エリカ・Erika
~collaboration~
著;白&白米
寂しさ
私がそれなりに高い処まで昇って来て、君は何だか悲しそうにして。
漸く降りて下の下に籠って、君は何だか勇ましくなって。
仲間の接吻を落とした時に、君は覚悟を決めた様で。
小さな体を必死に伸ばして、何時も通りこう告げるのだ。
『手前が死んだら手前を殺す。精々必死で生きていやがれ』
勿論だ、君がいなくては私は。
『とても寂しいからね』
どんなに罵り合ったって。どんなに殺し合ったって。
何時までも笑い合って。何処までも愛し合って。
何時か結ばれた暁には。
死が世界を分かつまで________。
孤独
在れが出て行ってから気づいたことがある。
無いのだ、あるものが。
何時も肌身離れず傍にあった物だから、暫らくはその虚無感に気づきもしなかった。
否、気づかないフリで自分を保っていたのかも知れない。
きっと浮かれていたのだ。この距離は、絶対に離れないと。
そんな物は無かったのだ。一生そばから離れぬ物など。
彼奴が姿を消すなんてこと、考えたことが無かった。
手前は何時もふらふらと何処かをほっつき歩いて。
何時も何処か寂しげで。
何時も冷酷な目で他人を見て。
なのに何故か時折泣きそうで。
手前のせいで沢山の被害を受けてきた。
何処か掴めないような笑顔の裏に、
一体どれ程の孤独を抱えていたのか。
『可哀想に』
在る一人の孤児に目を向けて言った言葉。
あの言葉は自分自身にも言っていたのでは無いか。
幼い頃に両親と死別したあの孤児と、
自分を重ね合わせているのではないか。
あの時の手前の目には黒い何かが写っていた。
この世は残酷で、
生きている大半が幸せならば
ごく僅かの命はなかったことになる
消されてしまった魂は
もう戻らない。
失ったものは手に入らない。
割れたガラスは直らない。
そのガラスから漏れ出した感情を
誰も拾い上げることは
出来ないのだ。
『もういいよ』
俺を止める手前。
その眼に映っているのは“悲しみ”
一体何が手前を悲しくさせているのか
俺には分からない。
『君は優しすぎるんだ』
亡くなった仲間の前で嘆く俺に
手前は言った。
感情というものを無くした手前は
どこか遠くを見ていた。
ガラスから漏れ出した感情の液は
まだ掬い取れない。
雨の日、手前は上を見上げる。
まるで誰かを探すように。
雨に打たれた手前の背中からは
寂しさがあふれ出していた。
『雨はいいね。泣いたってばれないでしょう?』
あぁ、そうだ。
手前は泣いていたのだ。
空っぽになった心を自分の涙で
埋めようとした。
無理なのだ。
自分の負った傷は
自分では永遠に治せない。
お前の傷を治すのは
『いつだって俺の役目だろうが』
お前は俺を置いて行ってどんどん上へ昇っていく。
主従関係とかなんとか
くだらねえ話なんてどうでも良かった。
俺は手前の隣にいる。
手前を止められるのは俺だけで
俺を止められるのも手前だけ。
この手綱を離したら
きっと手前は消える
それがわかっていて
俺は離したのかもしれない
手前はいつだって
自分を大切にしなかった。
『手前の身体はもう手前だけの物じゃねぇ』
傷だらけのその身体に
また傷が増えていく
上に昇りつめればつめるほど
傷は深くなった。
ガラスから漏れ出した液は
尽きかけてきた
『さようなら』
『あぁさようなら』
『あぁ寂しいな』
『そんな事はねえ』
『そうだよね』
『あぁそうだ』
『わかっいていたさ』
《約束に永遠はないのだから》
Fin




