ドワーフ大迷宮の災難 その5
サヤ達一行は少し困ったことになっていた
ドラゴンがサヤについてくると言い始めたのだ
サヤも最初は乗り気だったが、あの大きさは何かと問題であった
その旨をドラゴンに伝えると今度は変身してしまった
一人乗れるぐらい(つまりサヤを乗せたいわけだが)のサイズに縮まったのだ
だがドワーフ帝国に行くにあたってそれは何かと問題である
その旨を再度ドラゴンに伝えると今度は艶めかしい女性へと変身してみせた
顔はサヤに似ていた
切れ長で瞳は黄土色のままで、瞳孔が縦に長いが亜人種も少々いるためそれは問題ではなかったのだが・・・
不変の目が釘つけになったのは服を着ていなかったからだ
胸は大きく、腰つきも怪しい
ピュイアと良い勝負出来るほど美しい
「ただこの姿だと弱くてたまらないのだが」
とドラゴンが嘆くが先ほどのちっちゃい竜の姿よりはまし、ということで服に関してはサヤの服を貸した
サヤは不変を見て呆れていた
不変は明らかに巨乳好きというのがこれで確定したわけだが・・・
ピュイアのときから怪しいと思っていたがこれほどまでとは思わなかった
昔話していた巫女も巨乳だったのだろうか?
サヤは切り出してみた
「オイ。でかちち女好き!巫女様もこんな感じだったのか?」
サヤが顔でドラゴンの胸に視線を移して見せた
不変は照れながら答えた
「うむ。神楽の舞いのときとかたまらなかったぞ?サヤも育てばかなりいい線いくの。ごふっ」
不変が喋ってる途中でサヤは頭に来てみぞおちに肘打ちをした
不変はむせりながらサヤを見た
「ところでドラゴンだと呼びづらいし名前はないのか?」
サヤがそう言うとドラゴンは答えた
「我の名か・・・。エンシャントドラゴンからは眠姫と呼ばれていた気がする」
エンシャントドラゴンという名が出て一同みんなびっくりした
だがその名前を聞いて顔をしかめたのが一人いた
シュトリュであった
やはりその様子を月下は目撃しており、シュトリュに質問した
「・・・元祖。その目」
月下はいつものテンションで口数少ないがそれでシュトリュへと通じた
「やれやれ・・・。そうだよ。百年ぐらい前かな?アクアっていう最強オーガと手を組んで滅世に挑んだ結果がこれさ。アクアはその戦いで夫を亡くし絶望し、怨血童子がまだ小さい時だってのに世を捨てたのさ。ちなみに全然歯が立たなかったよ」
シュトリュがそう言うと月下は震えていた
眠姫は動じていなかった
サヤ、不変、レイカはスケールが大きすぎてぽかーんとしていたジュッチェに至っては大口を開けていた
その時サヤが聞きなれた名前に我を戻した
「アクアだって!?オーガもあってるし・・・。般若の面をつけているか?」
サヤがそう言うとシュトリュは少し思い出しているかのように考えふけっていた
そしてしばらくすると口を開いた
「あの時はまだしていなかったかな?ただし夫が日本人らしかったから、その影響はあるかもね」
夫が日本人と聞き、サヤと不変が思わず顔を合わせた
召喚魔法が確立されたのは統一戦争後と聞いていたのでびっくりした
「昔からごくわずかではあるけどこっちの世界に紛れ込んでしまう人がいたようだよ。神か・・くし・・・?だっけかな」
シュトリュは昔を思い出すように言葉を捻りだした
それにサヤは反応した。レイカも頷いていた
「神隠しであっている。なんでアクアさんが般若の面を被っていたのか、不明だし聞けなかったがそうだったのだな」
サヤは少しアクアのことを思い出していた
「でまあ目に関してはその後夫が殺されて怒り狂ったアクアを止めるために負った傷さ。これが何故か治らなくてね。力を回復させるために旅に出たってわけさ」
シュトリュはそう言うと両手を上げてヤレヤレと再度ポーズをとってみせた
「滅世に喧嘩を売る馬鹿なのだからそれで済んでよかったというものだ」
眠姫はそう戒めた
「アクアってもしかして怨血童子の母君なのか・・・?」
レイカが恐る恐る聞いてきた
サヤがそっけなく答えた
「そうだよ?どうしたらあんなに強いオーガから・・・」
サヤはそこで不思議に思った
人間側に似てしまったのだろうかと・・・
「怨血童子は父側の血が濃かったと言われてますのでおそらく・・・。今となってはもうアクアさんの血縁者はいないのかも知れませんね・・・」
レイカは俯き、あの時のことを思い出して震えた
「さてそろそろ帝国目指そうよ。いい加減この土壁だらけの迷宮には飽きたよ」
シュトリュがみんなにそう声をかけるとみんな頷き歩き始めた
その頃首都では・・・
ルシファーが兵を集めていた
南西エリアのオーガ討伐のためである
だがランクA以上の冒険者はみんな北西エリアで全滅したため、強い者はいないはずだった
クママとノッホはランクSに該当するが、今は作曲中であり、ベルゼブブとルシファーの希望でもあったため遠征参加は見送られていた
だがランクSを名乗る冒険者が3人ほど居た
戦士と賢者と魔女である
そう戦士ケイトリィと賢者ゴレラン、そして魔女レレイクに似た人物だった
ベルゼブブとルシファーは微笑んでその3人を見ていた
「うまくいったみたいだね~。にゃはは~」
ベルゼブブが喜びの踊りをする
ルシファーはその様子を見ることもなく
「前に二人成功していて今回失敗するわけないだろう?」
ルシファーはそっけなく返す
それに対してベルゼブブはちょっとふくめっつらをしてみせた
「この魔法はなかなか難しいんだよ~。特に賢者は何か細工してる可能性が高かったしねえ~。小細工はしてたけど・・・ね」
そういうと無邪気な笑顔に似合わないかなり邪悪なオーラが放出されていた
ルシファーは呆れたように言う
「オーラ漏れてるよ?ちょっと今回首都に居すぎたかもね」
ルシファーがそう言うとベルゼブブは舌を出し邪悪なオーラの放出を止めた
「だけどおかげでクママの作曲は結構進んだみたいだし、いい感じだったし。南西エリアが片付いて帰ってくれば出来あがってそうだよね~。にゃはは~」
ベルゼブブはそう言って天井を見上げた
南西エリア討伐にはルシファーが指揮を執る
ベルゼブブはお留守番予定で居た
「あの3人がうまくいけばいいなあ~。まだあの二人はダメみたいだけどね。それでいいけどね。今回は3人開花しないといくらルシファーでもきついんじゃない?」
ベルゼブブがそう言うがルシファーは首を横に振った
「仮にミカエルが来ようと俺は負けない。だがそうだな。サヤと月下が一緒だとちょっと厄介かも知れないな。ベルゼの見越した通り成長しているようだしな」
ルシファーは少し考えてみせたがやはり自分が勝つと推測していた
ベルゼブブはそんなルシファーを見て微笑んでいた
ルシファーが仮にやられても問題ないんだけどね
そうベルゼブブは誰にも聞こえない声で呟いた




