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第一話 不幸の前触れ
ここはミラ王国領のとある辺境の村。
その外れにある古びた小さな神殿に1人の少年、レオがいた。
「よし、今日の掃除終わりっと」
レオはそう言うと持ってきた掃除用具一式を持ち上げた。
「しっかしこの神殿、もうボロボロだよな。父さんと母さんが言うには遥か昔に大聖霊様とやらが住んでた神殿らしいけど」
レオは外に出て神殿を一通り眺めると、
「なわけないよなぁ。あちこち崩れてるし、そもそも大聖霊様とやらが住むには小さすぎるもんな。父さんと母さんはすっかり信じちゃってるけど。」
「さてと、さっさと帰るか。遅れたらまた掃除ほったらかして遊んでるって勘違いされるからな。」
レオが古びた神殿を背に歩き出した。
「......ふむ...」
「っ!?」
レオは慌てて後ろを振り向いた。
だが振り向いた先には見慣れた古びた小さな神殿しかなかった。
なかった、ではなく誰も「いなかった」。
「ただの動物かな?にしては少し人っぽかったけど...」
レオは怪訝な表情をして、
「まぁ、気のせいだろ。こんな所に来るのは俺くらいだもんな」
と、レオは村に戻る。
村が業火に焼かれているとも知らずに。