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【7話(3/5)】近づく試験

神木の加護を受ける街・煌都(こうと)


サボりの学生・(みなと)陽輝(はるき)は、神木と意思疎通ができる女児・猪狩(いかり)美咲(みさき)のお守りを任務として請け負うことになった。


湊は授業に出席する頻度が増え、授業と任務を両立できるようになってきた。

今日も授業を終えた後、幼稚園の美咲を迎えに行き、研究室へと連れて行くのだった。


※小説家になろう・note・Nolaノベルにて同時投稿中

※残酷な描写として、殴る蹴る・鼻血が出る程度です。

ある日の昼休憩。

湊は売店でパンを買い、教室に戻っていた。

神木ファンクラブの面々と昼を過ごすようになり、さすがに3人の名前と顔は覚えた。


「湊くん、もう売店には行ったのか?」

「うん。耀二郎(ようじろう)、ここ来なよ」


他クラスから弁当袋を手にやって来た、この研究マニアの名前は明石耀二郎。

明石さんが耀一郎、弟が耀二郎だ。

シンプルで一番覚えやすい。


「どうだい湊くん、中間試験への追い込みは?」

「ああ、見る?」


湊はパンをかじりながら、小テストを集めたクリアファイルを取り出した。

「ほら、好きに見ていいよ」


耀二郎は弁当を机の端に寄せ、湊のテスト用紙を広げる。

明石さんは仕事で忙しいので、耀二郎が弁当を用意しているらしい。


「明石くん、湊くんの試験、意外と取れてると思わないか?途中から授業に参加してるのに、凄いよ!」

歴史マニアも弁当を持ってやって来た。

彼の名前は巻幡(まきはた)晃記(こうき)


同じクラスとはいえ、希望進路が違うので選択授業では分かれることも多い。

共通の授業の際には隣に座ってきて、丁寧にまとめたノートを見せてくれる。

暗記といい授業ノートといい、書くのが好きなようだ。


「みんな、何見てるのぉ?」

売店のパンを買って来たのは、結晶マニアの錦戸(にしきど)瑛心(えいしん)

寮では同室なので、3人の中でも話す機会が最も多い。

神木の結晶の原石をペットのように扱う不思議な奴だが、毎朝起こしてくれるありがたい存在だ。


「俺の小テストだよ」

「へぇ、僕も見たいなぁ!」


3人は湊のテスト用紙を囲んだ。


「凄いねぇ、湊くん!単純な知識を問うものはほぼ全部正解してるよぉ!」

「湊くん、君は記憶力に加護を授かってるんじゃないか?教典だって暗記できてるんだし!」

「瑛心も晃記も、無理して褒めなくたっていいよ」


兄と区別するために、最初は耀二郎だけを下の名前で呼んでいた。

すると他の2人が耀二郎だけズルいと訳の分からないことを言い始めたので、今は3人とも下の名前で呼んでいる。


「俺のが出来の悪い結果だってことくらい分かるよ。覚えりゃ点取れるわけじゃないんだな。半分以上は分かんないのばっか」


瑛心が何枚かの用紙をめくる。

「湊くん、記述が苦手なのかなぁ?今度の中間試験、知識をもとに自分で考える記述問題が多いんだよぉ」

「マジで?終わったじゃん……」


晃記がカバンからノートを取り出す。

「でも大丈夫!共通選択の科目は僕の記述対策ノートを見せてあげるからね」


それを聞いて、耀二郎が先に食い付く。

「えぇっ?そんなものをまとめていたなんて!自分にも見せてくれないか!?」

「もちろん!2人で見るといいよ。神木ファンクラブ、一丸となって頑張ろう!」

「やった!ありがとう、巻幡くん!」

「ありがと、晃記。俺は会員じゃないけどね」


耀二郎と2人で対策ノートを眺めていると、瑛心がこちらを見てニコニコしているのに気づいた。

「……何?」

「ううん。湊くん、もっと勉強を嫌がるかと思ったのに、すっごく真面目に取り組んでるなぁと思って」

「あぁ、そう……」


のほほんと何も考えていないような顔をしているくせに、瑛心は普段から人の表情を観察している節がある。


(給金のために頑張ってるんだけど、こいつらに任務のことは話せないからな……)


「奨学金ってあるんでしょ。今の俺じゃ無理だろうけど、ちょっとは施設の先生に楽させてあげたいから」


嘘にならないように返すと、瑛心は垂れ目を細くしてふにゃりと笑った。

「そっかぁ!じゃあ、頑張らなきゃだねぇ」


晃記がテスト用紙を見せてくる。

「湊くん、それなら最後まで問題には目を通さなきゃ!ここなんかもったいないよ!知識問題って、大問の冒頭に設けられることが多いんだ。大問ごとの終盤が分からなくても、序盤だけは分かるかもだよ」

「へぇ、そういうもんなんだ。途中から分かんない問題ばっかだったから、最後まで見てなかったや」


耀二郎も、別のテストを見せてくる。

「あとは、単純な計算ミスも散見されたぞ。解き終わった後に確認して、こういった小さなミスをなくすんだ」

「なるほどね。解いたら寝てたわ。最後まで読むとか確認するとか、それなら簡単にできそう」


ファンクラブの3人の助言を受けて、湊は中間試験の対策を考えるのだった。


***


午後の授業が終わると、湊は帰りのホームルームには出ず、幼稚園へと向かう。


(俺、中間試験の成績が悪かったらどうなるんだろ……給金ゼロ?任務クビ?)


幼稚園に行くと、子どもが出てくるのを待つ保護者たちが、園庭に何人かいる。


「あら湊くん!今日も訓練お疲れ様!」

「どうも、ありがとうございます」


迎えの母親に混じる学生が珍しいのか、声を掛けてくる母親も多くなった。

誰が誰の母親かは知らないが、美咲のためにも愛想よく接するよう努めている。


「勉強も大変なのに、お迎えなんてえらいわねぇ!」

「ありがとうございます。俺は仕事も家事もないし、奥様たちの方がすごいですよ」

「あらまぁ湊くんってば!ウチの旦那に聞かせてやりたいわ〜!」


保護者たちと話していると、美咲が出てきた。

美咲を連れて、湊は研究室へと向かった。


***


「ねぇ、みなとさんっ」

「何?」

「これ!」


研究室に向かう道中、美咲はポシェットから手紙のようなものを取り出した。

文面は印刷だが、周りは色鉛筆で色とりどりに塗られている。幼稚園で作ったのだろう。


「こんどね、げきやるの」

「劇?」


文面を見るに、幼稚園の発表会の案内だ。

保護者に渡す招待状のようだが、自分が受け取っていいのだろうか?


「みなとさん、きて!くるよねっ?」


そう言って、美咲はもじもじしながら返答を待っている。

日曜にやるようなので、行くことはできる。


「……分かった。楽しみにしてるね」

「うんっ!」

「でも、これはお家に持って帰りな。お兄ちゃんにも見せるんでしょ?」

「うんっ」


(俺、ほんとに行っていいのかな?後で成海さんに聞いておこう)


***


研究室に着くまで、美咲は普通に話しかけてくる。

なのに到着した途端、オフィスへ走り、湊がこちらに来ないかを警戒する。


「みなとさん、あとでね!」

「ね、それっていつまで」

「あーとーで!」

「はいはい……」


美咲が何をしているのか見当も付かないまま、湊は今日も勉強しながら美咲を待つのだった。


読んで頂きありがとうございます!

初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。

完結まで頑張ります!

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