ベルゼブブとの再会 その2
大広間にまだ残っている人物がいた
クママとノッホそれにレイカである
「レイカさんご無事でなによりです。オーガと一緒なのはびっくりですが・・・。話せばわかる・・・ということですかね」
クママは顎に手を当てながらそういった
「クママ達が月下戦で生き残れるかは半々だと思いましたし、指輪に亀裂が入った時は焦りましたが・・・。怨血童子の妻の墓に手を合わせていたのがよかったみたいです。なぜか日本の文化を知っていましたので」
レイカはそう言うと不可思議そうな顔をしていた
「レイカさぁ~ん」
ノッホは目をウルウルさせてレイカに抱きついていた
「ノッホさんも無事でよかったわ。この指輪ではクママしかわからないからね。まあクママもノッホさんより先に逝くってことはないでしょうけど」
レイカはジュピを思い出したかのように天を見上げていた
「すまない。怨血童子を追いかけなければこんなことには・・・。ジュピとレイカさんだけでも幸せになってほしかったのに」
クママは苦い顔をしていた
ノッホも頷いていた
「あなたたちはまだ生きてる。どうにでも出来るわ。ところであのくそ女はどこにいる?生きてるんだろ?」
くそ女と言われ、クママもノッホもちょっと戸惑ったが誰か察した
「ああ、サヤさんですか。月下と修行中のはずです。俺達に比べ熟練ではないですし。戦闘センスはいいんですけどね。生死の場数が違うでしょう?」
クママがそういうとレイカはちょっと考え頷いた
「ジュピと一緒に戦ってたってことは、少なくとも弱すぎる敵とは相手してないでしょうしね。サヤさんは強くなれると思ったので敢えて月下と修行させてるため南東エリアに残しました。まあ、ベルゼブブがこっちに来てるとは思いませんでしたけどね」
クママはそう言うと頬を掻いていた
「サヤさんの潜在能力はベルゼブブが見越した通りだと思いますよ~。掌で踊らされてる感もありますけどぉ~・・・。ジュピの仇を討ちたいなら堪えてください~」
ノッホもサヤは強くなるという見込みだった
ノッホは滅多に人を褒めないのはレイカも知っていた
「ふむ。ジュピの仇を言っておこう。ルシファーだ。あいつは必ず私が殺す!」
レイカの目には復讐に燃えた強い意志が宿っていた
「俺達はどっちかと言うとベルゼブブですかね。よからぬことを考えているでしょうし、一番大量虐殺を軽々こなすのはあいつでしょうしね」
クママはノッホを一瞥すると一緒に頷いていた
「悪魔殺しはベルゼブブにかなり効くみたいだけど、これだとちょっと目標が違うな。ベルゼブブはこれを見越して私に渡したのか?それともただの気まぐれなのだろうか」
レイカは考えたが考えはまとまらなかった
「ルシファーなら不変さんが相手してくれるから~、レイカさんのほうがまだ楽かもですぅ~」
ノッホがそう言うとレイカは首を傾げた
「誰なの?私みたいにルシファーに因縁あるやつなの?」
レイカにはなじみない名前で困惑した顔をしていた
「天使とか言ってたけか?なんかルシファーを追ってこっちの世界に来たみたいですよ。月下も圧倒しましたし、ルシファーと同等の力を持ってるとか。レイカさんルシファーが戦ってるとことか見たことあります?」
クママがそう訊ねるとレイカは首を横に振った
「そうですか。ベルゼブブ同等に近いと思った方が無難でしょうかね。と言ってもベルゼブブの本気も見てないのでなんとも言えないんですがね」
クママが頬を掻いたそのときだった
「あいつと対等に戦えるのは滅世ぐらいだろうさ。僕でも勝てないよ。あの化け物には」
そこにはシュトリュ、いや元祖が居た
「おもしろそうな話してたから来ちゃったよ。僕も混ぜて」
元祖は少年ではない本気の姿で居た
「元祖でも勝てないと・・・。てかあなたは戦う気ないでしょう?味方されてもきついですけど・・・」
クママは頬を掻いてなんとも言えない冴えない顔をしてみせた
「元祖・・・?月下の上の・・・?てかいつ居たの」
レイカは元祖としてのシュトリュの姿を見たことなかったのでさっぱりだった
