表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕への人望が爆上がりすぎる~お前たち、そんなに僕を崇めるな~  作者: 天草冬樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/6

なんで私だけ~カクサニウス視点~ episode6

「さあ、皆さん。ルキアス様の屋敷となるこの館を隅々まできれいにしますよ。カクサン、ここは初めてでしょうから私たちについてきてください。レティシアさんはここの管理をしていた使用人のジェンマさんについて行ってください」

 

 みんなを仕切る三十歳ほどの男性。彼がルキアス様が言っていたスケベェか。この世界、この時代だからいいが、スケベェとは何ともかわいそうな名前だ。知性を感じる結構ダンディなイケメン。声も渋くていい。前世だったら一発で堕とされていただろう。


「カクサン」

「カクサニウスだ」


「アニサキスみたいなカクサキスじゃないんだ」

「カクサニウスだって。ごっつい顔にあった声」

「前世は絶対にジムに通ってて、俺の筋肉見てとか言ってたわよ」

「鏡の前でポーズとか取ったり」

 小声だと聴こえないと思っているのか。

 心がズタズタに傷付くが表情には出さない。こいつらは同じ日本人で転生してきたのは確定だね。


「格さんさあ、転生者でしょ。それも前世、日本人」

「…何を言ってる」

 前世のことは隠したい。


「列車事故に会ったでしょ。水戸は納豆黄門茨城ーる様の名前を聞いて笑ってたでしょ。安心して。私たち家族もみんな転生者。しかも、前世はまるで関係ない間柄で、共通するのは列車に乗り合わせていただけ」

 そうなのか!


「違う。何のことを言ってるのか、わからん」

「格さん、俺の名はスケチャ。でも、ルキアス様にはスケサンと言われている」

「えっ、スケベェではないのか」

「「えっ!?」」

「道中、ルキアス様からスケベェ一家について聞いたぞ。父親がスケベェ、、母親がヒトウ、娘たちはサーラ、エレナ、アリッサと」

「なぜ、俺とヒトゥの名を覚えていただけないのだ…」


「めっちゃ、パパに合ってるぅ」

「パパ、むっつりスケベだもんね」

「そうそう、目線が常におっぱいに行くもの」

「娘のおっぱいに目線が行くのヤバいよ」

「パパ、大丈夫。元は他人だから。でも、手を出そうとしたらダメよ。今はDNAで繋がってるからね」


「お前たちは娘じゃん。手は出さないし」

「あなたたち止めなさい。パパがおっぱい星人なのは仕方ないの。しかも、あなたたちの前世の話をしてから自分の娘なのか、他の家の娘さんなのかパパが混乱してて。パパがおっぱい好きなだけの。許してあげて」

「ママ、そんなに俺の心を砕かなくてもいいんじゃない」


「スケチャ。お前たちが言っている意味は分からないが前世の記憶があるのか。名前とか覚えているのか」

「格さん、まだ疑っているよ。私はアリッサこと篠塚亜里沙。大学生で二十歳だったんだよ」

「俺はスケチャこと茶木大輔。自動車関連メーカーに勤めていて四十歳だった」

「私はヒトゥこと喜多川瞳美。医者で三十歳」

「私、サーラは飯田沙羅、大学院生で二十八歳」

「私はエレナ。新藤恵麗奈…」


「えれなぁ!」

 恵麗奈なの。私の自制心は吹っ飛び、思わず恵麗奈に抱きついてしまった。


「ぎゃあ~!」

 悲鳴で冷静になった。身長190センチを超える筋肉の塊の男が十歳の女の子に抱きついたのだ。それは叫ぶ。


「ごめん。恵麗奈。私、朱夏」

「シュカ? しゅか? 朱夏ぁ! え゛ぇ~~!」

 言ってしまった。


 ハンノキ一家の前で、恵麗奈を片手で抱きながら自分のことを話していく。

「…私、前世では角田朱夏。恵麗奈の友人で看護師をしてました」

「あの、失礼ですけど、前世では…女性だったのでしょうか」


「そう、恵麗奈の同級生で、地味な恵麗奈よりも十段階は上のイケイケの女の子だったんです。池袋や新宿ではお立ち台で踊れるくらいだったんです」

「バブル崩壊までパンティ見せながら扇子を振ってたよね。目をギラギラさせた男たちが誘蛾灯に群がる蛾のようによってきて。懐かしいわぁ」

「麻布十番や六本木じゃないんだ」

「池袋ってディスコあったっけ?」

「たぶん田舎から出てくるのに一番いい場所なのよ」

「うるさい!」


「まあまあ、お立ち台に上がって踊ってたくらいきれいな子だったんだよ」

「それが筋肉モリモリのごっつい男に…ご愁傷さまです」

「ひどい。みんなイケメンや美人、めっちゃかわいい子になったのに。ひどい」


「いやぁ、イケメンだなんて」

「美人ってほめても何も出ないわよ」

「めっちゃかわいいって…。そんな本当のことを言われても」

「まあ、バブルのときも遊ぶことなく一生懸命学業に励んでたから今があるのかな」

「私、前世とそんなに変わらないレベルだと思うけど(うそ)」

「ひどい。私はこんななのに」


「…ドンマイ」


 

