ファンタジー世界の領主になろう
2019年X月X日(木)、ゲーム 領主になろうの発売日の夕方。
俺は、待ちに待ったこのゲームを手にし今家にいる。
今にも始めたいという心の高揚をもちつつ、パッケージのビニールを破るため、切り取り口を探す。
無情にもない。やはりか、最近多いんだよな、この手のコストダウン梱包。
最近のゲーム界隈の競争激化の煽りがこんなところまできたか。
それにしてもどこから開ければいいのか、切り取り口が光の反射角を変えてもない。
諦めてハサミ、ハサミもってくるしかない。
しかし、どこやったか……。えーと、棚上でもないし机の上でもないし、引き出しか。
あった、
傷つけないように端のくぼみにハサミの先で慎重にと力を入れ。
パシッ
パッケージに穴を開けると透明なビニールを剥ぎ取り、すぐにゴミ箱へ捨てる。
ファンタジーの発展した街並みの描かれた、パッケージの表紙絵を軽く眺めつつ開け内容物を確認する。
なるはやに、紙ぺら広告やポイントを分け、初回特典コードだけを取りだし目の前に置く。
ゲーム機の電源ボタンを押し、パッケージからディスクを取りだし挿入する。
起動音とともにウィーンというデータ読み込みのためのモーターが回る。
モニターには、プラットホーム会社のロゴが出て数秒立つと、注意事項などの見たあとゲームが始まる。
領 主 に な ろ う
やりたい という感情と、まだ焦る時間ではない というわけのわからない自制心のなか、
オープニングそこそこにボタンをおす。
--プッシュボタン
スタート。
まずは設定から、
なまえの入力
まめだいふく
そう俺は、いつもゲームをするとき使っている名だ。
少し前までは、某キ○トという名を入力していたが、
有名俳優のキャラクター名に影響され最近はこの名で通している。
次は、
土地柄
草原 丘上 湖畔 森林 海沿い 山間地 砂漠 沼地 岩場
色々あるなぁ、実物みたいリアルにきれな景色だ。どれにしよう。
まぁ最初だからやさしそうな草原からかな。これを押せばいいのか。
[適合地形の調査が開始されました]
あ、そういえば、特典コード入れてないや。んーと、特典コードは、入力はと……。
[ボーナスチェスト認識、転送します]
……。
[適合地形発見、目的地に転送します]
「ん! 」
突然、暗闇が襲う。ゲーム機の音がだんだんと遠くにきえてゆく。
辺り一面、夕暮れというより真っ暗に意識もはっきりとしない。
[まめだいふく様、到着しました。なろうモードを開始します]
暗闇だと思っていた眼下にポツリと小さな光が見えた。
あれは?なんだ?
[ナビを開始します。最初の住人を発見しました]
「……。てか、さっきから、誰? 俺の頭の中でしゃべってるの。」
「ナビゲーションを担当しているAIです]
もしかして、これがかの有名な異世界転送ってやつなのか。
まじか、まじなのか。
[はい、ミッションを続行されますか]
えっ、もしかしてや……、いやなんでもない。
……まずは、確認から確認から。
「もしかして、しゃべらなくても考えるだけで伝わるのか。」
[認識出来ます]
なるほど、では確認その2、なんか満天の星と眼下には1つの灯り、
「ここはどこ。」
[ここは領空です]
「うわあーー。」
草原の夜空に響き渡る悲鳴。
◇
のちに語りつがれる
建立の日の逸話として。
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