるので見る位置も高くなるし、子どもたちは喜んでいるようだ。

年長組以外の子どもたちはウッドゴーレムに乗り込み、アエラスとフレデリックだけがそのままでいるようだ。


あまったゴーレムはそんな二人の隣にたっている。



「シムーンくんの指示を優先に動くようにしているから、頼むよ。万一のときはすぐに転移門から逃げてくれ。もちろん私もジャービスさんやアルティナくんも制御権を持っているけどね。普段は子どもたちの指示で動くようにしている」


「はっはい!」


ちょっと青くなってるけどシムーンさん大丈夫だろうか。ジャービスさんも近くにいるから大丈夫だとは思うけど。


「クレイト殿、これは面白そうですね、私にも一つ出せるでしょうか?」


なんか大司教が食いついてる。


「私は背が低いからこれに乗れたらありがたいのですが」



確かに大司教はもうお年だからか背が低い。けどたぶんそれは言い訳で純粋に興味があるのだろう。


「ええ、いいですとも。大司教様にならおまかせ出来るので全体の制御権もお渡ししてよろしいですか?」


「はい、魔力的に制御は私が適任でありましょうし。万一の場合も私の方が慣れているでしょう」


ついていきている護衛の方々が困った感じだ。好き放題する御老公に付き合う助さん格さんみたいな感じかな?



シムーンさんは申し訳無さそうに、大司教に頭を下げていた。


護衛の方に我々もお手伝いします、と言われて、少し安心できたようだ。

おかげで過度な緊張からも逃れられたようで結果的には良かったのかな。


大司教ともなれば修羅場の一つや二つぐらいくぐってそうだし、自信ありそうだし。護衛の方々がついていてくれるのは助かる。



さて模擬戦の準備しなくちゃ。あまり人前ではつけたくはないんだが、魔力を上昇させる各アクセサリのうち、イヤリングをつける。


他のはすでにつけてきている。


これでワープが使える程度には魔力が上がった。他の魔法も威力が上がるだろう。



首を左右に降ってみて激しく動いても問題ないことを確認して、アポーツで剣と盾を呼び出す。ポーションはすでに持っている。



横でユーリアも自分の剣をふって確かめたあと鞘に収めて、短い杖、ワンドを取り出す。

いつの間にそんなものを。魔法使いとして動いてくれるようだ。



物資の移動が終わったようでダグサさんたちもこちらにきた。ファニーウォーカーやシャイニングホライゾンの面々も完全武装でこちらへやってくる。



屋敷の者たち、ファーガソンさんもこちらにきた。


黄昏の放浪者の二人アレックスさんとビルデアさんは久々の完全武装だ。


そして指示通り多くの人が弓を持っている。



ウッドチャックさんは事前に聞いていたとおりものすごく大きな弓を持って大剣をかついでいる。

大剣がサブウェポンとかすごいな、と思う。



ファニーウォーカーの面々も装備自体は普通のようだ。


特に破術師という知らない役目のラピーダさんは革鎧にフードマントをつけていて武器は持ってないように見える。


武器を持ってないってことは魔法使いみたいなものなのかな。なんか特殊能力みたいなの持ってたし。



ハギルたちも向こうで続々と集まっている。


大きな盾をもったオーガたちだけがこちらにやってきて、準備運動していたファーガソンさんのもとに跪く。

体の大きな異種族であるオーガがファーガソンさんに跪いたのは大きいようで、警戒した感じだった冒険者達が一様に力を抜いた。



ファーガソンさんは頭にインカムみたいなものをつけていた。


クレイトさんによるとマジックアイテムらしく、確かに大きな魔晶石もはめ込まれていた。


対応する指輪に念話を飛ばしたり拡声の魔法を発動したりできるらしい。たぶんこれ国宝クラスのマジックアイテムだぞ。



指輪は各パーティーのリーダーに配られて、俺みたいな個人には各々配られた。



「向こうの大きなナーガラージャ、名をハギルというが、彼に異種族の指揮は大まかに任せています。冒険者の皆様は私ファーガソンが直接指揮させていただきます」


もちろん全員に事前にそう説明してあるので異論はない。


「では各自効果の長いバフをお願いします」



強化魔法をかけるように指示が出た。


子どもたちのところで控えていたロメイさんが聞きつけて、抱っこしていたベルカちゃんを一時シムーンさんに預けて、こちらに駆けてきて、黄昏の放浪者の二人と俺とユーリアに魔法をかけてくれる。



