南西戦争 不変VSルシファー その1
「ルシファー!!」
「ミカエル!!」
二人の呼びかけは、ぶつかる衝撃音で消し飛ぶ
剣と剣の金属音が響きわたる
その様子を見ていたのは
クママとノッホ、ベルゼブブとフードを被った少女
別の場所ではサヤと眠姫が見ていた
ただサヤと眠姫は戦闘に参加しようとしたところでベルゼブブに止められてしまった
「ルシファーも一騎打ちを望んでいるんだ。どんな結果になろうと受け止めてあげようよ~。にゃはは~」
「そう言えば負けるとどうなるんだ?消滅するのか?」
「大悪魔ともなると消滅はしないんだよね~。ただ受肉がしばらく出来ないって感じだね~。人間の欲望を基本糧にしてるからね~。にゃはは~」
「そうなると不変も天使のはずだから消滅はしないんだな?」
「そうだね~。ミカエルはなんだっけかな~?ミカエルはルシファーにご執心だから僕はあんまり関わったことないんだよね~。にゃはは~」
「ベルゼブブだと何なんだ?」
「僕は暴食だよ~。いっぱい食べることだから害なんてないでしょ?にゃはは~」
「じゃあルシファーは何なんだ?」
「傲慢だよ?レイカは傲慢になりすぎた。その結果だね~。謙虚が一番だよね~。にゃはは~」
「っていうか暴食のわりに、太ってないように見えるんだが?」
「最近は全然食べれてないんだよね~。しくしく」
「フンッ。それより約束は覚えているんだろうな?」
「僕達は約束が一番だから、忘れるわけないよ~。それじゃそろそろ戻るよ~。にゃはは~」
「チッ。忘れるなよ!」
旅の仲間や悪魔達が見守る中不変とルシファーの戦いは苛烈になっていた
領域をお互い繰り出すが、互角なのか領域は破壊されずそのまま相対することとなった
荘厳な光景がそこにはある
ステンドグラスから入りこむ光がより一層見る者を圧倒させていた
だが当の二人にとっては光も何も関係ない
相手を押しこむと相手の領域に入り込み力が弱体化し、押し返される
これがしばらく続いた
「これが大天使と大悪魔の戦いです・・・か。人間が敵うわけないですね」
そう言ったクママは唾を飲み込んでいた
冷や汗が頬を伝い顎から地面へと落ちていた
その様子に気付いたノッホがハンカチでクママの顔を拭いてあげている
そのノッホもまた凄まじい戦いぶりに唖然とする
ベルゼブブとフードを被った少女はにこにこしながら二人の戦いを見守っていた
「あ~。クママはどっちが勝つと思う~?外れても罰はないよ~。にゃはは~」
「・・・そうですね。不変と言いたいのですが、この様子だとルシファーの方がやはり優勢な気がしますね」
「うんうん。人間トップクラスだとやはり少しは戦闘が見えるようだね。あのルシファーに付き添ってきた人間達なんてみんな口を開いて何が起きているのかわかってないよ~?にゃはは~」
「正直あの中に割りこんで戦えるとは思えませんね。ノッホの魔法ならまだしも・・・」
「ノッホにも厳しいですぅ~。魔法の威力だけあっても近寄られては防御の手段が・・・」
「まあ見守ってあげよ~う。僕にとってもどっちが勝とうといいしね~。にゃはは~」
「思ったより力が戻っているようだな。ミカエルよ」
「我よりずっと早く復活しておきながらそれは残念だな。ルシファーよ」
二人は少し笑みを浮かべるとまた剣と剣を交える
剣で語っているようにすら見える
これを永遠とも言えるような長い年月繰り広げられてきていたのだ
二人の主戦場は地面が円形に抉られ、森だった場所は見る影もなくしていた
「やはり埒が明かぬな。そろそろ次の段階に行かせてもらうぞ!」
「我もそう思ったところだ!泣きっ面になっても知らぬ!」
二人とも構えがいままでとは変わっていた
「普通の攻撃に飽きたみたいだね~。そろそろ防御魔法張っておこうか。にゃはは~」
「えっ!?そんなに激しくなるんですか??」
「たまに攻撃回避するとこっちにも飛んでくるんだよね~。にゃはは~」
「ノッホ頼む」
「うん~」
「ああ。特別に僕が守ってあげよ~う。今日は気分がいいしね~。にゃはは~」
「いえ、大丈夫ですよ。ノッホに頼みます」
「ちえ~。まあいっかそろそろ楽しくなってくるよ~。花火みたいでね~。にゃはは~」
ベルゼブブがそう言った辺りからお互いの頭上に巨大な魔法陣が浮かび上がっていたのだった・・・
「我、ミカエルの名の元に、悪魔を根絶せんとすべし正義の炎よ!悪魔を滅せん!エンジェルズ・フレイム」
「俺、ルシファーの名の元に、天使を根絶せんとすべし不義の氷よ!天使を滅せん!デヴォーズ・ウォーラー・カレント」
不変の頭上からは巨大な火の玉が魔法陣より出て来ていた
もはや隕石といってもいいほど凄まじい炎である
ルシファーの背後に居た人間達はこの世の終わりのような顔をしている
対してルシファーの魔法陣からは巨大な水流が姿を見せていた
頭上からと地面から巨大な水流が放出されながら巨大な火の玉へと向かっている
巨大な水流が火の玉に当たるたびに水蒸気爆発となり、轟音と共に辺り一面が抉られていく
当の二人はそんな中お互いに次の一手にとりかかっているようだった
「花火だ~花火~」
「い、いや・・・。これは確かに・・・」
「まず生きれないですぅ~・・・」
ベルゼブブは水蒸気爆発が起きるたびにはしゃいでいる
「ところでこの方は・・・?」
クママはおそるおそるフードを被った少女を見た
「まだ秘密~!びっくりすると思うよ!」
花火の余韻なのか目が輝いたままだった
普通にしているとかなりの美女なのでクママもびっくりする
そしてそれに反応するかのようにフードの少女もにっこりしていた
クママの脳裏に一人よぎるがそれはありえないと思い首を横に振る
「なかなかやるな!昔より強いのではないか?」
「貴様こそ!最近までどこに居たか知らぬがましではないか!だがそろそろ力の差というのを見せてやろう!さあ人間達よ!俺に祈りを捧げよ!」
ルシファーがそう言うと一斉に口を開いてぼーっとしていた人間達が祈り始めた
その様子に不変は渋い顔をする
「貴様完全に悪魔になったわけではないのだな?」
「それはどうだろうな?」
二人の間に沈黙が流れ手が止まる
だがルシファーに力が流れるのを感じた不変は攻撃を再開する
不変に焦りが出始めていた
本来なら祈られるのは不変のはずだが、逆転してしまっているのだ
祈りは力の回復に貢献してくれるのだ
ルシファーは不変の渋い顔に口角を上げる
「そろそろ次の攻撃へと移ろうか」
ルシファーはそう言うと片手で扱っていた剣を両手で握ったのだった・・・




