メザメ ノ トキ
''俺は…こんなことがしたいんじゃない…''
一章 メザメ ノ トキ
青年が目覚めたのは、薄く薄汚れていて床の上に敷かれている布団の上だった。身体は筋肉痛だろうか、少し動かすだけでも痛みが走るが動かせない程ではなかった。青年は起き上がった。
「…ここはどこだろう…」
青年はこの場所に見覚えがない。いや、この場所だけではない。自分がどうしてここにいるのか、自分は何者なのか、'''自分は一体だれなのか''も。とりあえず現状を把握しようと周りを見渡す。扉、タンス、机…それしかない。しかし埃やゴミは一つもない。綺麗に片付いている。女性の部屋なのだろうか。そこまで考えてから、青年はふと思った。
「俺が覚えてないのは…自分の事に関してだけ、か…」
そのとき、不意にこの部屋の扉が開いた。青年は反射で身構える。しかし、入ってきたのが女性だったので身体に入れていた力を抜く。
「あ、目が覚めたみたいね。おはよう」
青年はどうしていいか分からず少しうつむいた。
「あぁ、えっと、私はシェリ、魔法使いよっそれで、あなたはなんていうの?」
青年はその女性、シェリを眺めみた。
(年齢は、16、7ぐらいだろうか、若く見える。髪は茶色で腰まで届くだろうか。それにてもとても美しい…)
そこまで考えてシェリの顔を再び見てみると、困った顔をしていた。
青年はそれに気付き、質問に答えようとしたが、その答えを持ち合わせていないことを思い出す。
「もしかして…覚えてない?」
青年は頷く。
「そっかー、まぁ仕方ないか。なんか訳ありみたいだったから気になってたんだけどなぁ」
シェリは少しうなりながら、考え事をしている。しかし、その内容は青年にはわからない。
(俺は、誰なんだろうか…)
いくら考えても答えはでない。この世界に神はいるのか、とまで思う青年だった。
「ね、君は名前覚えてないんだよね?ならさ、私が付けてもいい?名前!ね!ね!!」
青年は少し悩みながらも頷いた。
「決まりね!君はルーカス、ルカ君ね!」
シェリがそう言うとほぼ同時に、部屋の外から悲鳴が聞こえた…
友達と設定だけは考えてたのでとりあえず文にしてみました
ぼちぼち続きあげる予定です