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北西エリアの激戦 その2

嵐雷を倒したと思った矢先のことだった

勇者一行はみんなその場に立ち尽くしていた

獄熱・凍滝・噴土の4大竜の3体が目の前に迫って来ていた

賢者ゴレランも何も言えないで立ち尽くしていた

かの勇者モッテンも言葉を忘れ接近されるまで呆然としていた

そしてある程度目視出来る距離まで詰められてから勇者が我に戻り指示を出した

「みんな嵐雷の他の4大竜が接近している!防御態勢をとれ!ゴレラン!レレイク!防御魔法を頼む!タンク部隊前に!」

賢者ゴレランが指揮を忘れていたため勇者モッテンが代わりに指示をだしたのだ

だが、時は既に遅かった


いつの間にか3体は勇者一行を囲んでいた

そして獄熱が灼熱のブレスを吐き出していた

同時のタイミングで凍滝が羽ばたき辺り一面吹雪になり

噴土が灼熱のブレスから勇者一行が逃げられないように土を蹴りあげ地面を隆起させていた

吹雪で体の動きが鈍り、更に逃げ場も失い魔法での防御もままならない

タンク部隊も前衛にあがりきれずの態勢でばらばらで混乱していた

もはや統制がとれる状態ではなかった

獄熱の灼熱のブレスが勇者一行に襲いかかる

先ほどの戦いの傷が癒えてない状態であったため、次々とやられていく

そして灼熱の影響で吹雪がなくなり、隆起してない場所へみんな我先にと逃げようとした

だがそこに構えていたのは噴土だ

体長は100mほどにもなる4大竜で最も大きい体だ

土色の鱗が鈍く光る

そして逃げようとする勇者一行を巨大な前足で次々と潰していく

タンク部隊、アタッカー部隊が攻撃するが全然効かず弾かれる

魔法部隊も統率がとれておらず、詠唱しようとするが何故か詠唱が無効化されていた

それもそのはずだった

凍滝が閉じ込められた勇者一行の上空で詠唱無効化の魔法陣を作り上げていた

この魔法陣に閉じ込められると作成者つまり、ここでの凍滝以上の魔力がないものは詠唱が出来なくなっていたのだ

賢者ゴレランが何か言っているが混乱でうまく伝わっていなかった

そして勇者モッテンは何がどうなっているのかわからずただ呆然としていた

悪魔殺しが機能していなかったためだ


いくら掲げて魔力を伝えようとしても伝わらずいつの間にか辺りは獄熱の領域へと変わっていた

獄熱の領域はとにかく熱かった

そして狭まれた勇者一行に合わせるかのように領域が狭まっていた

凍滝・噴土は既に少し離れて様子を見ているだけだった

既に領域内は100℃を超えていた

熱中症に弱い者からなっていた

賢者ゴレラン、魔女レレイクが魔法を唱えようとするが無効化されていた

いつの間にか3大竜が力を合わせていたためだ

凍滝一匹でも十分だったのだが、用心しまくる竜達の性格がそうさせていた


「モッテン様申し訳・・・ご・・・」

賢者ゴレランがついに膝をつき、そして倒れた

「じじい・・・。しっかりしろ・・・」

そして魔女レレイクも倒れた

「まずいよ・・・。もう立っているのは私とモッテンだけだよ」

戦士ケイトリィは周りを見渡し勇者モッテンにそう言っていた

「なぜ悪魔殺しが動いてくれないんだ!なぜだ・・・?それに魔法の援護が全然ない状態では・・・くっ」

勇者モッテンも膝をついていた

かろうじて戦士ケイトリィは立っていたが動くのもきつそうであった

だが

「モッテンだけでもここから逃げてくれ!私がなんとか逃げ道を作る!」

そう言うと戦士ケイトリィが勇者モッテンに微笑んだ

そして、両手斧をしっかり握りしめ獄熱に挑もうとしたが獄熱の前足一発でやられた


獄熱がゆっくりと勇者モッテンに近づいていた

その時勇者モッテンは思いもしない光景を見た

倒したはずのベルゼブブ、そして嵐雷の姿を見たからだ

「な・・・ぜ・・・?倒したは・・・ずな・・・の・・・に」