「僕は元祖だよ。さっきまで子供の姿だったから仕方ないね。あれかなり力抑えてるから」
僕に似合わない姿なのでレイカは困った顔をしていた
そしてクママの方へ元祖は振り向く
「そうだね、クママ。僕は傍観者と言ったところさ。僕も世捨て人なところがあってね。眷族が無事ならそれでいいのさ。僕も水牙も昔はいがみ合ってよく戦争してたけど、飽きちゃったんだ。あ、水牙って怨血童子の前のオーガキングね」
さらっと凄いことを言ったが、レイカには名前でピンと来たようだった
「水牙さんをご存じなの?怨血童子の母ってだけは知ってるけど・・・」
レイカは俯いた
「水牙なら南東エリアの氷晶窟ってところに引きこもってるはずだよ。静かに寿命尽きるの待ってるはずだよ。あ、言っちゃいけないんだった。あははははは」
元祖は爆笑していた
「ところで滅世って獄熱とかの上の竜でしたっけか?そんな凄そうなので互角なんですか?とても勝てそうに思えなくなってくるんですが・・・」
クママが話を戻した
元祖の顔が真面目に戻った
「ああ、本気になれば滅世が勝つだろうけどね。あのベルゼブブってのも真面目に戦わない気がしてね。滅世はこの島の守り神みたいな感じの存在だからね。島を破壊出来る力がそもそもなきゃ滅世には勝てない。いきなり滅世と戦おうとしたら子供の4大竜が襲ってくるしね。あの相手はごめんだね」
元祖は昔仕掛けたことがあるような口振りであった
「その言い方だと昔仕掛けたっぽいですぅ~」
ノッホが思いっきり聞いていた
「水牙と一緒に攻めてみたんだよ。どっちが強いかってね。だけど4大竜の猛攻で滅世に近寄るどころじゃなかったな~。あははははははは」
元祖はまたも爆笑していた
スケールが大きくてクママ・ノッホ・レイカは笑えない
「あの頃は若かったのさ。ただ心配してるのは月下も怨血童子も僕らの域には達していない。そこを危惧してるのさ。ベルゼブブの思惑通りだとかなりまずい。神器でごにょごにょしても勝てないだろうからね」
クママはごにょごにょの部分を聞きたい欲求に駆られたが、元祖の性格上教えてくれないだろうと諦めた
ノッホを一瞥したが首を横に振っていた
「しかし、その口ぶりだとベルゼブブはよほど歓迎されていないようだね。みんなで協力して潰せないだろうか。各土地を原住民に返してベルゼブブに何の恩恵があるのかが不明なのが怖いが」
レイカはそういうと渋い顔をした
「そこが俺も引っかかっている。首都で人気取りもしているようだし、原住民を味方に・・・。わからないな」
クママも顎に手を当てて考えるがさっぱりのようだった
「賢者ゴレランが生きてればよかったんだけどね。あいつには苦しめられたっていうか、首都を落とせなかったのはあいつが居たからって言われてるぐらいだしね。勇者は二代揃って馬鹿すぎた・・・ふぅ」
元祖が溜息をするほど勇者親子は馬鹿だった
統一戦争の引き金となった怨血童子の妻殺しは勇者モッテンの父モッパンが行ったのだ
そして統一戦争を終結させたのはモッパンの首でもあった
勇者モッテンはそのとき10才、なんとなくは理解出来る年頃になっていたため
怨血童子への怨みは相当だったそうだ
それでベルゼブブを退治後、北西エリアを制圧して南西エリアを攻めるつもりだと元祖は考えていた
北西エリアを突破出来るわけもなく全滅したのはベルゼブブが言った通りであった
北西エリアを選択した理由として、
南東エリアも虐殺が起きたが、そののち月下の元で少しずつ復興していたためである
「勇者一行は全滅したって言ってましたね。一度顔を見てみたかったですけど・・・」
クママがそう言うとレイカが
「少なくとも勇者モッテンはダメだ。元祖の話通りなら親子共ダメだね。勇者一行の戦士、賢者、魔女は姿もうなかったからね」
そこでクママはレイカの方を見た
「レイカさんはその場に居たのですか?あ、オーガと一緒ということだと・・・。うん・・・」
クママは途中までいいかけたが察したのか口を濁した
「勇者助けよりも復讐を優先した結果だ・・・。すまない」
レイカも悪そうに俯く
