南西戦争 終焉
人間達もサヤもベルゼブブもみんな唖然としていた
さすがにこの結果はベルゼブブも予想出来なかったらしい
だがベルゼブブはすぐに行動をとった
「みんなぁ~!べーちゃんだよ!」
そこには大悪魔ベルゼブブではない、アイドルのべーちゃんとしてみんなの前に立っていた
「おお?べーちゃん??べーちゃん!?べーちゃんだあああ!」
人間達は一気に盛り上がりを見せていた
「天使様は悪魔を消滅させるために・・・。みんなも黙祷を捧げて!」
そうベルゼブブが言うと、人間達はみんな膝をつき天に向かい祈りをささげているようだった
静かな時が1分ぐらい流れただろうか
またベルゼブブが口を開いた
「みんなの祈りがあればいつでも僕達を見守ってくださるはずだよ!そして僕を王様にせよと!」
人間達の間でも動揺が走っていた
ベルゼブブとしての実力は申し分ないが、べーちゃんとしてはただのアイドル扱いであった
だがそのときであった
「俺からも推薦するよ!」
フードを被った少女がまっすぐに人間達の元へと歩み寄ってきた
そしてフードをとる
「るーちゃん!あれ?天使様と同じ翼が!?」
「俺は天使様の使いであった。そして実力で証明するのが習わしならば・・・!」
ルシファーはそこまで言うと空を指差した
そしてベルゼブブは力の片鱗を人間達に見せた
ベルゼブブの魔法陣から空に向けてモニターが出ていた
巨大なモニターが実はべーちゃんが作っていたと知った人間達がまたも盛り上がっていた
その様子にほくそ笑むベルルンの二人
るーちゃんの姿にびっくりしていたのが、クママとノッホ、そしてサヤであった
もはや正体を知る者は3人にまで絞られていた
「ルシファーは確かにあの時消滅したはず・・・」
「うん~。けどルシファーの感じはるーちゃんから感じる・・・」
ノッホのほうが感知は優れていたので、クママはそう言われると納得せざるを得なかった
「眠姫!あいつは確かに消滅したよな!?」
「そうですね。ただ今目の前にいるのは紛れもなくルシファーです」
「どうなっているんだ・・・?」
「推測にはなりますが・・・。おそらく天使の姿をしていたルシファーは魔力をつぎ込んだ分身でしょうね」
サヤにはわからなかった
ただ分身と言われたので、そうだったのだろうなとしか捉えるしかなかった
「・・・分身か。それに全身全霊で力を使ったのか・・・。はは・・・」
サヤは苦虫をつぶしたような顔をして両手を地面についていた
そして、あれでも分身なのだとしたら・・・
そう考えると汗が噴き出す
ベルゼブブが遥か遠くにいるように尚更感じずにはいられなかった
土を強く握りしめ掴む
そしてそれを振り払う
「クソッ。意志疎通も届かない・・・!不変・・・」
「死んではいないでしょうが、深い眠りについたのでしょうね・・・」
眠姫はどことなくドラゴンと似ているものを感じたのかそう表現せざるを得なかった
「そして高らかに宣言しよう!この戦争は我々人間の勝利である!」
ベルゼブブが何もしていないのに、何故か音頭をとっていた
人間達もそれに合わせ勝ち鬨を上げる
トロヘイ大森林が震えるほどの歓声
結果としてオーガは数人が残った程度、ゴブリンやトロール等もかなりな数が粛清された
ヴァンパイアに至っては元祖も倒れ、全滅であった
元祖が死んだことによりヴァンパイア達は姿形を保つこと出来ず消えていった
人間側の被害は日本人達だけであった
日本人もまたかなり倒れていた
こうして南西戦争、後に第二次統一戦争と言われたこの戦争は終結した
人間達が引き揚げる準備をしていた頃であった
サヤの元へ来る人影が4つほどあった
「約束通りで助かったよ~。にゃはは~」
「久しぶりです、サヤさん。いろいろありましたが・・・。積もる話はまた後ほど」
「サヤちゃ~ん。強くなったね~」
「ふん。ベルゼブブの見込み通りか・・・」
クママとノッホ、ベルゼブブとルシファーであった
サヤもまた終結後、人間陣地を訪れ歓迎されていた
月下を倒したという扱いになっていた
「あ~訪れたのはね~。約束の日取りを決めようかなって思ってね~。にゃはは~」
「なるべく早くして欲しいのが、俺からの願いだ」
「俺達も立ち会うことになってます」
ベルゼブブはワクワクしているかのようにそわそわしているが・・・
ルシファーはなんとも言えない表情をしていた
クママは顎に手を置き考え事をしているようだった
「そうだな・・・。一カ月後はどうだろうか?」
サヤは眠姫を一瞥し、眠姫もまた頷いていた
「ほえ~。それでいいよお~るーちゃんもそれでいいでしょ?」
「まあ想定内だな。明日とかいいだすかと思っていたが・・・」
ベルゼブブはいつも通りそこいらを踊って走り回り始めていた
「それじゃ場所は?」
「まだまだここから離れないからこのままるーちゃんとミカエルが戦った場所でいいんじゃないかな~?にゃはは~」
サヤとしてもそれでよかった
「ウン。それでいいだろう。こんな場所で何をしているんだ?」
サヤの興味はそっちにうつった
ベルゼブブは意外そうに思ったのか動きを止めてサヤの顔を覗き込んでいた
「戦闘以外に興味を持つなんてびっくりしたよ~。にゃはは~」
「南西エリアの調査を行っているんだよ。人間達が住めるかどうかとかね」
サヤの頭にハテナマークがいくつも出ていた
そんなときだった
「どうやらベルゼブブは人間達を殺しまくるとかそういうわけではなさそうなんだよね・・・」
クママがそう言った
ベルゼブブも頷く
「ハァ!?一度人間を大量虐殺しておいて?」
サヤはそれをクママから聞いたはずだった
だがクママは続けた
「契約は契約で履行しなければならなかったらしい。だがそれも晴れてなくなったし、召喚した怨血童子はもう亡くなった。ベルゼブブを縛る者はなくなったらしい」
クママは説明してくれたが、顎から手が離れることはなく、どことなくクママ自身にも言い聞かせているような気がした
「フム。まあいいか・・・。一カ月後また会おう」
そう言うとベルゼブブとルシファーはすぐ踵を返した
クママとノッホも一礼すると帰っていった
4人が去ってからしばらくしてからサヤは眠姫に問いかけていた
「さぁて。一カ月でどれだけ強くなれるかな?ナア、眠姫」
「どうでしょうね。変身をとけさせるぐらい追い込めれば多分人間としては最強だと思います。あれは正直母の滅世でもきついでしょう」
そう聞いたサヤの口角は上がっていた