獄熱は領域を解いていた

そしてベルゼブブがゆっくり口を開いた

「北東エリアではお世話になったね~。僕の影武者を倒して浮かれてくれて助かったよ~。にゃはは~」

勇者モッテンは魔王城でのやりとりを思い出しそして力なく拳を大地に振り上げた

「我はエンシャントドラゴンつまり我々の父である滅世様が、ベルゼと契約することで死ぬ寸前で回復したのだ」

嵐雷がベルゼブブに続いて答えてくれていた

「悪魔殺しが厄介すぎるんだよ。お前はここで死ね。悪魔殺しは人間の手の届かないところへ封印することにした」

ベルゼブブが真面目になっていた

鋭く冷たい目が勇者モッテンを見下していた

「勇者は死んでもすぐ誰かが勇者を継ぐことになることは知っているだろう?俺を殺すことになんの意味がある?」

死にたくないその一心だった

「お前が嫌いなんだよ。馬鹿すぎて行動力が高く自由に動けなかった。その代償だ。ごみがっ」

ベルゼブブは勇者を蹴りあげる

そして胸倉を掴んでいた

「お前ぐらいの雑魚。生かしておいたほうが言った通り、次の勇者も出てこなくて好都合なんだけど、さっ」

ベルゼブブは勇者の腹を貫いた

勇者モッテンは大量の血を吐き出す

「貴様は悪魔殺し持てないだろう・・・。誰が封印出来るってんだ・・・」

勇者モッテンは朦朧とする意識の中でベルゼブブに問いかけた

「堕天使様がいるんだよ~?それにオーガ族に交じって日本人が一人来ている。悪魔殺しは僕が持てなくてもどうにでもなるのさ~。にゃはは~」

ベルゼブブがそう答えた時には既に勇者モッテンは事切れていた

その様子に気付いたベルゼブブは勇者モッテンを燃やし灰にしていた


そしてアイドルグループ・ベルルンのベーちゃんの格好へと変身していた

「ばいばい~。は~さっぱりした~。それで悪魔殺しだけどどうしようかな~。ルーちゃんに渡すのもなんか怖いけど、楽しい展開になりそうでもあるんだよね~。にゃはは~」

ベルゼブブは考えてないフリして悪魔殺しの周りを歩いていた

「俺が魔王城に封印しようかと思っている。そこの人間は俺をずっと睨んでいるしな」

ルシファーがそう言うとベルゼブブに指でレイカを指示していた

「あれ~そう言えば童子ちゃんとこに居た人間だね~?ハゲ黒光りはどうしたの~?まあ僕の領域に居たし発狂して死んだかな?にゃはは~」

ベルゼブブはあまり気にした様子もなくまた歩きだした

その時レイカが口を開いた

「私に悪魔殺しを預けてくれない?ベルゼブブ様に憎しみはないの。ルーちゃん?にこの武器は通用しないのでしょう?」

レイカは冷や汗を垂らしながら言った

「う~ん。そうだね。確かにルーちゃんには効かないね~。けれど君が持って僕になにか楽しいことは起きるのかな?」

ベルゼブブは歩きを止めてレイカを見つめた

ベルゼブブの目に吸い込まれそうになったレイカは慌てて怨血童子と凍土の方を一瞥すると答えた

「次の勇者がどう選定されるのかは不明だけど、悪魔殺しを持てば勇者になれる可能性もあるでしょう?そうすれば勇者の地位をうまく使えると思わない?」

レイカは唾を飲み込むとそう言った

「ほ~?どうしてそう思ったの~?今の僕ならこの世界から人間とそれに友好的な種族全て滅ぼせると思わないかい?にゃはは~」

ベルゼブブがそう返してきた

「その気ならばルーちゃんとやらに首都攻略を命じて殺せたはずだわ。それをしなかったってことはまだ利用価値があるってことでしょう?その手伝いをしてあげるってこと」

そこまでレイカが言いきるとベルゼブブは考えていた

「ルーちゃんからは何か言うことある~?僕の作戦をより確実にするには、そこの人間に預けてもいいかなって思ったんだけど~。にゃはは~」

いつものベルゼブブに戻ったのかくるくる回っていた

「ふむ。まあ俺にその武器で挑もうが簡単に殺せるしな。ベルゼが楽しくなるならそれでいいんじゃないか?」

