パール
「おはよう」
朝一番に聞く彼の声は、綺麗なテノール。寝惚けた頭には優しい響きで伝わる。
「おはよう。今日は…雨?」
「うん、そうみたい」
「そう…。今日は外に出ないでおきましょう。仕方ないけれど」
「そうだね…じゃあパール」
「何かしら…」
「今日は僕と二人きりで一緒にお茶を飲もう?」
「…いいわね」
ゆっくりとベッドから腰を上げ、髪を整えると、振り返り、こう言った。
「私はダージリンが良いわ」
言われた男性は、苦笑いして、
「いいよ。じゃ、早速淹れて貰おうか」
そう言って彼女の手を引いて、部屋を出ていった。