北西エリアの激戦 その1
しばらく北東・北西・南西エリアの話しになります。
サヤ一行はしばらくなりをひそめます
首都でアイドルグループが人気を爆発させていたころ
勇者一行は・・・
北西エリアの雷森を進んでいた
「モッテン。どうやらここからが嵐雷の居場所のようだよ」
戦士ケイトリィが勇者モッテンにそう言っていた
「どうやら悪魔殺しの出番のようだね」
勇者モッテンはそう言うと悪魔殺しを掲げた
そして領域の効力を無効化させていた
「嵐雷」は雷を司る4大竜の一匹
北東エリアと接地しているその領域は常に雷が鳴り響き辺り一面が焦げている
生物はゴムのような皮に包まれているものがほとんどだった
天敵が少ないため、進化に成功した生物の楽園に近かった
他の4大竜「獄熱」「凍滝」「噴土」の守る領域もそれぞれ同じようなものだった
過酷な自然なだけに進化さえしていれば極楽にかわる
そんな場所が北西エリアだった
悪魔殺しが光を放つと辺りから雷が止む
たださすがに全領域を無効化までは出来ないでいた
4大竜それぞれが守る領地全てを常に領域で覆っているからだ
そのおかげで常に自然の脅威が襲っている
また、領域のおかげで敵の侵入がすぐわかるようになってもいた
勇者モッテン一行は悪魔殺しを掲げて侵入したわけなので、派手に見つかるだろうとは賢者ゴレランから知らされていた
賢者ゴレランは魔女レレイクと共に補助魔法をみんなにかけていた
もういつ襲われてもおかしくはない
勇者モッテンは戦士ケイトリィを先頭に立たせ警戒させながら嵐雷が居る雷森を突き進む
「どうやらお出ましのようだよ!」
戦士ケイトリィがみんなに大声で知らせる
その時戦士ケイトリィに対抗するかのように竜の咆哮が聞こえてくる
「ほっほっほっ。やってきたようじゃぞ!みんな気を引き締めよ!」
賢者ゴレランが勇者パーティに声をかける
「予定通りまずは翼を壊すわよ。魔法部隊はタンク部隊の後ろで詠唱開始しなさい」
魔女レレイクが魔法部隊の指揮を執る
魔法部隊はハイエルフと言われるエルフ族より希少な部族で魔法の扱いにこの世界で一番長けていた
魔女レレイクもハイエルフである
タンク部隊がタワーシールドを構える
タンク部隊は原住民でも筋力に自信のあるものがほとんどであった
女性でも強いものは強く男女混合の部隊でもあった
賢者ゴレランはそこに雷耐性の魔法を唱えていた
魔法部隊は合同魔法を唱え始めていた
合同魔法はその属性の魔法を覚えていなくても使える優秀なスキルでもあった
ただし原住民にしか使えないスキルであり、原住民の冒険者はみんな覚えている基礎スキルでもあった
魔女レレイクが筆頭になり土属性の上位魔法を詠唱開始していた
「永劫より我らを支えし大地よ」
嵐雷は領域を荒らす者達を即座に見つけることに成功していた
勇者一行は多人数であり森の動物達も一斉に逃げていたのが目に見えたからだ
嵐雷の見た目は全長40mほどで体からは雷が常に放射されていた
立派な髭をなびかせて滑空してきたのだ
そしてそのまま強風をタンク部隊にぶつけ前足でなぎ払おうとしたが、タワーシールドが思ったより固かったためもう一度上昇していた
賢者ゴレランは全体の指揮を執っていた
「上空よりもう一度来るぞい!魔法部隊の詠唱にはまだまだ時間がかかると思えい」
賢者ゴレランの声が響きわたると、もう一度嵐雷が滑空して強風を巻き起こす
タンク部隊は全員不動のスキルを有効活用し、その場から吹き飛ばされないようにしていた
全員巨体でもあり、きっちり隙間をなくしていたため、魔法部隊はそれほど強風の影響を受けずに詠唱を続けていた
「我々に恵みをもたらし、命を育む大地よ」
魔女レレイクの詠唱に魔法部隊が続く
勇者モッテンは今はただ待機しているしかなかった
悪魔殺しは領域を消してる間魔力を消費するためだった
領域の効果を無効化しているからこそ今の状態で居られる
そして嵐雷が3度目の滑空をしてきたところでタンク部隊に異常が発生した
一部のタンクのタワーシールドにヒビが入っていた
