南西戦争 ルシファー陣営vsヴァンパイア陣営 その2
不変とケイトの戦いは激しい攻防戦となっていた
不変が盾で殴打すれば、ケイトは両手斧で防ぎそのまま攻撃を繰り出すがそれを不変は盾で受け流す
こんなやりとりがしばらく続く
「お主なかなかやるな」
不変がそう言えばケイトは薄ら笑いをしながら
「おっさんこそそこまで盾を使いこなすのはなかなか珍しいぜ」
だがそんな二人のやりとりも終わりを迎える
向こう側の陣営が騒がしくなってきていたからだ
それに気付いた不変は少し意識を後方へと向けてみる
「どうやら向こうは終わりが近いようだ」
「ピュイアの報告だとお互い主力がそがれたようだぞ!?」
ヴァンパイア達が騒いでいる
不変はそう聞いてアクアを思い出す
般若の面を着けていたあの美女を・・・
師匠でもあった
いつもどこか寂しげでもあった
アクアをやれるような日本人はいないはずだと思いたい
百夜の元へピュイアが来ていた
「百夜様オーガ陣営はほぼ終結に近づいております。オーガは大半がやられておりますが、水牙様が日本人のアタッカー共を今倒しておりますので五分五分の戦況かと・・・」
ピュイアも戦争中であるのか服装は別としてまじめな態度をとっていた
百夜は報告を聞くと目を細めた
「ふむ・・・。若は動くか?」
百夜がそう言うとピュイアは首を横に振った
その様子を見て百夜は溜息をついた
「若は動きそうにないか・・・。ライバルとなりそうな方がおらないとああなのがネックですなあ」
百夜は顎をさすりながらも目の前の賢者ゴゴンから目を離さなかった
今のところ両者特に目立った動きはしていなかった
後ろにいるであろう姿を見せない敵もまた潜んだままだった
敵本陣を攻めているであろう不変とレイカが気がかりだが、百夜は動けずにいた
「仕方ありませんな。若に来てもらうよう言ってもらえませんかね?あなたでも後方の敵はちょっときついかも知れませんので」
百夜はそうピュイアに告げるとピュイアはスッと消えた
「ゴゴンよ。いつまでそうしておられますかね」
百夜は細めた目のまま賢者ゴゴンを睨んだ
「ほっほっほっ。そろそろ動きますじゃ。片方が片付いたようですしな」
賢者ゴゴンも情報をどこからか入手していた
勇者との旅のことはすっかり忘れていたが、知識は人間側ではトップだった
百夜は後方を確認するが、未だに動く気配はなさそうと判断した
「後ろの方も参戦されるのですかな?」
百夜は顎で後方に合図してみせた
それを確認したゴゴンは少し考えた様子を見せた
「参戦させたほうがいいですかな?まあわし一人じゃ真祖相手はきついなんてもんじゃないがのぉ。ほっほっほっ」
ゴゴンはそう言う割には余裕そうであった
百夜は周りに目を凝らすが、魔法による罠が展開されているようでもなかった
だがそれがかえって不自然に感じた
いつ動くのか・・・
汗はかかないが人間だったころならそうは知れないかもしれない・・・
百夜はどうすべきか考えていた
若が来るのを待つか・・・?
若に笑われそうだが、負けるよりはましかもしれない
百夜がそう考えているのを見透かしたのかのようにゴゴンが話しかけてきた
「味方が来るのを待っているのですかな?それもよいでしょうな。こんな老いぼれにそこまで警戒してくださるとは」
ゴゴンがお辞儀をしそうな勢いで喜んでいた
「わたくしめも大層な年寄りでしてな。警戒するに値する人物と睨んだのですよ?」
百夜は内心そう思っていた
ゴゴンは考える素振りを見せていたのだが・・・
「真祖ともあろうお方がそこまで用心されるとは・・・。ほっほっほっ」
ゴゴンの考えがいまいち読めずにいた
強敵なことには変わりないが勝てないとは思ってはいなかった
ただ後方が気にかかるのは確かだった
若が来る前に一人片付けてしまうか
百夜の顔つきが変わるのをゴゴンも確認すると互いに気を引き締めた
雰囲気が一変する
森林がざわめく
こうして魔法戦が始まるのであった
不変とケイトの戦いは変わりそうであった
不変が圧倒し始めていた
「ふむ。生身とは疲弊がでてしょうがないものだな」
ケイトからは疲労の色が隠せなくなっていた
「はぁ。はぁ。あんたは疲労しないのかよ・・・。ハンデなんてもんじゃないだろ・・・」
ケイトからは汗がポタポタ落ちているが、不変からは汗ひとつ出ていない
「ふむ。そろそろお開きにしようか。あちらの天使に用があるのでな」
不変はそう言うとルシファーを一瞥した
ルシファーは動じず、じっと空を見上げていた
「はあああ」
不変は力を込めると盾の殴打でついにケイトを地に沈めた
盾で殴打され意識が薄れていく最中ケイトは不思議な状態に落ちていた
「我に身を預けよ・・・」
どこからか声が響く
ケイトはその問いにどこか危険さを感じていた
そして、今までの光景とは一変して、何もない空間に居た
「誰だ!?ここは一体・・・?」
ケイトは辺りを再度見渡すが何もない
「我はサタン・・・。お主の中に眠っていた存在でもある」
ケイトは混乱した
眠っていた・・・?
確かに何かの記憶がおかしくなっていることは道中気付いていたが、それが結局何なのかわからずにいた
そこにサタンと名乗った者が更に付け加えた
「お前は一度死んでいる。そこをベルゼブブが蘇生に近いことをすることで再度この世に戻れた」
サタンの声には説得力があった
なぜならば生前の記憶が戻ってきたのだ
勇者と過ごした日々が戻ってきた・・・
そして今・・・ベルゼブブが何をしたのかもサタンが映像として見せていた
「うんうん。ケイトリィにはサタンでいいよね~?ゴレランにマモンでレレイクにレヴィアタンって感じでいいかな?にゃはは~」
ベルゼブブがそう笑いながら、魔法陣を頭に展開させていた
ケイトリィの隣にはゴレランとレレイクの死体があった
映像はそこまでだった
サタンが言った
「もうお前は人でもない。我々悪魔側なのだよ。というわけで交代だよ。君の記憶は十分に生かさせてもらうよ」
そうサタンに言われた頃には全てが闇に包まれた世界にケイトリィは放りこまれていた・・・




