5話
前回に比べたら大幅に短くなってしまった。
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第2城壁主の館から出たときにはもう日が天辺に昇っていた。
今日は午後からあの第3城壁の兵士がやってくるが、とりあえずそれまでは仮眠がとれそうだ。
俺は寝不足の頭を軽く横に振る.
後数分もこの閑静な住宅街を歩けば事務所に着く、そうしたら安息の地が待ってる。
ふらつく足で俺は帰り道を急いだ。
「ようやく、みつけた」
背筋が凍りついたかのように怖気が走る。
懐に手を伸ばす、が魔動拳銃は事務所の机の引き出しの中だ。
くっそ、タイミングが悪い。昨日からずっとついてない。
それもこれも、全部全部、この現在俺の目の前に立っている白い少女に出合ったせいだ。
俺は苛立ちながらもこの化け物みたいな雰囲気を発する少女から目を離さずに距離を詰める。
距離を取ったところであの超人的な跳躍力で飛び掛られたら終わりだ、それならばいっそ距離を詰めて近距離戦に持ち込めれば勝機があるはずだ。
俺はじりじりとその少女に詰め寄る。
だがそこで少女の表情が昨夜の少女のどこか人形めいた感情の無い表情から一遍、俺が少女の顔から目を離さずににじりよる度何故か頬を赤らめていく。
何だその恋焦がれた存在に運命の再開をしたかのような表情は。
何だその愛しい存在に出会えたかのような瞳の潤みは。
その顔と瞳に俺は一瞬『あれ、昨日のあの少女じゃないのか』なんて事を思ったが、その考えは次に少女の発した一言でかき消された。
「昨日、ぶり」
そういって少女はその血が固まった痕がある右手をぎゅっと胸の前で握り締める。
その言葉とその傷跡で俺は昨日の少女で間違いが無いことを確信した。
だがそれにしては何だその顔は。雰囲気があまりにも化け物染みてるだけに彼女のその表情との差異が大きすぎて俺の寝不足で回らない頭が混乱を起こしすぎてどれから処理したらいいか解らなくなる。
そしてその混乱した俺の口から紡がれた言葉は・・・
「・・・名前は何て言うんだ」
「!!ア、アリス、です・・・っ」