かけられた魔法はフルポテンシャルという身体強化魔法とエノジーゼックという痛み止めの魔法らしい。


痛み止めの効果ということだけど実際にはあまり痛みは軽減できず、痛みによる怯みを抑える程度らしいがドラゴンのブレスのような攻撃には効果が高いらしい。



フルポテンシャルの効果は大きく、剣の素振りが普段よりも早く力強くなってる気がする。名前負けしていない高い効果だ。


ただ、それらを四人分かけるのにはかなり魔力を消耗させてしまったようだ。

特にフルポテンシャルは奥の手だったらしいのでその分魔力消費も大きいのだろう。

魔法をかけるだけで戦わないと分かっていなければ四人にかけるのは負担なものなのだろう。



他のパーティーを見てみると、ファニーウォーカーも同じ選択だったようだ。

ただフルポテンシャルをかけたのはトレイスさんにのみだった。やっぱり魔力的にきついのだろう。


リュハスさんはこのあと戦いに参加するんだし。

エノジーゼックはラピーダさんをのぞく全員にかけている。

ラピーダさんにだけバフをかけないのはなにか意味があるんだろうか。



シャイニングホライゾンはフルポテンシャルではなく相手によって魔法を使い分けていた。


名前だけ聞く限りではフルポテンシャルの下位で、フルではない身体強化魔法のようだ。

人数も多いし魔力的に厳しいのだろう。

こちらもエノジーゼックは全員にかけていた。

ドラゴンのブレスに対抗する手段として広く知れ渡っているようだ。



ケリスさんとアルティナさんのコンビは二人しかいないためかフルポテンシャルとエノジーゼック以外にもマジックシールドにフォースシールドという物理攻撃をある程度軽減するという魔法もかけていた。


さすがにアルティナさんはレベルが高いようだ。

グーファスにも魔法をかけているとわからないようにかけていたようだ。


無詠唱とかいろいろ器用なことが出来るアルティナさんならではだ。

ついでという感じで近くにいたオーガたちやレミュエーラにもエノジーゼックをかけてくれていた。



ちなみにファーガソンさんは基本的に戦わず指揮をするだけなのでバフはいらない宣言をしていて、自分で自分にエノジーゼックをかけていた。


ドラゴンブレスに対抗するためではなく現役時代、毒物に対する抵抗力をあげるために使っていたらしい。



ハギルの方はハギルと一部のナーガラージャ、ナーガたちが一斉にバフを使っていた。



オークで魔法が使えるのは一人だけのようだ。

その一人では全員をカバーするのは無理なので、ほぼ全員が魔法を使えるっぽいナーガがオークたちにかけているようだ。



ゴーレムたちは瓦礫置き場に数体単位で固まっている。

数は少ない。


今冒険者達がいる場所から一番誓い瓦礫置き場にはアイアンゴーレムが固まっている。



思ったより少ないのはゴーレムをエテルナ・ヌイの防衛に使っているからだろう。模擬戦をしている間になにかに侵入されてもアレだしな。



さて、バフもかけ終わったし準備は完了した。


しかしまだリヒューサがどこにもいない。後方にいるクレイトさんの方を見るとこちらに気づいたようで上を指差す。


ん、上? と思って上を見上げるとほぼ同時に曇天を突き破って空から派手に颶風竜が舞い降りた。リヒューサはかっこよく着地し、こちらに向かって軽く吠える。



その様はゲームでの戦闘開始時のようだ。

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