ルシファーはルーちゃんの格好のままだったので凄味が感じられず、前のような殺気を放ってもいなかった

「そっかそっか~。じゃあ人間に預けておこう~。勇者にならなくてもいいよ~?それ持ってるだけで十分効果あるからさ~。にゃはは~」

ベルゼブブは楽しそうに踊っていた

「それと竜ちゃん達滅世に伝えておいてね~。中央から絶対に動くな。とね~。にゃはは~」

一瞬凄まじい殺気でカマイタチとなりレイカやオーガ達を軽く切ったがじっとしてベルゼブブを見ていた

「ああ。人間一回だけでいいから首都に来てね~。僕たちが仲良いことアピールしたいからね!にゃはは~」

ベルゼブブはレイカの腕に抱きついた

レイカは硬直していた

「意外と大きいな~。お風呂とかも楽しそうだね~!ねっ。ルーちゃん」

ベルゼブブがルシファーにウィンクしたがルシファーは乗り気じゃないようなそぶりを見せた

レイカの胸をベルゼブブは鷲掴みにしたのだが、それでもレイカは硬直したままだった

「名前は~?」

ベルゼブブの問いにレイカはやっと硬直を少し解いて答えた

「レイカ・・・だ」

「レイカちゃんだね~!日本人の人気も取れるかもだね~。にゃはは~」

レイカにベルゼブブは屈託ない笑顔を見せるが、レイカは「あはは」と冷笑するしかなかった

「そろそろ出番だぞベルゼ?戻るぞ。レイカと言ったか、俺も覚えておこう。俺を殺そうとするものの名をな。ふっ」

一笑するとルシファーは消えていた

「あ~そんな時間か~。じゃあね~。レイカちゃん首都来たら、検閲官にべーちゃんへのお使いで来た。と言ってね」

そう言うとベルゼブブはレイカや竜達に手を振ると消え去った


周りの雰囲気はどっと和らいでいた

「いつもだが緊張するな・・・。だがこれで・・・!」

レイカはくたくたになったのか、その場に座り込んだが顔は明るかった

手元には悪魔殺しが鈍く光っていた

「やりましたね。これでこちらの作戦も一歩進みましたね」

レイカは手を上げると凍土とハイタッチした

「よくやった。しかしこれがどれほどあの悪魔の動きを鈍らせていたのだろうな・・・。勇者に対してかなりな怨みがあったようだが・・・」

怨血童子は相手から発せられる怨みについてかなり見れた

「このまま首都に近づいたほうがいいのだろうかねえ・・・。一度ぐらい顔見せればそれでいいのだろう?」

レイカは地図を睨んでいた

「そうだな。俺達も首都に入れるだろうしな。賢者ゴレランが死んだのは大きい。魂はもっていかれたがまあ問題ないだろう」

怨血童子が見つめた先には全滅した勇者一行の姿が映っていた

そこにみんなで近寄っていく

焼けたような臭いが鼻につく

「そういえば勇者は灰になったようだが、有名なパーティメンバーの遺体はどこだ?」

レイカが何気に言ったのだが怨血童子の顔つきが変わっていた

「そういえばないな・・・。まさか・・・!」

怨血童子が詠唱し、血を上空に舞い散らせた

「くそっ。戦士ケイトリィ、賢者ゴレラン、魔女レレイクは何かしらの寄り代にされる可能性が高いぞ。寄り代にされるとそいつが生前使えたスキルも使えるっていう化け物が出来上がるんだよ・・・」

怨血童子は地面に拳を突きたてていた

「その3人は聞いたことがある気がする・・・。統一戦争でも活躍したとか」

統一戦争で一番有名なのは3大賢者による魔法防壁であった

その代償で賢者ゴレランの他の2大賢者は命を落とすはめになった

賢者ゴレランも寿命を削られ、一気に老けてしまったほどだった

「一歩近づいたようで二、三歩離された感覚だ・・・。統一戦争の話は首都に向かう途中でしてやろう。尤も我々勝利側の視点になるだろうがな」

そう言った時の怨血童子の横顔はいつも以上に寂しそうであった

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