南西戦争 サヤvs月下 その1
ピュイアが月下に百夜への援軍を依頼しようとしたが、目の前に立ちふさがる敵がいた
人型をしているが、その目は人間ではなかった
そう・・・
眠姫がピュイアの前に立ちふさがった
ピュイアは素早く去ろうとしたが眠姫はピュイアに追いついていた
その様子に驚くピュイアを前に眠姫はこう語りかけた
「我が主の命により、月下の元へは何人たりとも近寄らせない」
ピュイアはその言葉に目を丸くした
ドラゴンをペット化だ・・・と・・・?
ピュイアは既に眠姫がドラゴンであるとわかった
目に特徴がありすぎるのだ
ヴァンパイアの目がみな赤いように・・・
ピュイアも逃げるのをあきらめ向き合う
だがスピードで追いつかれてはピュイアに勝ち目はなかった
月下も凌駕するスピードこそがピュイアの最大の武器であり、相手は人型で女性を姿模っている時点で色気も通じない
ピュイアは珍しく舌打ちしていた
考えようとしたピュイアであったが、眠姫がそうさせてくれなかった
作戦を考えようとしたときには既に目の前に拳が迫っていた
「ちっ。考える暇もなしか」
ピュイアは心底嫌がった
元々戦闘が好きではないのもあるし、おまけに相手は強大であった
かろうじて避けるが体勢が崩れていた
一発回避出来たが、二発目はもろ腹部に直撃していた
「ごふっ」
ピュイアは血を吐いていた
腹部に巨大な穴が空いている
ここまで力差があるとは・・・
そう思った時にはピュイアは既に意識が朦朧としていた
そして意識が途切れる寸前、眠姫から思わぬ名前を聞くこととなった
「さてサヤはどうしているだろうか。確認しにいかねば」
ピュイアはサヤの名を聞いたが、ピュイアの目には月下が映っていた
「ああ・・・。月下・・・さ・・・」
そして、手を伸ばしたところで息絶えた
その頃オーガが構えていた集落では・・・
サヤと月下が向き合っていた
「悪いがお前と戦いたくなってな。勝ったほうが、ベルゼブブへの挑戦権ってことでどうだ?」
サヤがそう言うと月下の顔はみるみる明るくなっていった
「いいだろう!いいとも!やはり我々はこうでなくてはな!」
月下からみるみる力が漲っていくのが感じられた
サヤも一息ついてから構える
いつもの不変刀は持っていなかったが、オーガが所持していてだろう刀を構えていた
不変刀とは違い間合いが少々短いので、月下も少し用心しているようだった
ゆっくりと間合いを詰める月下
構えたままじりじりと歩み寄るサヤ
二人の周囲は異様に静かであった
そして月下が領域を繰り出すが、そこで月下は驚くこととなった
サヤもまた領域を出していた
これまで人間側で領域を出した者は勇者ですらいなかった
そして月下は気付いた
眠姫の領域にそっくりであることに
4属性が激しく火花を散らす領域である
月下の領域はみるみる飲み込まれていった
属性耐性のある月下であるが、この領域は激しく荒れており強力だった
だがそんな状況を楽しんでいるのが月下だった
「これだ!これこそ求めた者だ!よくぞ短期間で俺を超えたな!そして俺はそれを超える!!!」
月下は壊れたはずの領域を再度繰り出していた
そして領域は激しく攻防を繰り返す
だが月下は気付いていなかった
サヤが刀技の準備をしていたことに
隙を見せた月下に刀技が襲いかかる
「はああああ!舞刀の型・参」
領域と刀技の合わせ技を繰り出していた
舞刀の型・参は桜吹雪が相手を襲うものであった
威力はないように見えるが、実際ダメージ目的ではなかった
一時的に視覚を惑わせる効果である
月下はそれで気付いた
「ほう。時間稼ぎしてスペシャルスキル舞闘神姫を発動させる気か!そうはいかぬぞ!」
さすがに月下もあれをまともに受ける気はなかった
ドラゴンですら短時間で伏せた威力を誇るのだ
月下はひたすらに桜吹雪を前進するが、一向に出口が見えない
ついに出たと思った時だった
草原に桜の樹が立っていた
月下は思わず見惚れるがそれはほんの一瞬であった
辺りを見渡すがサヤの様子はなかった
だが桜をよく見ると女性が一人座っているようだった
月下は一気に間合いを詰めるとそこにはアクアが居た
だが様子がおかしかった
月下が近寄ってもピクリとも動かない
周囲を警戒しつつ近寄ってみると、その姿に唖然とした
アクアは既に息絶えていたからだ
綺麗に正座したままであった
後ろに気配を感じた月下が振り向くとサヤが居た
既にスペシャルスキル「舞闘神姫」は発動していた
そして繰り広げられる舞刀の型の数々
月下は必死に防御をしようとするが、手数が多い上に一撃一撃が重くさばききれないでいた
そしてサヤがアクアを手にかけたと気付いたのは、その刀であった
よく見るとアクアが手にしていた刀であったためだ
「アクアを手にかけたのか?」
月下がそう言うと
「そうだ。月下と戦う前に・・・な」
サヤは口角を上げながら月下を見ていた
そして月下に舞刀の型が当たり始めていた
だが月下も負けじと反撃しようとするが、舞闘神姫の効果で受け流されていた
腹部の傷を思い出す・・・
ベルゼブブに傷つけられ、訓練に明け暮れた日々・・・
サヤ達と共にアクアの元で修業した日々・・・
月下は気付いてしまった
これが走馬灯ってやつか・・・?
既に意識は飛びつつあった
だがそこで目に輝きが戻った
「まだだ!俺は強くなる!」
月下がそう叫ぶと意識が戻る
それは刹那であった
月下に元祖に劣らぬ、非常に濃い赤い目が宿った




