ベルゼブブ その4
クママがアイドルのベルルンに向けて作った新曲
途中からスペシャルスキルの「オーケストラ」「重唱」によって一気に濃厚な音楽へと昇華したのだが・・・
演奏のサポートを受け一気に体力を回復したサヤはもう一度「舞闘神姫」を発動させた
そしてまたも激しい攻撃を繰り出した
スペシャルスキルがサヤに対して3つも掛かっていることになっていたためその効果はというと・・・
「はああああ」
「うっひょお~。楽しい~」
先ほど以上の速度で舞刀の型が繰り広げられる
さすがのベルゼブブも魔法で攻撃は出来ずに防御で精いっぱいになっていたがそれでも余力は残している感じであった
そんなこんなであっという間に新曲も終えてしまっていた
右手の詠唱も終わっていた
右手から魔法陣が離れ上空へと展開されていた
もう3つほど上空に禍々しい魔法陣が展開されていた
「さぁて!サヤちゃんよくやったね!10年ぶりに本来の姿を披露してあげるよ!」
「一気に方向性かわってくれるなよ?」
サヤは少し冗談まじりに言うが内心ヒヤヒヤである
3人から支援を受けサヤ自身も舞闘神姫を発動させてかろうじて勝ててる状況だったのだ
・・・来る!
一気に領域がサヤを覆った
そしてそこから現れたのは・・・
中世的な顔立ち、目は紅く、肌は白かった
胸に膨らみがありドレスのようなものを着ていた
鋭く尖った尻尾がついている
角は禍々しく立っている
そしてびっくりしたのは領域に無数の悪魔が飛んでいた
今まで部下の気配は見せていなかったのでびっくりする
ベルゼブブの領域は辺り一面闇である
と言っても薄明るい感じであった
それ以外には特筆すべきことはなかったがプレッシャーがハンパない
汗が止まらない
不変刀を握る手が震える
脚も震える
・・・これは武者震いじゃないな・・・
「いいかお前らは手出し無用だからな!邪魔したら消すぞ」
ベルゼブブがそう言うと悪魔達は一斉に跪く
凄まじい殺気がベルゼブブから溢れ出ていた
並みの人間は領域に触れた瞬間に発狂して死ぬと思えるほどだった
「さてそろそろ楽しもうか!大詠唱は左手と角が残ってるからその間立ち続けて楽しませれば生かしてあげるよ」
ベルゼブブの目が光る
サヤは咄嗟に光った目から視線を外してさらに避けていた
その勘は正しかった
赤い光がサヤの頬をかすっていた
そこからは血が流れている
「へえ。避けるなんて凄いな」
「たまたまだ。なんか予感がしてな」
サヤは本音だった
ベルゼブブはその答えに少し笑った
「あはっ。前と領域は変わらないから動けるはずだよ。かかってきな」
ベルゼブブは指をクイクイと向け挑発していた
サヤは不変刀を握りしめ直し、ベルゼブブへと向かう
左手から詠唱が聞こえる
「君が苦しむのなら僕は笑おう。君が笑うのなら僕は苦しもう。君と歩む道は存在しない」
クママとノッホそしてルシファーはクママのオリジナル曲を演奏していた
クママとノッホは必死になっていた
これ以上仲間の死を見たくはなかったからだ
ルシファーはクママの新曲のときと変わってはいなかったが協力は変わらずしてくれていた
そして・・・眠姫は・・・
助けに入るべきか言われた通りピンチのときに助けるかの間で揺れていた
短い期間ではあったけれどサヤの真似は心地よいものがあった
それだけに今の心情をなんとなく察していた
歯がゆい・・・
それが眠姫の今であった
サヤはベルゼブブの領域でも十分に動けていた
そして領域の中でより一層輝く不変刀がしっかり握りしめられ、舞刀の型・拾を発動していた
「へえ。僕の後ろを取れるとはやるね。けどまだまだかな」
ベルゼブブは振り向きもせずに不変刀を指で挟んで止めていた
サヤから冷や汗が垂れる
舞刀の型・拾は放てる一番の技である
それが指で止められている
そして動かない・・・
「うん?折れないねこの刀・・・?僕本気だしてるんだけどなあ。非力なのばれちゃうじゃん・・・」
ベルゼブブは振り向かずに首を傾げていた
「それにミカエルが眠っている!折れないだろうよ」
ルシファーが歌を止めて叫んだ
その答えにベルゼブブは笑った
「へえ~。ミカエルの刀か。それじゃ無理そうだね。それじゃ離そうっと」
不変刀を握ったままのサヤごと軽く放り投げた
凄まじい勢いで飛んでいくサヤ
だが途中で地面に不変刀を突き刺しなんとか木々へとぶつかる前に止まった
左手からまた詠唱が聞こえる
「僕にとって君の苦しみは極上のスパイス。君の笑顔は僕にとって最悪のスパイス。だってさ・・・」
「ふぅ・・・。あれで非力とか笑えんな」
ゆうに数十メートル飛んでいた
二本の指でかる~く投げる動作をしただけである
「こんなのに勝てるやついるのかよ・・・」
サヤは愚痴を呟く
「これは完全な復活だな。我々と戦っていた頃のベルゼブブと同等であろうな。お主で勝てぬのも無理ない」
どこからか、そして懐かしい声が頭に響く
「・・・!?不変!?不変なのか!?」
「うむ・・・。どうやら我はルシファーの部下のバイモンを勘違いして消滅させたようだ・・・」
不変は対消滅させる際に謎が解けていた
バイモンがルシファーに化けて戦っていた
なので両手剣だったのだ・・・と
「我が完全復活ならばベルゼブブも退かせることが可能かもしれんがこの世界では無理であろうな」
「ハァ?あれと互角だって言うの?巨胸好きのおっさんが?」
「そう言われるとなんとも言えぬが、ベルゼブブはルシファーと同等の力だ。あれでも大悪魔の中で1、2位を争う力の持ち主だ」
サヤはなんとも言えない顔をしていた・・・
「そろそろ戻っておいでよ。楽しませないと大詠唱完成しちゃうよ?」
そう言うベルゼブブの左手から魔法陣が上空へと放たれていた
上空の魔法陣がより一層禍々しくなっていた
そしてベルゼブブがゆっくりとサヤと不変へ近づいてくる
その不敵な笑みにサヤは唾を飲み込む




