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不変ー意志を持った刀と戦闘狂女性の伝わらない伝説ー  作者: くまま
南西エリア トロヘイ大森林 編
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旅立ち その1

遠出でもないとのことなので今回は武器防具を手入れする。それぐらいの準備だった

ゴブリンが出るという浜辺のほうに向かって行く

クママが先頭で何やら楽器を鳴らしている

なんでも敵が聞くと私達の前に現れてしまうらしい

強そうなのが聴いてしまったらどうする気なのだろうとふとサヤは思ったが、どうやら強い敵には聞こえないらしい

ジュピとノッホが並んで歩いていていつでも防御出来る。そう言った雰囲気を出している

私は後方でのんびりついていっている

本来ゴブリン10匹はジュピ一人でも簡単に倒せるほど弱いらしい

サヤさん一人でも勝てるでしょうが、集団戦は別物らしいので集団戦での動きをみたい

それがクママから聞いた今回の依頼を受けた理由だった

そして目的の場所に着いた

ゴブリン達は果物のようなものを集めているところだった

クママはサヤに目配せすると指で攻撃可能の合図を送る


「我の出番かな?」

不変はサヤにそう問いかけていた

「そうだな。格闘の腕前はもうみんな知ってるだろうしお前の威力がどれほどなのか確認したいはずだ」

「久々の出番の気がするな。ワクワクしてきたぞ」

サヤは不変を引きぬき右肩にのせる

「敵さんにまとまってもらうためわざと姿をさらけだして行ってみるか」

サヤは敵があまり強くないと聞いていたため我ほどのワクワク感はないようだ

浜辺の砂を踏みしめる音が響くとゴブリン達が一斉にその音の方に顔を向ける

そこにはTシャツにショートパンツ、動きやすそうな靴

そして不釣り合いな長身の刀が右肩にのせてある

ゴブリン達は何やら声を出すと依頼通り10匹まとまっていた

サヤはその様子を確認すると口角が上がっていた

「では、いざ!」

不変がそういうとサヤはゆっくりと不変を右肩から降ろし両手で構える

ゴブリン達が一斉に襲いかかってくる

一閃。やはり手下の時と同じように一閃それだけで十分だった

ぎりぎりまで引き付けてから範囲に入ったゴブリン5匹は一回の斬り払いで絶命していた

残りのゴブリンが固まっている隙にサヤは間合いを詰めまた一閃

ゴブリンはもうすでに1匹になっていた

ゴブリンは戦意を失い逃げようとしたが、刀を手放したサヤは一気に間合いを詰め裏拳からの回し蹴りを浴びせる

ハイキックがゴブリンの頭を直撃すると絶命した


「刀はんぱないな。どこの業物なんだ?俺の斧より切れ味よさそうなんだけど。練習の時使われなくてよかったよ。俺の斧壊れてたかもしれないし」

ジュピは感嘆のため息をついていた

「いやはや。いくら弱いとはいえ、あそこまで一方的な展開とは思っていませんでした。実戦に馴れてるようですねえ」

クママも顎をポリポリと掻くしかないようすだった

「ひとまず依頼達成ですね。さっさと戻りますかね。今後の予定も考えたいですし」

そういうとクママは荷物を持ちあげ歩き始めていた

「何か証拠は必要ないのか?」

サヤが尋ねるとジュピが代わりに答えてくれた

「謎のシステムでね。敵を倒した証が勝手に荷物袋に入るんだよ。それを提出すればそれで完了ってわけさ」

「フム、わからないものはわからないしそれで納得しておこう」

「俺やクママがRPGっぽい世界っていってるのはそういう意味合いも含まれてるんだ。まあいちいち剥いだりする必要ないし都合良く解釈してたほうが幸せだと思うぜ」

サヤは事前に渡されていた荷物袋を見るとゴブリンが身に着けていた腕輪が10個入ってることを確認出来た

そして重さも感じないことに気付いたがまあそこいらも謎のシステムなんだろうなと納得しておくことにする

ジュピが斧を持っていないこともこれで納得だ

不変も格納出来るのかなと思ったが、後がめんどくさそうなので背負っておこうと思った


ギルドと呼ばれる依頼を受けたり依頼達成の報告を行う場所で腕輪と依頼の紙を渡すと食料が出された

基本的に食料が依頼達成の報酬とそのとき説明を受けた

難しい難易度の依頼を達成した場合は武器防具が支給されることもあるらしい

報告を終えクママ一行の元に戻ると地図を広げて何やら話しているようだった


「やあ。報告御苦労さん。俺達の強さだと近辺には依頼がないんでね。地図を見ながらどこに行くか考えてたところさ」

「そういえばこちらの地図は見せたことなかったね」

そういうとクママはサヤに来るように催促し、地図を見せた


