南西戦争 ルシファー陣営vsヴァンパイア陣営 その4
百夜は窮地に追い込まれていた
魔法を吸収する相手だからである
若ならばあるいはいい戦いだったかも知れないが・・・
百夜は眉をひそめ、顎をさすっていた
クママと近接戦はこなしたがお互いに苦手な印象があった
だがこのマモンは近接が得意そうに見える
とすれば・・・
百夜は次の手を考えたいがもうマモンは近くまで来ていた
「・・・仕方ありませんな」
百夜は目を細めながらマモンを見つめていた
そのマモンは余裕いっぱいの顔で百夜へと迫っていた
マモンは手を合わせ慣らしているようだった
対して百夜は・・・
魔法陣を作りあげそして領域を発動させていた
そこに現れたのは百夜の眷族全てであった
「頼みましたよ・・・!」
そう・・・
百夜の頼みとは眷族達であった
それぞれが弱くはない
さすがのマモンもちょっと嫌そうな顔をした
「おいおい。こんなの俺によこすなよ・・・?もっと強そうな体よこせよ」
マモンの言葉はいまいち理解出来ずにいた
それよりもマモンはやはり眷族達に引っ掛かり始めていた
「このっ」「百夜様に近づけさせるな!」「若が来るまで・・・!」
眷族達も一撃ではやられてはいなかった
地味ながらも少しずつダメージを与えていた
復活したてというのが効いているのか、思った以上に体が鈍いようであった
だが突如ヴァンパイア達の動きが鈍りだした
そして気付いた
神器の効果がなくなり巨大な月夜は終わりを迎えていたことを・・・
元祖どうして・・・?
百夜もわからずに困惑していたところへマモンが更に迫って来ていた
眷族達は既に壁の役割ぐらいにしかなっていなかった
若は・・・?
既に到着してもよいころのはず・・・
ピュイアの速さを信じればもう来ていいはず・・・
まさか・・・そんな・・・
最悪の想定をする
そういえば朝からサヤさんがいなかったような
眠姫も見かけなかった
若と戦っているのか?あり得るぞ!
そう顎をさすっていたが、マモンが到着してしまった
「仕方ありませんな、相手しましょ・・・」
その時だった背後から何かが腹部を貫いていた
「マモン遅いじゃない?それにあんなに倒しちゃって嫉妬しちゃうわ」
百夜が振り返るとそこには見た覚えのない女性がいた
「なっ・・・ごふっ・・・忘れておった・・・」
気にしていたはずの後方の存在をすっかり忘れていた百夜
そして意識が遠のいていくとき元祖の声が響いた
「百夜も開眼出来たようだね君の死は無駄にしないよ?あははは」
それが百夜が聞いた最後の言葉であった
そして若が迎えに来ていた
「そうですか・・・若もですか。共に行きましょうぞ。それにしても元祖は一体・・・」
百夜は体を貫かれたまま息絶えた
「ちょっとさあ。なんでその体で満足しないのさ?アンチマジックなんてそんなにないよ?」
そう百夜に止めを刺した女性が言うと
「レヴィアタン・・・。既にちょっと嫉妬してないか?てか本人はあまり効果ないって知ってるだろ?まあ俺が言えた義理じゃないがなぁ」
マモンがそう言った相手はレレイクが素となったレヴィアタンである
レレクのほうは自力で目覚めたようであった
いや二人の戦いに嫉妬していたのはあったであろう
そうレレイクが嫉妬したのである
二人は何かに気付いたかのように振りかえった
そこには元祖が居た
だが二人には先ほどのヴァンパイアより多少上ぐらいにしか感じていなかった
「やあ。僕の眷族がだいぶお世話になったようだね!少しばかり相手をしてもらおうかな」
そう言った元祖に対して、二人の悪魔はお互いに顔を合わせそして笑っていた
「何言ってるの?さっきのやつより少し強いくらいでいい気になってるのかしら?」
