出会い その1
我は確かに手下を斬り捨てた
そのはずだった。ところがどうだ。
ここはどこだ?
森ではあるのだが、神社はない。幾年も過ごした神社は何処にも見当たらず住んでいた森とは雰囲気が違う
そしてそれを感じ取ったのは女性も同じことのようであった
「こ、ここは?」
女性は困惑した
先ほど斬り捨てた手下は見えず、森の雰囲気も先ほどとは一変していたからである
手にした野太刀をふと見る
そして何を思ったか
「お前の仕業か?」
はたから見ればもはや女性は狂気であると言いたいが女性は特別可笑しくなったようには見えなかった
「ふむ我もわからん」
女性は一瞬困惑したがやがて先ほど聞いた声の主とわかると表情を緩め聞き直す
「そうか。おまえを振るったことで世界がおかしくなった。というわけでもないのだな?」
女性は既に冷静にどうなったのか必死に考えているようだった
「我はずっと祀られてきた存在である。刀として人を斬ったことはないのでな。ただ理を変えれるほどの力は我にはない」
「チッ。冷静にそう言われてしまってはな」
女性は唾を地面に吐き飛ばすとイラつきを隠せずに地面を蹴り上げていた
「そういえばお主の名前はなんというのだ?」
「ん?わたしか?サヤだ。おまえの身を入れるための道具ではないぞ?」
サヤ。巫女っぽい名前なのかなと不変はふと考える
「我の名は不変。野太刀であるが祀られているうちに自我が芽生えたらしい。物の怪ではないぞ!」
キリっと言い放つとサヤは別にどうでもよさそうな顔で我を見つめていた
「意志を持つ刀か。初めて聞いたがまあそれはどうでもよいことね。本当にここはどこかしら」
サヤは周りを見渡していた
不変は意志を周りを見渡すことに使い始めていた
夜なのは間違いなさそうであった
そして月夜と思われる明かりもある
だが今までの場所とは違う
明らかに変わりすぎていれば状況も理解しやすいのかもしれぬと思ったその時だった
「ひとまず考えてても仕方ない。行動しましょ」
サヤは我を鞘に納める背中に担ぐと歩き始めた
「我を持ったままのほうがよくないか?」
「いいえ。無駄に敵対行動は取りたくないわ。それにわたしは格闘のほうが得意なの」
確かに格闘の腕前は高いようだったなと前の戦闘を思い起こしていた
「囲まれたら使うがよい」
目上視線でいたほうがいいのかな?とふと思っていた矢先だった
「アァン?下手にでてりゃ!自力では動けないようだし地面に突き刺して置いていこうか?」
サヤは我を見つけた時のような邪な笑顔を浮かべている
「あ、いや。サヤよ。それはやめてくれ!!」
冷や汗だしたいよ。もう!と言いたい気分に襲われていた
サヤは周りを見渡しながらこう思っていた。
「お腹すいたわぁ~。ふわぁ~」
手下を相手に全身汗だくで戦っておりそれに突然違う場所に移動したのだ。
余計に神経をすり減らしていた
背中に納めた不変はおそらく空腹の概念等ないのだろうなと羨ましそうに思った
でも
「血の味とかわかったりするのだろうか」
サヤはそう考えるとゴクリと唾を飲み込んだのを知った
そしてそれとなく聞いてみることにしたのだ
「オイ。不変とやら。どうしてそんな名前なのだ?もっとかっこよい名前とか普通つけられるだろう?」
「ごもっとも。だがどうも特殊な作りのようでな。巫女は我が永久に変わることなく何も起きないと言っていたのだよ」
「変わることないから不変?変わらないとは?」
「たとえば人を斬っても血がつくことはない。刀と鍔迫り合いになっても我が欠けることはない。らしい。ただ我が戦いになって使われたことは今まで一度もなかったのだ」
サヤは言われてみて思った
確かに手下を斬った感触はあり、血が飛ぶのも見たそれでも血がついてなかったことに。
綺麗な刀身のまま鞘に納めたことに今気付いた
「というわけで我を研いだりする手間はないと言えるだろうて。ずぼらそうに見えるサヤにはちょうど良いのではないかな?」
「はは。確かにずぼらは言えてるかもね」
不変は思わず無邪気に笑うサヤに見入ってしまった
ここまで一緒に居て初めて全身をみたのだが、身長は160cmぐらい。筋肉がほどよくついており、胸はそれなりにありぴんと張っているという表現がただしいだろう。腰は細く、お尻も引き締まっているが大きいほうではないだろうか
巫女はどちらかというと胸は大きいが自由に暴れすぎていた
あ、いやそれはいいのだ
顔つきは釣り目ではあるが狐系の美人という感じだろうか
薄ら桃色の唇に黒髪のポニーテールだ
まあ我には関係ないのだがね
巫女に劣っていないのだから普通の男は言いよってきそうな気はする
まあ喋れば幻滅するだろうが、ははは。
「ところで話す限り見えてはいるようだが見えたり臭ったり感触だったりはあるのか?」
「いや話したり見えたりはするがそれ以外は特に何も出来ぬな。自らの意志で何かを斬りつけたりも出来ぬし。」
「そうか。血の味とか興味あったのだが仕方ないな」
さらっと怖いこと言ってるとか口にはだせんなと感じつつ森をまた見渡すとサヤはまた歩きだしていた