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不変ー意志を持った刀と戦闘狂女性の伝わらない伝説ー  作者: くまま
南西エリア トロヘイ大森林 編
16/101

トロヘイ大森林にて その6

グリフォンの一撃は咄嗟すぎて不動が発動出来なかったとはいえ、鎧を軽く貫き致命傷には十分だった

レイカの泣きじゃくる顔が霞んで見える

「レイカ無事か・・・?」

霞む視線の先に見えるレイカの頬に手を伸ばす

レイカはちょっとびっくりしたような様子だったが少し冷静さを取り戻していた

「ええ・・・。いろいろ見苦しいところ見せちゃったわね」

「いや、構わないぜ。それでこそレイカだろ?」

ジュピは咳き込むと同時に吐血する

「ジュピ!!どうして私を庇ったの・・・?」

「お前を守るのが俺の役目だろ?それに・・・ごふっ」

「ジュピ!!怨血童子どうにか出来ないの!?」

レイカは怨血童子のほうを見つめる

「すまない。やれるとしたら苦痛を和らげることぐらいだ。手当までは出来ぬ。レイカの時はちょうどオーガが数体倒されていないのでそれを触媒にして命を繋げれたのだ。今回はそうはいかないのだ・・・」

「じゃあベルゼブブに祈るのは!?」

レイカは何かを捧げる覚悟は出来ている。そんな目だった

「無理だ。グリフォンはかなり速いしベルゼを再度呼び出せる保証はないんだ」

怨血童子もどうにかしたかったが、ベルゼブブを再度呼び出すのは反対だった

苦痛に歪むジュピを労わるために魔法をかける

ジュピの顔からは安らぎが感じられる。痛みを誤魔化す魔法のようだ

ジュピがレイカの手をとる

「いいんだ。もう一度レイカに会えた。それで十分だ。俺の右手の中指にはめてる指輪、それをレイカに」

レイカが頷くとジュピの中指にはまっている指輪を取る

「クママの位置と生死がわかる魔法指輪だ。俺が死にそうなのはクママも今わかってるはずだぜ。何かあればクママを頼れ」

そう言うとジュピはウィンクして見せたがまた吐血する

「そんな最期みた・・・い・・・な」

レイカからまた涙が流れるとジュピが指で拭った

「せっかくの美人が台無しだぜ?俺の分まで生き抜いてくれ。それが願いだ」

「嫌よ!また会えたのに・・・また離れるなんて・・・もう耐えきれないわ」

拭いきれないほどの涙が零れ落ちる

「そんな我儘も好きだぜ?だけど、もう限界だ。ああ桜が散っていくな。レイ・・・」

レイカに触れていた手がぶらりと力なく落ちていった


ジュピ、レイカを庇いその命を散らす

ジュピの瞼に映った最後は桜の下でレイカと二人夜空を見ていた


「絶対にあいつを許さないわっ!!うああああああああああ」

レイカの叫び声がトロヘイ大森林に木霊する


ジュピの命を知らせる指輪にいきなり亀裂が入った

「ノッホこれは・・・!何が起こったんだ?」

「ジュピさんピンチぽいですぅ~」

ベルセブブの仕業とは思えない。隣に居たベルゼブブ似の少女だろうか

ジュピがそこまで失敗するとは思えないからレイカだろう

サヤと不変はそう思った

そして指輪が壊れたと同じタイミングでレイカの叫び声が聞こえてきた

「ジュ・・・ピ・・・。レイカさんは守れたのかな。あいつらしいと言えばらしいけど、こんなところで死ぬたまじゃないだろぉ・・・」

クママが項垂れる。ノッホもかける言葉が見つからないようでオドオドしている

「ノッホ、あれをやるぞ」

そういうとクママが楽器を取りだした

一人で扱える量ではなかったがお構いなしでどんどん配置していく


これは凄い光景だな

不変はそう思った

こんなことまで出来たのか

やはり底知れないなそう不変は思った


クママが一言「スペシャルスキル:オーケストラ」

楽器それぞれにクママの幻影が現れる

吟遊詩人は最高2曲までだが、これはその比ではない

それぞれが意志を持ったように楽器を持ち準備する

クママの本体は指揮棒を持ったようだった

トロヘイ大森林に荘厳な音色が響くが驚きはそれだけではない

ノッホも一言「スペシャルスキル:重唱」

ノッホの幻影が現れる

ノッホが歌い始めたのだ

不変も何か騒いでいたが静まった

レイカの声も治まったのか辺りは静まり歌を伴奏のみが聞こえる

スペシャルスキルだと・・・?