 小学校時代からの腐れ縁である恵麗奈との旅行中、列車に乗って寝たのまでは覚えている。目覚めた時に赤ちゃんになっていた。少し経つと男の子になっているのがわかった。大きくなるにつれて、自分が周りの子よりも大きく筋肉質なのがわかってきた。

 毎晩、泣いた。


 十五で徴兵された。死にたくないから死に物狂いで戦った。

 なぜ、ボディコンスーツに前髪立てて、イケイケで、男たちに貢がせていた私が、汗と血にまみれた戦場にいるの。もうイヤ。


 ロウムス帝国の軍に囲まれ、私たちの隊は降伏し。私は奴隷となった。

「逆らうな。逆らうと他の奴隷への見せしめとして、生まれてきたことを後悔するような拷問をしてから殺す。ただし、しっかりとご主人様に仕えたら、二十年もしたら解放奴隷になれるだろう。その証拠にここにいる年配の者たちは全員、解放奴隷だ」

 奴隷商人が恐ろしいことを言う。


「拷問は絶対にイヤ。何代目の元カレか忘れたけど、彼にやられたソフトSMでも痛くてイヤだったのに」

 身長は190センチを超えて筋肉ムキムキだけど、心は乙女なのよ。


 


「…朱夏、がんばったね」

「うん、恵麗奈、私、私、がんばったの」


 十歳の女の子の太腿に顔を埋めて大男が泣いている絵面はひどすぎると思ったハンノキ一家だったが、自分が男(女)に生まれ変わっていたらと想像すると、カクサニウスへの哀れみは止まることはなかった。


「神様や仏様はやっぱり見ているのかなぁ。男をとっかえひっかえして貢がせ、友人の私の彼氏まで寝とったバブリー女を…。天罰ってやっぱりあるのかなぁ」

「恵麗奈、ひどい。あの男は私を酔わせて…」

「うん、わかってる。朱夏は好みの男の前では酔って無防備になるだけだもんね。それにあのクズと別れたいと思ってたからいい理由ができて、ちょうど良かったの」


「エレナって、何気に毒を吐くよね」

「友人の彼氏を寝取るって小説か漫画でしか知らない。あれ、絶対に恨んでいたんだね」

「バブリー女がごっつい男に転生なんて絶対、天罰だよね」

 外野がうるさい。


「とにかく、朱夏とこうやって会えてよかった」

「絶対約束する」


「こわっ、あんな大男に彼氏取られるなんて。BLどころじゃないんだけど」

「いや~あ、想像しただけで怖い」

「パパが襲われたら、ママ、どうする?」

「…ちょっと見てみたい」

 まだ、寝取った話をしている。小さな声で話してても聴こえてるわよ。


「ねえ、恵麗奈。ルキアス様ってかわいいよね。あと五年もすれば、すっごいイケメンになりそう。今、私のイチ推しなんだ」

「はあ、バカは死んでも治らないっていうけど、バカ女もそうなのね」

「ひっど~い」


「シュワッチ。忘れてるかもしれないけどその外見で女言葉は止めたほうがいいよ」

「なに、シュワッチって」

「あなたの前世の名前はシュカじゃない。だからシュワッチ」


「…見た目もシュワだし」

「また戻ってくるよって言ってほしい」

「見た目も似てるよね」

 聴こえてるからね。




「エレナ、今日は一緒に寝ようか」

「イヤ! 絶対イヤ!」


 僕がジュリアを妹のベアーチェに引き合わせた後、屋敷に戻ってくると、カクサンがエレナに一緒に寝ようと迫っていた。

 筋肉まみれの大男が十歳の少女と一緒に寝ようだと。隣にいたジュリアも「ヒッ」と小さな悲鳴を上げている。


「カクサン、聞こえたぞ。貴様、こんな幼い少女と一緒に寝たいだと!」

「ルキアス様、違います! 勘違いされてます! 話をしたいだけです!」

「少女と話をしたいだけでも問題だ。…お前はいらんな」


「違うんです!」

 カクサンがひざまずいて泣き始めた。こんなごつい顔の奴が上目遣いで泣いているのは正直気持ち悪い。


「ルキアス様、カクサンとはすごく話が合うので、もっと話をしたいと私も思ってるんです。この人、言い方が悪かっただけなんです。イヤと言ってたのは暑苦しいからイヤと言う意味で、私も一晩中でも話はしたいんです」

 エレナはかばうのか。


「エレナ、怖いからってかばわなくていい」

「違います。本当に違うんです」

「母である私から見てもカクサンは無害でございます」

「ルキアス様、私どもはずっと見ておりましたが、このカクサンは娘が言う通り、本当に大丈夫です」

「スケベェよ。間違いないな」

「間違いございません。ただ、間違いは私の名で、私の名はスケチャです」

「わかった。でも、何かあったらすぐに言え」


 エレナがひざまずいて泣いているカクサンの肩をよしよしと言いながら軽く叩いている。でも、僕は奴隷たちの責任ある主として彼女らを守る義務がある。


 カクサンは幼女趣味、気を付けること。心に刻んでおこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