トロヘイ大森林にて その2
薪を拾い終えて戻ってくると魔法陣が宙に浮かびその下にキャンプが出来ていた
音楽が鳴っているのも近くに来るとわかった
「おかえり。先ほど倒したトロールも近寄れない曲だから、ひとまず安心だと思うよ」
クママがそう言うと
「私の魔法陣も朝日が昇るまで持続するのでぇ・・・」
ノッホが言うとクママはノッホの頭を撫でた
「薪もだいぶ持ってきてくれたし、冷えることはなさそうだね」
薪を積み上げるとノッホが魔法を唱える
あっという間に焚火となった
「原住民は生活魔法っていう便利な魔法が使えるんだよ。俺達じゃノッホだけだからなあ」
クママはちょっと苦笑いしていた
生活魔法は火をつけたり、灯りをともしたり魔法があまり使えない人でも使えるものらしかった
ただ召喚された日本人達は魔法が使えないものが多数なので生活魔法すら使えないのが多数だった
クママがギルドより依頼された紙を取り出すと「食事転送っ!!」と急に言った
急に小さい魔法陣が地面に描かれ、そして食事が転送されてきた
「こいつぁすげえ。月下さまさまだぜ。生き血とか勘弁だったからなあ」
転送されてきたのは、見るからにうまそうな御馳走の数々だった
「サヤは始めてだろうね。一日の食事は依頼主が用意して転送魔法に置いてくれるんだよ。しかし1日でこれだけだしてくれるとは凄いな」
クママは御馳走を前にしても冷静に見ていた
「確かに凄いな。やはりこれは優遇対応なのだろ?」
「ああ。野菜だけ送られてくるときもあるからな。そうなったら調理だしねえ」
クママはそう言いながら皿に盛り付けていった
「好き嫌いはあるかな?」
「いや特にないな」
「それは良かった」
バランス良く配分されていく
肉料理や野菜、それにスープ
こちらの世界の料理のようだが、どことなく親近感の湧く料理だった
食事中はみんな無言だった
そしてしばらくしてからジュピが口を開いた
「こっちに呼ばれてから一番うまいと言えるかもしれないな。クママだってこんなうまいのは食べてないだろ?」
「そうだね。別のパーティのときは多人数だったし、ノッホにこっそり魔法で塩を出してもらって味整えてたぐらいだし」
「ずりぃなあ」
ジュピはそういうとクママをこづいていた
「月下城で作られたもんだろこれってさ?月下って美食なのかね」
「どうだろうね。まあ行けばわかるだろうさ」
クママもそれほど考える素振りも見せずに飄々と答えている
「月下倒してうまいもの食べ放題ってのも悪くないかもなあ」
ジュピがそう言って笑い始めた
「いやあ、さすがに倒せるかなあ・・・。レイカを殺したのだって、怨血童子だろ?あのクラスだと、な」
そうクママが言った瞬間場が凍りついた
「た、たしかにそうだな。サヤが強いから調子のりすぎたわ・・・」
ジュピの顔が泣きそうになっていた
「怨血童子って確か南西エリアのボスの名前だったな。戦ったことあったのか?」
サヤが聞くと珍しくノッホが反応していた
「はぃぃい・・・。不意を突かれて・・・。防具も軽装だったので。気付いて回復魔法をかけたときには手遅れでした・・・」
「レイカってのは・・・。そうかジュピの」
ジュピの目つきが変わって怒りが見えた
「そうさ。俺の嫁さんになるはずだった人さ。南西エリアの調査で森の奥に入っててな。そこで墓を見つけたんだ」
「それを一番先に見つけたのがレイカでね。手を合わせていたから人の墓だと思うんだがね」
「手を合わせていたところを一撃でね・・・」
「・・・すまん」
しばし沈黙が流れる
「あやつらはエリアボスから逃げれるだけの力はあるのか?」
「歌の力でなんとかしたんじゃないか?まだまだ効果ある曲ありそうだしな」
「しかしエリアボスと遭遇とはな。ついておらんかったなクママ達」
「話からするにレイカとやらも結構な実力者のはず。気付かれずに攻撃されたとなるとかなり厄介そうだな」
「そうだの。まあ我のパッシブスキルで防御は出来るだろうて」
「だな。ひとまず怨血童子は依頼に含まれてないし、素通りするのかな」
「無駄に戦う必要もあるまい。下手に接触して戦力が落ちたところで月下戦とかやめてほしいしなあ」
サヤと不変はそういうと頷いていた
「なあ、墓に行ってみないか?」
ジュピが沈黙を破った
「確かに死体をあの付近に置いてきたからな。俺は反対しないよ」
クママも何か思うところがあるのか反対しなかった
「また、襲われる可能性はあると思うか?」
サヤがそう言うとノッホが
「それは・・・。墓の付近で異様に興奮してたようなので、襲われる可能性はあるかも」
「死体が未だに残っているかと言われれば正直なところない可能性が高いだろうが、想い出の品でも残っていればそれで今は十分だ」
ジュピは拳を握りしめて血が流れていた
「そういうことだ、やつが守ってるにしろ準備を整えれば前よりはうまく対処出来るだろうしね」
クママがそういうとみんな頷き怨血童子が守っている可能性が高い墓の付近に行くことで決定した
「そうと決まりゃあ、もう寝ようぜ!」
流した血を気にすることもなくジュピが寝床に向かう
クママもノッホ、サヤに目配せするとジュピの背中を叩いて寝床へと入っていった
「サヤさん、私達も寝ましょう。明日は厳しい戦いになりそうですし・・・ね」
そういうと別々に用意されていた女性向け寝床へとノッホは入っていった
強敵か・・・
サヤは笑いが込み上げそうなのを堪えて寝床へと向かっていった
「まさかいきなりエリアボスの一角と激突とはやれやれだな」
「はぁぁぁ。久々に大暴れ出来そうで眠れないかも!!」
サヤが張り切っていた
不変は諦めたように続けた
「あの3人が逃げるので精いっぱいな相手だぞ。大丈夫なのか?」
「昔より強くなってるだろうし、対策もありそうだしな。私は強いやつと戦えればそれで満足なんだよっ!」
「お主らが全滅して我が怨血童子に使われるとかしゃれにならんからな」
「どうなんだろうな。そういえば得物何使うのか聞くの忘れたな。まあ楽しみということで」
目が輝いてる
ダメだこれは
不変は寝床の上を見上げて思った




