表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/61

【9話(1/3)】最後の試験

神木の加護を受ける都・煌都。


訓練生・(みなと) 陽輝(はるき)は、神木と意思疎通ができる女児・猪狩(いかり)美咲(みさき)のお守りを任務として請け負っている。


ある日、美咲の願いに応え、神木の苗木が姿を変えた。

美咲の意思疎通が初めて目に分かる形で明らかになり、神木を取り巻く関係者たちが動き始めるのだった。


一方、湊は訓練校の中間試験を迎えていた。

中間試験の結果に応じて、貰える給金の額が決まる。

金のために、湊は筆記試験に四苦八苦するのであった。


※小説家になろう・note・Nolaノベルにて同時投稿中

※残酷な描写として、殴る蹴る・鼻血が出る程度です。

試験最終日。

筆記試験の最後の科目を終え、湊は伸びをした。


「うぅ〜ん、終わった……色々と」


同級生の晃記(こうき)がやって来る。


「湊くん、手応えはどうだった?」

「うーん、割とヤバい」

「でも、休んでた期間より出席してた期間の方が長いでしょ?きっと大丈夫だよ!」


晃記はジャージの入ったナップサックを手にしている。

「さあ、後は実技試験だよ!湊くん、得意だろう?」

「うん。そうだな、実技で取り返せばいっか」


湊は気を取り直し、晃記と共に体育館へ向かった。


***


体育館では、まだ前のクラスの生徒が実技試験を受けていた。教官から外で待機するように言われ、玄関ホールはジャージに着替えた生徒で溢れかえった。


隣の晃記が話しかけてくる。

「1年の実技試験は宝刀の構えや振り方だけで、組み合いはないんだって。湊くんの祈念なら余裕で満点だよ!」

「ふふん、そう?ま、本番でもあんな風に光るか、まだ分かんないけどね?」


口ではそう言いながらも、湊は余裕の笑みを漏らす。

あれから何度か実践授業を受けたが、湊の宝刀は毎回眩い輝きを見せていた。


(祈念のコツ、完全に掴んだもんね。楽勝、楽勝)


前のクラスが終わり、生徒たちが一斉に移動を始める。

湊と晃記も中に入ろうとしていると、何者かに呼び止められた。


「あっ、いたいた!湊〜!」

「ん?」


生徒の波を掻き分け、指導教官の近衛(このえ)がやって来た。


「近衛先生?」

「ほーら湊、行くぞ〜」


近衛は湊の腕をガッチリと掴み、2階へ繋がる階段に連れて行く。


「近衛先生!?湊くん!?」

晃記の困惑した顔が、どんどん遠ざかっていく。


「先生!俺、まだ試験やってないです!」

「分かってるっての〜。お前はこっちだ!」


近衛が2階の扉を引くと、だだっ広いフローリングの中央に、見覚えのある生徒が2人並んでいた。


(あれ、成海(なるみ)さん?隣の眼鏡野郎は……名前忘れた。生徒会の会長と副会長が、どうしてここに?)


「ここは実践練習場。普段は訓練生が宝具を扱うトレーニングルームだが、今日はここがお前の試験会場だ」

「俺の?一体どういうことですか?」

「これは任務登用試験だ。本来なら、この試験に合格した訓練生にのみ、任務への参加が許可されるんだ。手順が前後してしまったが、お前にもこの試験を受けてもらう。そしてこの試験が、お前にとっては今期の実技試験にあたる」


(任務ったって、子どものお守りじゃん。特別な実技試験とか要るか……?)


訝しむ湊を他所に、近衛は生徒会の2人のもとへ歩いて行く。

「待たせたな、お前ら〜!」

「近衛先生!湊!」


真っ先に駆け寄ってきた成海は、湊に囁く。


「美咲の加護の件、照臣(てるおみ)と近衛先生は詳細を知らないんだ。内密に頼むよ」


(てるおみ?……ああ、副会長のことか。妹が神木の御使(みつかい)だなんて、親しい間柄でも言えないか)


湊は黙って頷いた。

副会長はバインダーを手に、滔々と資料を読み上げる。


「警護隊附属照東(しょうとう)訓練校1年、湊陽輝。素行不良における懲罰の一環として、当校学生の妹の一時的預かりを担当中。預かりには給金が発生しており、一般任務に分類される行為である。当該訓練生は、任務登用試験の合格を要するものと判断される」


(ふーん……ただのお守りとはいえ、金貰うんなら相応の手順を踏めってことか)


副会長は、読み上げを続ける。

「任務登用試験は教官3名が同席する規定であるが、本日は急を要する事態に見舞われたため、例外的に教官と登用訓練生で試験を監督する」

「ん?急を要するって?」


副会長がかしこまった声色を止め、呆れた声を出す。

「何だお前、ニュース見てないのか!」

「ニュース?」

「昨晩、灯西(とうせい)の刑務所で集団脱走事件があっただろう!受刑者はまだ捕まっていない。それで灯西へ応援に行ったり、訓練校周辺の警備を強化したり、先生方はてんてこ舞いなんだ」

「へぇー」

「全く、それが隊員を志す者の反応か?第一、僕はお前がこの試験に受かろうと、他の一般任務に登用されることについては――」


近衛が副会長のお小言を遮る。

「まあまあ、その辺で、な?ほら、ささっとやるぞ!湊、お前はコイツらの片方と手合わせするんだ。その様子を、オレともう片方が見て評価する」

「手合わせ?ボコればいいってことですか?」

「その認識でいい。ただ、2人とも1年生の時に登用試験をクリアした実力者だ。どっちを選んでも、お前の思うようにはいかないぞ」


(成海さんと副会長、どっちがボコしやすいだろ……)


湊が迷っていると、成海が湊に近寄ってきた。

「湊くん、宝刀を触ってまだ数週間だろう?怪我しちゃいけないから、僕が様子を見つつ合わせよう」


しかし、副会長が成海を押し除けて前に出る。

「成海!妹が世話になってるからって甘やかすんじゃない!僕が相手になる」

「そうかい?照臣、無理は禁物だよ」


副会長はフロアの片隅の倉庫から、細長い宝具を取り出した。

(何だあれ……槍か?)


「僕は宝槍(ほうそう)を使わせてもらう。湊、お前は宝刀でいいか?」

「はい。よろしくお願いします……えっと……副会長さん」

吉川(きっかわ)!吉川照臣だ!」

「ああ、そうだっけ……お願いします、吉川さん」

読んで頂きありがとうございます!

初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。

完結まで頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