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【11話(1/5)】灯西・潜入任務

神木の加護を受ける街・煌都(こうと)


訓練校の新入生・(みなと) 陽輝(はるき)は、神木と意思疎通できる女児・猪狩(いかり)美咲(みさき)の身辺警護を任務として請け負っている。

幼稚園が終わった美咲を研究室に連れて行き、美咲と神木の測定を手伝っているのだった。


一方、灯西(とうせい)刑務所の集団脱走事件は未だ解決していない。灯西の様子を探るべく、とある訓練生が先行調査に潜入していた。

灯西(とうせい)刑務所。

真昼の太陽が眩しく輝く中、頭にタオルを巻いた作業員が脚立を運び出す。

「お疲れっしたー!」


警備員が、作業員に声をかける。

「兄ちゃん、明日も来るのかい?」


作業員はニカッと笑う。

「いや、今日で終わりっす!あざっした!」

「そうかい!元気でやるんだよー!」

作業員は警備員に手を振り、門を出て行った。


軽トラの荷台に脚立を積み、助手席に乗り込む。

「かぁーっ、疲れたっすねぇ、親方!この後一杯どっすか?」


運転席に座る恰幅のいい男が、作業員の後頭部を叩いた。

鳩羽(はとば)、その設定は終了だ!それにお前、未成年だろうが!」


作業員は頭のタオルを外し、額の汗を拭う。ピンク色のメッシュが太陽に照らされる。

伊織(いおり)センセーはノリ悪いねぇ〜。近衛センセーならもう3ラリーは付き合ってくれるのにー」

「いいから、報告報告〜!」


鳩羽紫苑(しおん)は、胸ポケットからレコーダーを取り出した。

「はいはい、コレね!灯西のムショ、マジでザル過ぎてビビったわぁー。とりま、警備員は替えた方がいいね」


伊織はレコーダーをポケットにしまい、軽トラを発進させた。

「簡単に教えておいてくれ。会議室は?」

「伊織センセーの読み通り、やっぱり囚人の脱走は始めてじゃなかったよん。しかも、未遂も含めたら結構な回数あるっぽいし〜?今回の脱走事件も隠蔽したかったけど、囚人が灯西から出ちゃって、しゃーなしで報告したんだとさぁ」

「灯西から出た?本当か?」

「そ。今日話してたのが、捕まったヤツらの足取りについて。なぜかみんな東を目指してて、一番初めに逃げたヤツらはもう照東(しょうとう)に入ってるんだと。さすがに照東支部には連絡したらしいけど、本部には隠し通したいってよ〜」


灯西の刑務所は研究施設と提携しており、受刑者を人体実験に使うことが公的に認められている。他の刑務所での服役態度が悪い場合に移送される、極悪人の終着点なのだ。


「伊織センセー、灯西って前からこんな隠蔽体質だったワケ?」

「隠蔽というか、機密事項が多いな。外部向けの報告書だって黒塗りばっかだ。どうせ犯罪者を使って世には出せない研究をしてるんだろうがな。ただ、今回はゴタゴタを隠したいってんだから、ちと事情が違うか」

「へー。何でそんなにバタバタし始めたんだろ」

「お前の任務はあくまでも隊員が入る前の事前調査だ。詳しい調査は情報班の隊員に任せることだな」


警護隊には諜報活動や情報収集を行う情報班がある。紫苑はその情報班を志望する訓練生だった。本日で短期潜入任務を終え、指導教官・伊織と共に照東へ戻ることになっていた。


「しっかしヤダねぇ、逃げた囚人がいるかもって土地に戻るのはさ!」

「お前なら出くわしても大丈夫だろ。万が一見つけたら俺のもとへ連れて来い。何なら任務にしてやろうか?」

「ヤダよ〜!そういうのは実働班志望のヤツらにやらせりゃいいじゃーん!オレは隠密行動専門だし〜」

「派手な髪しといて、よく隠密とか言えるな。いいから今は寝とけ!帰ったらすぐに報告書に取り掛らせるからな!報告報告〜!」


伊織は音楽をかけ、野太い声で朗々と歌い始めた。

「報告!連絡!相談〜!全ては報告に始まり〜!報告に終わる〜!報告報告〜!」

「ぎゃあ〜っ!」

紫苑は耳を押さえて喚く。

「行きもエンドレスで歌ってたのにぃ!寝かす気ないじゃんかぁーっ!」


伊織の歌と紫苑の悲鳴が響きながら、軽トラは照東への道を進んでいくのだった。

読んで頂きありがとうございます!

初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。

完結まで頑張ります!

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