南西戦争 サヤvs月下 その2
サヤからは汗が噴き出していた
確かに手ごたえを感じたが目の前に月下は立っていた
だが月下は月下でかなり大きなダメージを負っている様子であった
しかしだ・・・目が死んでいなかった
・・・いや
前よりも強い赤みを帯びている・・・
サヤは警戒を強めた
そして乱れた息を整える
ただ、まだ草原の桜の元にいる
つまりサヤの領域に居た
外で今頃眠姫の領域が月下の領域を潰していることだろう
サヤがイメージした領域こそ
風がたなびく草原に一本の桜である
本来であれば月下の領域に圧される可能性も有ったが、眠姫にまずは任せた
だが眠姫にさせたのはそこまでであった
月下の様子は変わりなく目は強く輝いていたが、うつろでもあった
「攻めるべきか・・・?」
思わずポツリと呟きがこぼれる
そして不変がいないことに気付いた
背中には今鞘がない
野太刀を背負っていたことからの解放感もあったが、寂しさもあった
だがこれも自分で決めたこと・・・
そう言い聞かせ月下ににじり寄る
ドクンドクン
月下は血のめぐりを感じ、意識が戻りつつあった
目の前にサヤが立っていることも確認出来た
だが・・・
体がうまく動かなかった
ダメージが蓄積しすぎていた
動かせれば強くなっている感じはするのだが、回復している時間があるのか・・・?
そしてサヤが動きだしてしまった
まだ負けるわけにはいかない・・・!
「うおおおおお」
雄叫びを上げる
森林がざわめく
だがサヤはそのまま近寄ってきている
動け・・・動けええええ!!!
急に雄叫びを上げる月下に異常を感じたサヤであったが、チャンスであるとも思った
そのまま歩みを続ける
月下は険しい顔をしていた
うつろな目もだいぶ焦点が合ってきていた
「ここで一気に・・・」
既に舞闘神姫はきれていた
ここからは修行の成果だけが頼りである
アクアから譲り受けたこの刀で・・・月下を倒してみせる・・・
そう思い舞刀の型・拾を構えた
そして月下へと放つ・・・!
月下の目が赤く光るそして・・・
月下は倒れた・・・?
サヤはぼーっとその姿を見る
あ・・・れ・・・?
確かにもう月下からは力を感じなかった
それでも気を抜かずにおそるおそる近づいてみる
刀でこづいてみるがピクリとも動かなかった
「オイ!月下まだ生きてはいるんだろ?」
サヤが悪態をついてみるが、月下は力無く膝をついていた
何かがひっかかっていた
まだ動いてきそうな気配がしていたのに、拍子抜けしたのもあっただろうが・・・
その時である
「そうか月下は力尽きたか・・・」
空中から話しかけてきたシュトリュである
眠姫がシュトリュの後ろを追いかけていた
そういつの間にかあの巨大な月はなりを潜めていた
「お前は・・・元祖か!」
「そうだよ。僕だよ。月下は本懐を遂げれたようだね」
シュトリュは何故か笑顔であった
それがサヤには引っかかる
「まだ月下は戦闘したい気がしたが・・・。最後は不自然な感じがしたがお前何かしたか?」
サヤの何かの勘が元祖の介入を感じ取った
「鋭いなあ。確かにね。目が異様に赤くならなかったかい?あれが・・・ね」
そこまで言うと元祖は笑いだした
「僕の血に戻す頃合いなんだよ。あはははは」
シュトリュからは真紅の瞳から冷酷な何かを感じたサヤであった
そしてシュトリュはそのまま踵を返すように戻ろうとしていた
「オイ!どこへ行く?」
サヤは激しい剣幕を見せていた
シュトリュは振り返ることなく返答した
「月下の死を確認したから今度は百夜の死を確認しに・・・ね。もう僕の真祖はレイカだけだね~」
特に哀しい感じも無く淡々とした言い口に更にいらっとくるサヤだったが、空への攻撃手段は乏しかった
そして飛べる手段を持っている眠姫だったが、どうするかサヤに尋ねる感じの表情をしていた
戦う気のないやつとは戦う気はしない・・・
それがサヤの信条であった
眠姫に首を横に振って見せる
「こんな決着でいいの・・・か・・・?こんな・・・」
サヤはすっかり調子が狂っていた
眠姫はそんなサヤの隣にただ立っていた
「・・・そういえば百夜も死んだと言っていたな?この戦いヴァンパイアとオーガの負けみたいだな」
ふとそう思ったサヤだったが、不変がどうなったのかまだわかっていない
それにレイカもまだ生きているようだった
「ちょっと様子でも見に行くかな」
そうサヤが言うと眠姫も頷き
歓声が響く方へと歩みを進めるのであった