南西にある小さい島そこがポッペオ島現在いる島である

そして地図の真ん中にある大きい島こそペップイ島大半を敵勢力に奪われており、北東にこちらの人が固まっているらしい

北東・北西・南東・南西それぞれのエリアに、人間と同等以上の知性を持つ敵が統治しているらしい

たとえば南西が一番近いのだがそこを治めるのはオーガキング「怨血童子」

南東は真祖ヴァンパイア「月下」

北西を炎竜「獄熱」

北東に魔王「ベルゼブブ」

そして中央に魔王「ディアブロ」

もっともディアブロに関しては噂のみで詳細は不明である

というのもそれぞれのエリアの統治者達だけで制圧してしまったからだ

そして北東が一番強いらしくこちらの世界の住人はそこから動けない状態らしい

そして召喚された側も南西エリアの怨血童子の睨みで全く攻略出来てない状態である

というのも他のエリアよりも敵の数が圧倒的に多く処理している間に補充されてしまうのだ

そして怨血童子と直接戦闘したこともなく強力なパーティを送るわけにもいかないという状況なのだ

救いは北西と南東エリアの統治者達は興味が全くないかの如く傍観しているのだ

向こうも一枚岩ではなさそうというのが今までの情報でのこの世界の情勢だった

ちなみに各エリアで一斉に起きて原住民が一気に減った戦争を「統一戦争」と呼ばれている

原住民は負け、人口は1000万とも居たと言われるが今や100万ほどにまで減ってしまった

統一戦争で年号をわけており、今は敗戦10年と言われている


「どうもうちのパーティに南東エリアの調査がだされそうなんだよ」

クママは渋い顔をしている

「パーティ指定依頼ってやつだろ。難易度高いってことだよな?」

ジュピも難色をしめしている

「わ、わ、わたしも同意見ですぅ」

ノッホに至ってはもう泣きそうである

「なんだそのパーティ指定依頼とやらは」

サヤだけ目が輝いてる

「力がみんなから認められたパーティは名前がついててね。依頼主がそのパーティだけに依頼したいってときに使うんだ。これが厄介でね。受けないと名声が下がるししばらく他の依頼もギルドが斡旋してくれないんだ」

「まあほぼ受けるしかないってのが現状だよなあ。はぁ」

ジュピは頭を掻いてまいった顔で空を見上げた

「南東エリアの調査ってことはまず南西エリアを抜けないと行けないってことか?」

「いや船で南東エリアに行けるんだ。ただし帰りは南西エリアを抜けないと無理だろうね。敵さんがこちらの船を丁寧にそのままにしてくれるとは思えないしね」

「ウン?乗組員とかはいないのか?」

サヤが言うと

「俺達だけで船を動かさないと行けないんだ。まずこの時点できついわけだが、南西エリアを移動するとなると船以上にきつい」

「ジュピが船を操舵出来るからね。それとこっちでは時化が起きにくいから天気が読めなくてもある程度どうにかなるらしい」

こいつらなんでも出来るのか?サヤは内心つくづく使えるやつらだと笑顔を浮かべる

「しかし指定依頼で戻ってきたパーティいないんだよなあ・・・」

ジュピがぽつりとつぶやくとノッホがビクビクしはじめていた


不変は地図をみながら思っていた

各エリアのボスの存在

サヤが常時にやけっぱなしだったのだ

そんな脅威に我は付き合わせられるのか?

不安しかないんだが・・・

「サヤよ。まさか全部潰すとかそんなことは考えておるまい?」

「アン?楽しくてしょうがない!そうだろう?井の中の蛙って知ってるか?私は蛙なのか確かめたくてしょうがないのさ」

「確かにこやつらも強そうではあるが・・・」

「そうなんだよ。まだまだ隠してそうな気がする。おまけに元の世界にはない強化手段まであるそうじゃないか。この腕でどこまで行けるのか楽しいだろう?」

「竜とかやめてほしいんだが・・・」

「確かにきつそうだな。だが怨血童子とか月下あたりはいけそうじゃないか?悪魔は正直どう襲ってくるのか想像がつかん」

「いやいや。オーガとかヴァンパイアとか強そうじゃないか?命をかけた勝負がとことん好きなのか・・・」

不変は気付いていた

サヤが異常なまでに強さにこだわるのをだ

それにノッホもなんとなくサヤの様子をちらほら見ているようで時々サヤが笑っているのを確認しているようだったしな

普段から口数が少ないのか知らんがノッホはサヤといる時あまり喋らない気がする

クママとノッホが食事を取りに行った夜はもっと笑って喋っていた

クママに好意がありそうなのはわかるがサヤは気付いておらんだろうしな

これがいずれ衝突を招かなければいいのだが

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