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南西戦争前 その2

ルシファー陣営はゆっくりしていた

魔法によって陣はすぐ出来上がり、すぐそこにはトロヘイ大森林が見える

斥候に探りを入れさせている段階だった


「天使様。斥候より報告が!」

あわただしくしてきた兵士をルシファーは通す

「よい。どうした?」

ルシファーが怪訝そうにあわただしい兵士を見る

「ヴァンパイアの群れが確認されたとのことです!」

ルシファーは予想通りと内心思ったが、そのことは顔に出さない

ただヴァンパイアには統一戦争時派手にやられたと聞いていたのである

恐怖心が芽生えているのは間違いなかった

戦力としてあまり期待していないが、それでもやってもらうべき仕事がある

「そうか。御苦労だった。また何かあれば報告をしてくれ」

そう言うと兵士は下がっていった


ちょっとした合間沈黙したがそこで口を開いたのが

「ふむ。ヴァンパイアか厄介じゃのお」

賢者ゴゴンである

「じいさんとばばあは参加してたんだっけか?」

軽口をたたく戦士ケイト

「ばばあ!?この麗しい見目を見てそう思うんなら、目の治療魔法をかけなくちゃな」

魔女レレクが青筋立てて戦士ケイトを見ている

「やめんか。天使様の前じゃぞ。そのじじいからの作戦を聞いてもらいたいのですが」

賢者ゴゴンがそう言いルシファーを見る

ルシファーは頷く

「今回連れてきた兵士たちは魔法に長けた者が中心。個々は確かに弱いですが、人数がいる分まとまればかなりの力とみます。先制攻撃で上位光魔法を合同魔法で放ち弱いやつから片付けてしまい、そこに我々が特攻する。兵士たちでは死ぬだけですからの」

賢者ゴゴンがそこまで言った時だった

「さすがだな。俺もその考えだった。騎士団がまともに戦えなかったと言われる連中に兵士をいくらつぎ込もうと無駄だ。それに相手は疲労しにくい。持久戦も無謀。よって俺も最前線で戦い、その後ろでお前達が暴れるといいだろう」

ルシファーは負ける気がしてない

だからこそできる総大将が先陣を切る作戦

それにこの3人の実力は間違いなく高かった

パイモンからの報告で強敵の目星はついていた

元祖・月下・百夜・第六真祖・サヤ、そしてミカエル(不変)

ミカエルを抑えるので精いっぱいになるかもしれないところなのに人手が足りない

オーガに水牙がいるのもネックだったが、そっちは日本人にも有力な者が最近召喚されたらしいのでそいつにあたらせる

一気に攻め込まれるとさすがにきつい

ケイト、ゴゴン、レレクで3人抑えれるとしても空いてしまう者が出てくる

いっそミカエルを3人の誰かに抑えてもらっているうちに潰していくのもありかと考える

・・・ゴゴンか

戦闘経験が一番豊富で魔法のバリエーションも豊富

こっちの世界のミカエルは魔法に対して弱いらしいと報告されている

いっそパイモンにまた転送魔法でも掛けさせるかと思ったが、潰すなら早目がいい

そう思っていた矢先だった


兵士たちから悲鳴が聞こえる

月が巨大化してきていたからだ

そう元祖が神器ティアーズオブジムーンを使用したおかげだった

ゴゴンがその様子に一喝した

「恐れるなっ!!こちらの士気を低くしようとする敵の狙いにはまるなっ」

ゴゴンは的確に士気低下を防ごうと動き出していた

そしてルシファーは内心笑っていた

「元祖がこれで動けないな」

と思わず漏らしたほどだ

それを聞いたレレクが思わず聞いてきた

「元祖が動けない?どういう意味でしょ?」

レレクも実はハイエルフでかなり生きているのだが、神器については詳しくなかった

「おおう。聞こえていたか。元祖が持っている神器は、使っている間ほとんど動けない。攻めるのはまず出来ないと言っていいだろう。その代わり眷族が強くなるから総合力がアップするといったところだな。まあこちらの士気低下も狙いにはあるだろうが」

元祖の相手をしなくてよいのは手間が省ける

そう思うと笑いが止まらない

厄介な百夜を仕留めれば、後は楽になるだろう

謎なのは第六真祖か・・・

女という情報は入っている

実力が未知数だが元祖より強いことはありえないので、どうにでもなるだろう

問題はサヤか・・・

ベルゼのお気に入りでもあるから殺すのはまずい

早々に退却願うのが理想だが・・・

そんな時だった


「ベルゼ様より連絡がございました」

パイモンがルシファーのもとを訪れていた

そして耳元で何かを告げるとルシファーは思わず立ち上がって笑った

「これならば勝ちは確実だ!首都には凱旋の準備をしてもらおうか」

ルシファーがそう高らかに宣言したおかげで兵士たちの低下しつつあった士気は上がっていた



首都では・・・

「あのままだとさすがにるーちゃんきつそうだったからね~。にゃはは~」

ベルゼブブがそう言うと

「は、はあ。どうしてそこまで人間側に肩入れを?」

クママは困惑した顔で聞いてみた

ベルゼブブはいつも通りにっこり笑いながら答えてくれた

「そりゃ僕達の願いを叶えてくれるのは人間のほうが多いからさ~。にゃはは~」

クママはそう言われて考える

確かに人間のほうが欲深く、悪魔の願いをかなえるには最適と言えるのかもしれない・・・と

「それにね~?人間は発展しようとするけどあいつらは保守しか考えないからね~。つまらないんだよ~。にゃはは~」

クママには全く理解出来なかった

ベルゼブブは確かに人間達を一度大量に殺したはずなのだが・・・

これ以上聞くのはやめることにした

ノッホが心配そうな顔をしていたのも理由だが・・・

全然理解できん!

というのが率直な感想だからだ


しばらく沈黙した後急にベルゼブブがクルっと回りクママを見つめた

「ふふ。ノッホちゃんと長生きしたいなら、あんまり考えないほうが利口だよ」

そう言った時のベルゼブブからは強烈なまでの死のオーラに包まれていた

クママは思わず冷や汗を垂らす

ノッホはそのオーラにあてられたのか膝から崩れ落ちていた

だがすぐもとに戻った

「君たちはだいじょ~ぶだよ~。にゃはは~」

ベルゼブブはいつも通りの笑顔になっていた

クママはここしばらく忘れていた


最強最悪の敵がここにいることを・・・だ・・・

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