番外編 巨木との邂逅
神木の加護を受けた街・煌都。
煌都がまだひとつの国だった時代、三人の剣士たちがその礎を築いた。
彼らの子孫は、現在も名家の一族として煌都に名を馳せているのだった。
『巨木との邂逅』新訳・煌都神木教典より
国王から命を受けた三人の剣士は、国中を旅していました。その命とは、古い言い伝えを手掛かりに、神様の住まう神木を探せというものでした。
故郷の家族が恋しくても、剣士たちは帰ることができません。神様にお会いして、国の平和をお願いしなければならないからです。
ある日、剣士たちは深い山奥に洞窟を見つけました。
「言い伝えによると、神様は人が立ち入れないところに住まいを創られた。ここを探してみよう」
剣士たちは洞窟に入りました。
暗くて狭い洞窟を歩いていると、やがて行く先に小さな光が見えました。訝しみながらも進んでいると、開けた場所に出ました。
そこは光に満ち溢れた広間のようでした。
そして、光の灯った翡翠色の大樹が、洞窟を真昼のように照らしていたのです。
勇猛な剣士は、剣を納めて大樹に駆け寄りました。
「このように光る樹木は見たことがない!もし其方が神木なら、どうか都に平和をもたらして頂けないか?都では、貧しい者が富める者を恨んでいる。民に等しく恵みを与えて下され!」
すると大樹は、その枝から輝く実をいくつも落としました。
その実は翡翠色に輝く宝石のようでした。
「これを他国との取引に使えば、我が国は栄えるに違いない!やはりこの木は神木であるようだ!」
強靭な剣士は、ゆっくりと大樹に歩み寄りました。
「神木というならば、目に見えぬ恵みももたらせるはずだろう。神木よ、都では多くの民が疫病に苦しんでいる。どうか、民の健康にご加護を下さらないか」
すると、枝葉の眩い輝きの後、剣士たちの身体は軽くなり、力がみなぎりました。
「もしや、我らの身体に加護を与えて下さったのか?都に帰り、皆の様子を確かめよう」
聡明な剣士は、神木を注意深く調べていました。
「まるで宝石のような樹皮だが、意思を持って我々の言葉に応えているならば、生きている木なのだろう。神木よ、貴方がどのようにして生まれたのか、教えて下さらないか」
神木には、何の変化も起きませんでした。
どうやってここに根付き、どのように生長したのか、神木にも記憶がなかったからです。
しかし、自分を知りたいと願う剣士の思いに応え、神木は意思疎通の加護を授けることにしました。
「どうやら私だけに神木の声が届いているようだ。私はここに住居を移し、神木と語らうこととしよう」
***
都に戻った後、剣士たちは国王に神木の報告をして、民のために尽力しました。
勇猛な剣士は、輝く実を宝具や宝石に加工して、市場に流通させました。他国との交易により、国は大いに栄えました。
その沈着な手腕を讃え、神木は彼に大槌を授けました。
強靭な剣士は、特に加護を多く授かった者を集め、国を守る兵隊を組織しました。
蛮勇ながらも民を守る姿を讃え、神木は彼に太刀を授けました。
そして聡明な剣士は、研究者として神木の過去を探り、時には友として語らい、その一生を神木と共にしました。
友好の証として、神木は彼に長槍を授けました。
三人の剣士たちの働きによって、国は栄え、安寧を保ち、神託を授かれるようになりました。
国王は剣士たちを讃え、それぞれの一族に要職を任せるようになりました。剣士たちの忠誠と熱意は今もなお、子孫たちに受け継がれているのです。
読んで頂きありがとうございます!
初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。
完結まで頑張ります!




