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俺の彼女は幻かもしれない  作者: Melon
第1・5章 目覚め・現実

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七瀬の入院

 六月の中旬のある日。

 唯一のクラスメイトであり、俺が片思いをしている七瀬が倒れ、病院へ運ばれた。



 放課後、俺は走って病院へと向かった。

 病院に到着し、扉を勢いよく開ける。


「七瀬に! 七瀬に合わせてください!」


 俺は病院にいるであろう医師に声をかけながら、受付カウンターに向かって走った。


「......病院ではお静かに。君は誰ですか......? 七瀬さんとはどんなご関係で?」


 受付の奥から、白衣を着た医師が出てきた。

 首からぶら下げている名札には、藤波という名が書かれていた。


「俺は高凪正道! 七瀬のクラスメイトです! 倒れたと聞いて、心配になってお見舞いに来ました!」


「まずは落ち着いてください......。私は藤波という医師です。西森七瀬さんの担当をしています」


 藤波さんは自己紹介をし終えると、少し困ったような顔をした。


「それで、お見舞いですよね......。しかし、残念です。七瀬さんは、まだ目を覚ましていません......」


 藤波さんの言葉を聞いて、俺は更に心配になった。


「そんな......! 七瀬は大丈夫なんですか!?」


「......そこまで慌てるようなことではないですよ。勉強による疲労とストレスで一時的に意識を失っているだけで、命に別状はありません。そのうち目覚めると思いますよ」


 それを聞いて、俺は心の底から安心した。


「よ、良かった......」


「それで、七瀬さんのお見舞いですよね? 先ほどのように大声を出さないのであれば、七瀬さんの病室に入ってもいいですよ」


「ほ、本当ですか......!?」


「ええ。では、こちらに来てください」


 藤波さんはカウンターの外に出て、歩き始めた。

 俺はその後を着いていく。


 病院は広くはないので、数十歩歩いただけで病室に辿り着いた。

 病室の扉の隣には、西森七瀬という名札が貼られていた。


「ここです。私は用事がありますので、これで......」


 藤波さんはそう言い、受付へと戻っていった。


 俺は扉を開け、病室に入る。

 あまり広くない白い壁、白い天井、黄色寄りのクリーム色の床の六畳ほどの病室。

 そんな病室に置かれているベッドで、七瀬は横になったいた。


 俺は静かに七瀬に近づき、顔を見た。

 健康とは言い難い青ざめた顔をしており、如何にも健康状態が良くない感じだった。


「七瀬......。七瀬が居なくなったら、俺一人になっちまうよ......。それに......」


 意識が無い七瀬に聞こえるはずもないのに、話しかけるように声を出す俺。

 すると、七瀬の眉が少しだけピクッと動いたような気がした。


「な、七瀬......!? もしかして、意識が......!? 七瀬......!」


 俺は七瀬の手を握り、声をかける。

 数分間、七瀬が目覚めることを願いつつ、ひたすら声をかけ続けた。


「はっ......!」


 声をかけ続けると、なんと七瀬は目を覚ました。

 蛍光灯の光が眩しいのか、目は半開きだ。

 そんな目で、眼球をキョロキョロと動かし、周囲を確認している。


「......っ! 目が覚めた!」


 俺は嬉しくて、うっかり大声を出してしまった。


「な.....なせ......?」


「大丈夫......!? 自分の名前とか、覚えていることを言って......!」


 俺は勢いで、記憶喪失の可能性があるかどうかも分からないのに、そんな質問を七瀬にしてしまった。


「覚えていること......」


 部屋の眩しさを我慢しつつ、必死に思い出している七瀬を見守る。

 時間をかけて必死に考え、何かを思い出したのか、七瀬の口が動いた。

 しかし、七瀬はとんでもないことを発した。


「高凪正道......。一四歳......」


 七瀬は自分のことを高凪正道だと思ってしまっていたのだ。

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