レヴィアタンからは怪訝そうな顔が窺えた
マモンに関しては興味なさそうな顔色を見せていた
「なあ・・・?お前の体はダメだ。だいぶガタがきてるじゃないか。さっきのやつより更に長生きしてるようだな」
元祖もさすがに頭にきているようであった
手をぷるぷる震わせて二人を見ていた
「君たちは僕の力を誤解していないか?これを見てもまだ同じ態度でいられるかな?」
そう言うと元祖は二つの棺桶を浮かばせていた
そしてそこには死んだ月下と百夜の遺体が入っていた
マモンとレヴィアタンはそれを見つめる
元祖だけが笑っていた
「この二人の真祖は開眼してくれた。僕の力をより一層深めて死んでくれたんだよ。感謝しなくちゃねえ。あはははは」
そう言うと元祖は前と同様に魔法を唱えた
「元祖シュトルペリッツェの名の元に、亡き真祖の力を持って我が力を取り戻さん。ブラッド・プレッジ」
月下と百夜の遺体から血が元祖の元へと流れる
そして・・・
闇しかない場所でもはっきりと見えるであろうほど赤い目を宿していた
赤い目からは魔力が放出している
その様子にさすがのマモンもレヴィアタンもびっくりする
「へえ。おいぼれの割りになかなか力を戻したんじゃないか?どっち行く?レヴィアタン」
「百夜とかは結局私がやっちまったし、マモンでいいんじゃない?」
悪魔二人はまだ余裕を見せていたが、そうもいかない状況になっていた
「そんなこと言ってていいのかな?まあいいや。百夜の仇は取らせてもらうよ!」
元祖の力ははっきりとわかるほど上がっていた
だが、そんな元祖も悪魔達の実力を甘く見ていたのであった・・・
その頃不変対ルシファーは・・・
静かであった
お互いに全く動く気配を見せていなかった
というのも結局二人ともレイカとサタンの動向が気になっていたからであった
少しとは言え一緒に旅したレイカと復活したばかりのサタン
そしてその二人は・・・
「貴様ぁぁ!!邪魔をするなあ!!」
レイカはサタンに斬りかかっていた
サタンはそれをケイトリィが持っていた両手斧でいなす
だがすでにレイカは左手から魔法を放っていた
直撃は避けたサタンであったが、思わぬダメージを受けびっくりした
「魔法剣士だったとはねえ!なかなか珍しいじゃないか。少しは楽しませくれよ!」
そう言いながら楽しそうに両手斧が宙を舞いレイカに襲いかかる
ぎりぎりのところでかわすレイカ
かわしたところへ魔法陣が展開されておりそこから光属性の魔法が炸裂する
真祖になったが、相変わらず全属性魔法を使用可能であった
「へえ。やるじゃないか。そこまで柔軟に使いこなせるのはこいつの記憶にはないね」
サタンはまだまだ余力がありそうだが、レイカは間髪いれずに次々と魔法を放つ
両手斧で防ぐサタン
隙間からレイカの様子を覗いていた
「へえ。やるじゃないか。楽しめそうだよ。そろそろこっちも行こうかな」
人間時代の性格が多少なりとも影響しているのか、楽しそうにレイカを見つめたサタン
だがレイカからは怒りの感情しか沸いていなかった
それがより一層サタンを楽しませる
「もっと!!もっとさあ!!!怒ってよおおおお」
サタンは自分の元へ力が流れているのがはっきりとわかった
レイカは間合いを詰められないように魔法を放ちながら隙を窺っては斬り込みスタイルだったが・・・
すぐ近くまで迫っていたはずの仇を前に邪魔されたことで怒りで斬りかかっていた
思わぬ形で迫ってきたレイカに思わず引いたサタンにすかさずレイカの剣が直撃していた
サタンも思わず顔を苦痛で歪めた
「へ、へえ。やるじゃないか。こっちも行かせてもらうよ!」
サタンの両手斧もまたレイカに直撃した
レイカも苦痛に顔を歪ませる
ここまで五分五分の戦いであった・・・




