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【11話(3/5)】黒い襲撃

神木の加護を受ける街・煌都(こうと)


訓練校の新入生・(みなと) 陽輝(はるき)は、神木と意思疎通できる女児・猪狩(いかり)美咲(みさき)の身辺警護を任務として請け負っている。

幼稚園が終わった美咲を研究室に連れて行き、美咲と神木の測定を手伝っているのだった。


一方、灯西(とうせい)刑務所の集団脱走事件は未だ解決していない。灯西の様子を探るべく、とある訓練生が先行調査に潜入していた。

湊と美咲は、研究室の玄関で兄の成海(なるみ)を待つ。


「おにいちゃん、あっちくる?」

「うん、多分あっちから来るんじゃない」


美咲は訓練校の方へ歩き出そうとする。

「待って、ここにいないと」

「おにいちゃんいっつもおそいもん〜」


成海が美咲を迎えに来る時、いつも訓練校を出るのに時間がかかっている。生徒会長は忙しいようで、教官や生徒に色々と呼び止められてしまうらしい。


「あんまり離れると、行き違ったら困るから。ちょっとだけね」

美咲の手を繋ぎ、訓練校の道がよく見える方へ、少しだけ歩く。まだ成海は見えず、彼方から2人組の男が歩いてきているのみだ。


「ほら、お兄ちゃんまだ来てないよ」

「むぅ、ここでみとく!」

美咲は湊のズボンを掴んだまま、訓練校の方面を見ている。


湊はふと、彼方から歩いてきた男たちが何かを話しながらこちらを見ているのに気づいた。


(なんか挙動がおかしいな。ヤバい奴か?)


湊は美咲を抱きかかえた。

「みなとさぁん!おにいちゃんみるのぉ!」

「しーっ!悪者かも!」

「わるもの……?」


美咲が不安そうに男たちを見ようとするので、美咲の頭を抱き寄せた。もし美咲を狙っているなら、顔を見られてはいけない。


「怖い人、見ちゃダメだよ。このままギューしててね」

「んっ」

美咲は湊の肩に顔を埋めて、コクコクと頷いた。


(美咲が神木の御使(みつかい)だってことは外部に漏れてない、はず……)


男たちは2人に近づいてきた。湊は咄嗟に後ずさる。

「何、あんたら」

「おいガキ、この辺に詳しいか?」

湊は距離を置きながら応じる。

「いいや。ここで人を待ってるだけ」

「なら、鹿鳴(ろくめい)春花(はるか)を知ってるか?」

「はっ?課長?」

「ほら、知ってるじゃねえか!」

もう一人の男が怒号と共に詰め寄ってくる。

知らないフリをすれば良かったのに、意外な名前を聞いてつい反応してしまった。


湊は震える美咲の背中を摩る。

「顔は知ってる。でも別に仲良くないし。てか悪いよ」

「だろうな。あのクソ女に友達なんざいやしねえだろ」

男は黒い何かを取り出した。

陽に照らされ、黒い光沢がキラリと反射する。


(ナイフ!?黒い刃物!?)


「だが、てめえが仲良しかどうかは関係ねえ。鹿鳴春花のところへ案内しろ。オレらはあのクソ女に用があんだ。大人しく連れてってくれりゃあ、怪我はさせねえぜ」


(課長がこいつらに刺されようが、俺は正直どうでもいいけど……でも、課長に会わせたからってこいつらが約束を守る保証もない。どうする……?)


湊は美咲を抱き直し、研究棟の方へ歩き出した。


「分かった、あんたらに従う。とりあえず、あの人がいそうなところに案内すればいい?」

「ああ、そうしろ。変な真似はするなよ」


美咲はどこかへ行くのが分かったのか、頭を動かす。


「みなとさん、おにいちゃんっ」

「まだギューしてて。ちょっと道案内するだけ」


美咲を抱き直したタイミングで、湊は手首の通信機を起動し、成海に繋いでいた。音量はゼロにしているので成海の声は聞こえないが、通信中のライトは点滅している。成海が異変に気づいてくれるといいのだが。


湊は通信機に声が入るように、男たちに向かってわざと声を張り上げる。

「おい、2人とも!北口に近い、白っぽいコンクリートの建物!そこへ行ってみる!それでいいか?」

「無駄口を叩くな!早く行け!」


***


美咲は湊の肩に顔を埋めたままだ。湊は美咲の頭を撫でながら歩く。

「美咲、大丈夫だからね。俺がいいって言うまでギューしてて」


先程まで自分たちが推進研究室にいた間、課長は外出中だった。あそこにこの男たちを案内しても、室長と明石を巻き込むだけだ。

それに、北口は警護隊の照東支部に近い。もしも男たちが何かを仕掛けてきても、付近に警護隊員がいれば駆けつけてくれるかもしれない。


しばらく歩いていると、背後で男たちが立ち止まった。

「おい、ガキ」

「何?」

「そっちは警護隊の支部があるだろ。てめえ、本当に案内してるんだろうな?」

「言ったでしょ。あの白っぽい建物。あと50メートル先くらい?もうすぐだよ」


男は再びあの黒い刃物を取り出した。

「いや、信用できねえな。てめえ、なんでそんなに動じてねえんだ」

「疑いすぎ。俺は課長がどうなろうと関係ないし。大人しく従ってんじゃん」


男の片方が、湊の通信機の点滅に気づいた。

「あっ!?てめえ、誰と話してやがる!」


(バレたか。成海さんが来るまで逃げられるか?)


湊は目標にしていた建物へ、美咲を抱えて走りだした。


「てめえっ!逃げんな!」


男たちは黒い刃物を手に追いかけてくる。


「みなとさぁんっ!」

美咲が不安そうな声を上げる。

「見ちゃダメだよ!ギューしてて!」


湊は建物の玄関に錆びた傘が置いてあるのに気づいた。

美咲を片手で抱き、傘を男たちに向かって構える。


(うわぁ、心許ねぇー……課長が目当てだし、美咲だけ逃がすか?いや、相手は2人だから離れるのは危険すぎる)


男たちは湊の傘に怯むことなく近づいてくる。


(だよなぁ……どうする?)


湊は背を向け、建物のドアを開けに行った。


(誰かいろ!)


しかし、ドアノブはびくともしない。


(開かねえ!?)


湊は追ってくる男たちに向かって錆びた傘を振り回す。

しかし男は傘を掴み、無常にも奪い取る。


(クソ、終わりか……!)


その時、男の一人がよろめいた。

「ぐあっ!」

「おい、どうした!?」

足をふらつかせ、男は地面に倒れ込む。その背後には、栗毛の訓練生が立っていた。


「成海さん!?」


訓練用の宝刀を手に、成海がもう一人の男と対峙する。

「湊の通信が妙だと思って、宝刀を持ってきて正解だったよ。ここは僕に任せてくれ」

読んで頂きありがとうございます!

初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。

完結まで頑張ります!

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