「神器を勇者から引き継いだならそれでいいと思いますぅ~。少なくともベルゼブブの手に渡ってないですし~」
ノッホがそう言うとレイカは少しほっとした顔をした
「そこもわからない。ルシファーも私に渡すことは少し渋ったくらいだったようだし。傲慢としか思えない」
レイカは何となくそう言った
「傲慢」それこそルシファーの七つの大罪なのだが、それを知る者はいなかった
そう「暴食」を七つの大罪とするベルゼブブも知る者がいないため意図が掴めていなかった
「まあ、みんなで協力ってのは出来そうではあるけど、同じ召喚されし日本人の協力を得られるかどうかも気になるね」
クママがそう言うとレイカが気まずそうな顔をした
その様子に気付いたのはノッホだった
「レイカさん~?どうかしました~?」
ノッホにそう言われ、レイカは意を決した
「今頃オーガが攻め行ってる可能性が高い。ランクAがせいぜいだろう?オーガ一匹一匹が少なくともランクAの力は保持している。リーダー格もあまりいなかったように思えたし、陥落は必至だと思う・・・」
レイカがそう言うとクママもノッホも表情を暗くした
元祖は少し笑ったように感じた
「そこはベルゼの思惑から外れた気もするね。ベルゼも情報通みたいだからすぐわかるだろうけど」
元祖はそこで少し考えた様子だった
「少しずつベルゼの思惑から外していくしかないのかな。いずれ大きな歪みとなるだろうしね」
元祖がそう言うとクママは頷いた
ノッホとレイカはそこまで深くは考えていないようだった
「ところで元祖に聞かれてたってことはベルゼブブに聞こえるってことはないよね?元祖も喋ってるから気にはしてなかったけど」
今更な気もしたが、クママは元祖を見る
「聞こえてないはずさ。僕がこの格好をしている理由がそれだからね。君たちにプレッシャーを与えない範囲で領域を展開してたんだよ。領域は別次元と言っていいし、話しも漏れない。今のところ領域に干渉しないで他者の領域に何かするような魔法は出来てないよ」
クママは妙に納得した顔だが、ノッホもレイカもイマイチな顔をしていた
「月下は僕とクママで説得出来るだろうけど、怨血童子を君は説得出来るかい?ベルゼはなぜか怨血童子を気にいってるみたいだからベルゼにぶつければ多少動き鈍りそうなんだけどね」
元祖がそう言うと
「怨血童子はベルゼブブを嫌ってるみたいだから説得は出来そうかも。ただあまり期待はしないでね。私はクママ達と戦った方がより確実だと思うけど・・・」
何かあるのかレイカは口を濁した
「少なくともベルゼブブ・ルシファー討伐戦中に、南東エリアに攻め入るとかされなければいいと思います。サヤさん達が強くなっていれば、俺達の戦力だけでもなんとかなると信じたいですしね」
クママがそう言うとレイカは首を横に振った
「その時はついていくわ。ジュピにあの世で顔合わせ出来ないわっ!」
レイカの目にまた強い復讐が宿っていた
「そろそろ一旦お開きにしましょうかね。多分放置してくれてるでしょうけどもうばれてるでしょうしねえ。僕がやりとりはしてあげれるよ」
元祖がそう言うと、子供の姿に戻っていた
「では、また明日にしましょうかね。ジュピの想い出話し」
クママがそう言うとレイカは頷くだけだった
凍土はレイカが居ないので城内を歩き回り、そして城外へと出ていた
そこで、白骨化した死体を見た
「白骨化って・・・。てかここまで攻めれたパーティ居たんだね。何か目印ないかな」
凍土は白骨化した死体をごそごそ漁る
そして、チームに与えられるエンブレムを見つけた
「お、目印っぽいの発見!魔法で鑑定してみよっと」
凍土が鑑定するとチーム名がほんの少しわかった
「何々チーム・ペ・・・ん~エンブレム壊れててしっかり鑑定出来ないみたいだね~残念」
そして死体の元へと戻す
他に手掛かりがないか探すがダメだった
「ざ~んねん。飽きたしそろそろレイカも戻ってくるだろうし部屋に戻ろうっと」
凍土は口笛を吹きながら城内へと引き返した
それを見ていた二つの影があった
そして白骨化した死体は影へと消えて行った




