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灰中花  作者: シクヨロ
序章
6/34

何処か間接が外れた日⑤

面白と思ってるかないるのかな?

車へ荷物を詰め込み、グロックス一家が準備を行っている頃、化け物たちは

北側と南側の二手に別れ、町の人々を襲って行った。


東側の軍も異変に気付き応戦をしているが、施設の規模が小さくあまり持ちそうにはない。

軍はバリゲートを設置して化け物と戦っている。もちろん逃げる人々を一人でも多く救うためである。


「第一小隊構え――斉射‼」


用意したバリケードを最後の民間人が通過するのを合図に轟音とともに鉛の雨を化け物たちに向けて放つ。

しかし化け物の群れは鉛玉を気にする様子もなく、全速でバリケードへ向けて突撃してくる。


「なんだってんだよ!」

「クソッタレが‼」

「ロケットランチャーならどうだ! 食らいやがれ!!」


放たれたロケット弾は前方の化け物の群れに飛び込んでいき爆発。化け物たちを吹き飛ばす。


「よしゃっ!」

「ざまぁみやがれってんだ!」

 

吹き飛んだ化け物たちは地面に叩きつけられ、やがてその場で動かなくなる。

それを見た兵士らは喜びの声をあげ、積んできたロケットランチャーを全て構え、順に放つ。


「効いてるぞ!」

「やれる、やれるぞ!!」

「手を休めるな! 化け物共の息の根を止めてやれ!」


響く爆裂音、バリケード向こう側の化け物たちの数が目に見えて減っていくことに兵士たちに安心感が芽生え始める。


しかし、その喜びは一瞬にして絶望の色に染まった。


「ん? おい、見ろよあれ」


兵の一人が指を指す方へ他の兵らが視線を移すとそこには半身が吹き飛んだ化け物たちが混ざり合っていた。

化け物たちの体からは触手のようなものが伸びていき、幾重にも捻り合い、重なり合うことで歪な山のような物が出来上がっていた。


「なんだありゃあ!」

「よくわかんねぇが、とにかくまだ生きてやがったってこったろ? だったらまた吹き飛ばしてやりゃあいーんだよ!」


兵の一人が威勢良くバズーカを構え、引き金を引く。

轟音とともに放たれた砲弾は化け物の山へと飛んでいき、爆発。


「やったか!?」


爆風が去り、現れたのは同じく化け物の形成した山。

一部が削れているようではあったが、倒すには至っていない。

それどころか周りの残りの奴等を取り込んでさらに大きくなっているように見える。


「っ怯むな! 撃て撃て‼」


放たれる砲弾と着弾による爆発音が混ざり合った轟音の不協和音は数分間続いた。

積んできた砲弾は残り少ない。

だが、敵は未だ止まってはいなかった。 

体から伸びる絡み合った触手が形を変化させていき、虫のような脚が現れると化け物の塊を宙へと浮かび上がらせ、形成された顔と思われる丸い突起には二つの小さな穴が開く。

そしてその奥に瞳のような赤い光が揺らぐ。

最初の毛のようなものこそ無いが、触手の山は大型犬よりも少し大きい程度であった先程よりも二回りは大きな化け物となった。


――キィィィィィィィィィィ!!!!!!


化け物は悲鳴のようにも咆哮のようにもとれる金切り声を上げるとバリケードに立つ兵士たちの方へと駆ける。


「き、来たぞ!」

「撃て、撃つんだ! 奴を決して通すな!」


地を揺らし、走る化け物の速度は速く、あっという間に兵士たちの元へとたどり着く。

そして軽々とバリケードを破壊し、装甲車を吹き飛ばす。

銃声が止み、静かになったその場所で化け物は立ち止まると背中から無数の触手を伸ばし始めた。

その触手は血を流し倒れている兵士たちを軽々と拾い上げると化け物はパックリと開いた巨大な口の中へと放り込んだ。


「止めろ止めてくれ!」

「痛い!痛い!!痛い!!!!」

「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!!」


まだ息をしていた兵士らの抵抗も虚しく終わり、化け物の中から聞こえてくるバキバキと骨が砕けるような音と苦痛と恐怖の悲鳴のみが辺りに響いた。

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