サヤはそっちのほうが気にかかっていた

ユニークの上と捉えたほうがいいかも知れないそう思えた

その時だった


「ノッホ、幸せになれよ?そしてクママ。すまないな、レイカを頼むぜ!」

確かにジュピの声だったと思う

クママは涙を流しながら指揮を取り続けている

ノッホも一瞬涙に歌声がおかしくなったが続ける

そしてこの二人が強力なのもわかった気がする

森全体がジュピの哀悼をしてくれている。そんな気がするからだ

それなら怨血童子の時にやれよ!って言いたいが過ぎたことなのだ

クママのほうは準備も必要そうだし条件でもあるのかなと考えるしかない

この圧倒感はベルゼブブに匹敵するかも知れない

ふとサヤはそう思った。それほどの何かを感じた


レイカが叫びだしてすぐどこからともなく伴奏と重唱が響く

ジュピに対するレクイエムだった

先ほどまでちょっと苦痛そうだった顔が綻んでいる気がする

気がつくと怨血童子やその他のオーガ達も集まって来ていた

ジュピの周りで片膝をついてくれているその姿にレイカも微笑む

「ジュピさんの体はここの近くに埋葬しましょう。そしてあの二大悪魔に挑む準備も始めましょう」

レイカは戸惑った。怨血童子の発言が理解出来なかったのだ

「え?あいつらと仲間じゃないの?」

当然の反応であった

ベルゼブブの前に入って庇ったりしてたはずの相手なのだ

「今回の一件でもう堪忍ならん。我が妻の体も返してもらわなければいけないしな」

怨血童子の眼にレイカに勝るとも劣らない憎悪の炎が燃えていた

「私はジュピの仇を、あなたは妻の体を・・・ってあの墓には今眠っていないってこと?」

聞くか迷ったがこの際聞いてしまうことにしたのだ

「そうだ。あいつらに持っていかれたままなんだ。実力は及ばないがあいつらのお遊びに構ってられん!」

元々似た者同士なのでその後目配せだけで頷くまで時間は掛からなかった

「クママ達どうしようかしら?」

「今は月下の元へ行ってもらおう。あのサヤとか言ったか?あの女はさらに強くなる。我々の復讐を大いに助けてもらおう」

「あの女、確かに気に喰わないが、ベルゼブブの前で動けてたのも確かにあの女。それも手だな」

「クママ?と言ったかそれと連れの小さい女は強いのか」

レイカが頷く

「あの二人だけで実はあなたを倒せると思うわ。ベルゼブブの前では猫かぶってたんじゃないかしら。あの音色聞いたでしょ?ベルゼブブのあれとも違った威圧感なかった?」

怨血童子も音色をしっかり聞くと背筋が凍るものを感じた

「この音色で何かしてきたらきつそうだな。確かに」

「ここまで凄いのは始めてだけど、クママの見極めとノッホの魔力は召喚者の中でもずば抜けてるの」

「月下でも倒すか連れてきてくれればもっと勝算は見えてきそうだな」

「そうね」

レクイエムの音色で怒りよりもジュピとの想い出

そして

ベルゼブブとベルゼブブに似た少女。二大悪魔というからには悪魔なのだろうと思う

いつか必ず懺悔させて殺してやる

そう思った時頭にスキル取得のお知らせがきた

ワンタイムスキル:ジュピの加護 一度だけ致命傷を無効化し、体が全快する

加護は絶対無駄にはさせない

そう誓うとレクイエムが終わると同時に怨血童子と作戦を練り始めた


ベルゼブブに追いついた少女が微笑んでいる

「ああ、甘美な叫び声。堪らなかったあ~。ちょっと余計なことしたかな?ねえ、ベルゼ?」

「ん~?雑魚がいくら集まろうが僕らの敵じゃないでしょ~。にゃはは~」

ベルゼブブは気にした様子もなく獄熱が鎮座する北西エリアにグリフォンの背に乗り進んでいた

「ごくねつちゃんの戦い見届けたらちょっと首都コッコレペでおもしろいことしない~?にゃはは~」

グリフォンの上でくるくる回って踊っている

「何をする気なんだ?というかこの格好に誰もつっこんでくれなかった・・・ガクッ」

ベルゼブブに似た少女はがっかりした様子でいた

「その格好だからこそ閃いたのだ~!これからはその格好でいてね~。にゃはは~」

「やはりあの初老の渋い感じのままのほうがよかったかなあ~とほほ」

ベルゼブブの前でだけとぼけてみせる少女

だがこの二人こそ今の世界の頂点に君臨する者達だった

ちょっと貯まってたのを一気に投稿!

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