「ゴレランまずいよっ!数人のシールドがもう持ちそうにないっ」
戦士ケイトリィの声が響くと
「仕方ないのぉ。耐久を回復させるゆえ弓部隊よ援護してくれんかのぉ」
賢者ゴレランがそう返答すると弓部隊が一斉に上空の嵐雷に牽制射撃を行った
弓部隊はエルフ族で構成されており、美男美女で長命、長耳が特徴であった
魔法はハイエルフに負けるものの人間よりは優れていた
「かの者に恵みの怒りを与えたまえ!」
魔法部隊の詠唱は完了した
土属性魔法を矢じりに纏わせ射撃したため嵐雷は少し嫌がっていた
それだけで賢者ゴレランには十分な時間であった
「よし。これで耐えきれるはずじゃ。もう一度来たら魔法部隊は放つのじゃ」
先ほどまでぼろぼろになっていたタワーシールドは新品のような輝きを放っていた
そして3度目の嵐雷の滑空からの強風が巻き起こった
タンク部隊はなんとか耐えきった形だった
嵐雷がまた上昇しようとしたときだった
「いけええええ。アンガーオブジアース!!」
魔女レレイクの声が響いた
地面すれすれを滑空していた嵐雷に隆起した土が次々と襲いかかる
隆起した土は全長20mほどもあり、また直径も20mもある巨大な土の塊であった
嵐雷から咆哮が響きわたる
結構なダメージを与えていた
魔法部隊もかなり魔力を消費したが効果は抜群だった
嵐雷の翼はところどころ破けており上空に逃げようとしたがうまく上昇することが出来ずにいた
そこへ勇者モッテン率いるアタッカー部隊が次々と襲いかかろうとする
だが翼がもがれてからも気が抜けないのが竜であった
巨体から繰り出される尻尾の攻撃がアタッカー部隊を吹き飛ばす
そして巨体から繰り出される足による攻撃は一撃でアタッカー部隊を即死させた
嵐雷に纏う雷は悪魔殺しで無効化されているが、うまく近づけにいた
「タンク部隊がやはり必要だ。タンク部隊が攻撃を受けている間に近づいて攻撃せよ!」
賢者ゴレランの声が響くと
「勇者を信じよ!俺がいれば問題ない!」
勇者モッテンが悪魔殺しを掲げタンク部隊に続いていく
アタッカー部隊の士気もまた上昇し、勇者モッテンに続いて突撃する
タンク部隊が攻撃を防ぎ、弓部隊が土属性をまとった矢じりで攻撃する
ひるんだところにアタッカー部隊が攻撃を加えて離脱する
これが数度続いたところで嵐雷の動きが鈍くなっていた
「今じゃあ。止めを刺すんじゃ!」
賢者ゴレランの声が響きわたり勇者モッテンが続いた
「ゴレランの言うとおり!今こそ4大竜の一角を崩すぞ!」
勇者モッテンの悪魔殺しが光を帯び始めていた
その時だった嵐雷が喋った
「愚かなり・・・。我を滅ぼすと兄姉が黙っておらぬぞ・・・?」
命乞いとも思えるように聞こえたのか勇者モッテンは笑った
「俺達より遥か古より生きてきたと言われる竜も死は恐怖するか。だがそう言われて生かしておけるものか!」
悪魔殺しがより一層光を増していく
「モッテン様、やめ・・・」
賢者ゴレランが何かを言おうとしたときだった
「死ねええええ!極光剣の零!安らかな光りに包まれて逝くがよい」
勇者モッテンはそう言うと辺り一面を光が包み込まれた
そして嵐雷が倒れた音が響きわたる
「うおおおおおお!4大竜の一角!嵐雷を討ち取ったぞ!」
勇者モッテンがそう叫ぶと大歓声に包まれた
だが賢者ゴレランだけは膝をつき顔から涙が溢れていた
当初の予定では殺しまではしないつもりだったのだ
力を見せつけ協力を仰ぐ予定だった
だが今見えている光景は嵐雷の死体であった
そして嵐雷の死体はやがて風化して消え去っていった
だが異変に気付いたのは魔女レレイクだった
「あれ・・・?モッテン様。嵐雷のドロップアイテムって魔法袋に入りました?」
魔女レレイクが嵐雷のドロップ品が気になって魔法袋を漁っていたが見つからなかったのだ
「お?そういえば竜のドロップ品って凄かったよな。どれどれ」
勇者モッテンも魔法袋を漁りだしたが、見つからなかった
そして勇者モッテン一行から冷や汗が垂れだした
あまり離れていない距離から竜の咆哮が3つ同時に鳴ったからだった




