6話
お久しぶりです。更新滞ってしまい申し訳ないです。
また少しずつ更新していく予定です。
よろしければよろしくお願いします。
どうしてこうなった。
何が間違いだったのか。
何度徹夜明けで酒の入っていない頭に問いかけても答えは出ない。
俺は頭を大きく振りながらため息を吐く。
「ここが、ジャックの、家。」
二度吐く。大きなため息。
明け方近く俺が蹴落とした書類。
いたるところに転がっている質の悪そうな酒が入っていたガラスの瓶。
着古したシャツがまるで何かの装飾品の様に掛かっている棚。
酒を溢してしまって染みになっている来客用のソファ。
その前においてある机には昨日の新聞。
そんないつもの風景。
そしていつもの風景に混じりこんでいる圧倒的な『白』。
「?どうか、したの、ジャック。」
「・・・ああ、『どうか』してはいるな。」
何をどうすれば、俺は。
昨日殺しあった女を、
殺されかけた女を、
俺の獲物を殺した女を、
圧倒的上位に立つその女を
自らのテリトリーまで招いてしまうのか。
「だい、じょうぶ・・・?」
そういって何故か白い少女、いやアリスはその小さな手を精一杯背伸びして俺の頭へと伸ばそうとしてきた。
俺はその手のひらについていた赤い塊、彼女自身の血の痕を見て俺は昨夜あったことを思い返し、恐怖が湧き上がる。
だがその湧き上がった恐怖を喉元で押し留めその伸ばされた手を俺の手で遮りながら、声が震えないようにアリスへと声をかける。
「その手、治療しねえとな。」
そうだ、自分のその一言に何故彼女を自宅へ招いたのか思い出す。
言うに彼女は俺に撃たれた後、クルリ老夫婦宅から歩いて俺の元へとまっすぐ向かった、と。
その右手から流れる血を点々と、事件現場から俺の居る第三城壁街まで跡を残しながら。
俺は焦った。かなり焦った。
だが頭のどこか冷静な部分が告げた。
俺が昨日彼女に使った魔動拳銃。
あれはこの国では持っていることすら禁止されている。
所持すら禁じられているその武器を、俺は咄嗟とはいえ昨日使っている。
その弾丸は彼女の右の手のひらを貫通し、お陰で俺は逃げられた。
では、その弾丸はどこにいった?
そう、あのばらばらにされたクルリ老夫婦の家の壁や柱、はたまた床か
下手に所持していれば罰金どころか死刑すらありえるであろう魔動拳銃の、その弾丸は確実に。
どこかにめり込んでいるであろう。
俺の冷静であった頭はその答えを導き出し
結果、焦った俺の脳内は
彼女を、この恋人を、家族を、友人を、好きな人を、そして迷った子犬の様なそんな目線で俺を見る彼女のその手のひらから流れ出る血を見て
あろう事か自宅に連れ帰るということを仕出かすくらいには「どうかして」しまったのだ。
俺は思考に耽っていた自分の意識を戻し
俺の手の中に納まっている彼女の小さな手をじっと見つめ
三度目の大きく深いため息を吐いた。