番外編 三人の剣士たち
神木の加護を受けた街・煌都。
煌都がまだひとつの国だった時代、とある聡明な剣士が、自身の回顧録を書き残した。
その数々のエピソードは、童話や説話として今も煌都の人々に伝わっているのだった。
『三人の剣士たち』新訳・煌都神木教典より
昔々ある所に、豊かな村がありました。
村人たちは、田畑を耕し、動物を飼って暮らしていました。
しかし、村に盗賊がやって来るようになりました。
盗賊は、田畑を荒らし、動物を奪っていきます。
村人たちは貧しくなり、困っていました。
ある時、村に三人の剣士がやって来ました。
剣士たちは、旅の途中で、泊めてくれる家を探していました。
剣士たちは、ひとつの家の扉を叩きました。
出迎えてくれたのは、村娘でした。
「一晩泊めてくれませんか?お礼はしますから」
剣士がそう言うと、村娘は困った顔をしました。
「ごめんなさい。皆さんにあげる食べ物がありません。この村には盗賊がやって来ます。働いても働いても、私たちの食べ物を奪っていくのです」
「それは大変だ!我々が、盗賊をやっつけましょう」
剣士の言葉に、村娘は驚きます。
「それは危険です!盗賊たちは大人数で、とても三人では太刀打ちできません」
「安心して下さい。我々は、都では有名な剣士です。盗賊たちには負けません!」
村娘は、安心して剣士に言いました。
「剣士さま、どうか村をお助け下さい!」
村娘に見送られ、剣士たちは盗賊をやっつけに出発しました。
***
三人の剣士たちは、盗賊の寝ぐらに辿り着きました。
聡明な剣士には、いい考えがありました。
夜になるのを待ち、真っ暗になった寝ぐらに叫びます。
「敵だ!他の盗賊が襲って来たぞー!」
真っ暗闇の中、盗賊たちは周りが見えず、味方同士で争い始めました。
「なんだ、お前と戦っていたのか!敵はどこにいるんだ!?」
盗賊たちはすっかり疲れてしまいました。
三人の剣士たちは、そこへ乗り込みます。
「お前たちが同士討ちをさせたのか!倒してやる!」
しかし、強靭な剣士が盗賊の前に立ちはだかります。
強靭な剣士が太刀を振るうと、残った盗賊たちは吹き飛ばされてしまいました。
勇猛な剣士は、盗賊の群れを掻き分け、お頭を見つけました。
お頭は大岩のように大きな身体でしたが、勇猛な剣士は怯むことなく立ち向かいます。
ついにはお頭をやっつけ、盗賊たちを縄で縛ることができました。
盗賊たちは言いました。
「俺たちは、誰かから物を奪うことでしか生活できない。これからどうすればいいんだ」
「まずは、奪ったものを村人に返すんだ」
三人の剣士たちは考えて、盗賊たちを村に連れて行くことにしました。
***
盗賊たちは、縄で縛られたまま、村へとやって来ました。
奪っていたものを返しますが、村人たちは盗賊を許せません。
「剣士さま、奪われたものが返ってきても、荒れた田畑や、野山に放たれた動物たちは戻りません!この盗賊たちを、都で処罰して下さい!」
聡明な剣士は言いました。
「盗賊たちは力持ちなのに、人から物を奪うことしか知りません。皆さんが働くことを教えれば、村はすぐに元通りになるでしょう」
強靭な剣士は、村から少し離れた山へ行き、木々をなぎ倒します。
その木々を組み立て、あっという間に小屋を建てました。
その小屋に盗賊たちを住まわせ、村人の手伝いに通わせたのです。
不服そうな盗賊もいましたが、勇猛な剣士がずっと見張っているので、逃げることができません。
盗賊たちは、村人と共に田畑を耕し、飼うための動物を探し、動物を囲う柵を作ります。
最初は怖がっていた村人も、だんだん盗賊たちの働きぶりに感心するようになりました。
「こんなに広い畑が、もう耕し終わったよ!一人じゃ大変だったから、あんたたちのおかげだね!」
「あんなに大きな丸太をもう運んだのかい?おかげで柵が早く作れるよ!」
村人に感謝されて、盗賊たちは嬉しくなりました。
盗賊たちは心を入れ替え、手助けを続けました。
そんな姿を見て、村人たちも、盗賊たちを許すことに決めました。
「あんたたち、いつまでも小屋から村へ通うのは不便だろう。村で暮らしなさい」
村人たちと盗賊たちは、村でお互いに助け合うようになりました。
***
やがて村は元通り、豊かさを取り戻しました。
剣士は、盗賊のお頭に言いました。
「これで、人から物を奪わなくてもいいだろう?」
お頭は言いました。
「自分の大きな身体が、みんなの役に立てて良かった!もう盗賊はしないよ」
三人の剣士たちは、村を旅立つことにしました。
村人たちも盗賊たちも、ここに残ってほしいと言いました。
しかし、剣士たちは都の命を果たさねばなりません。
村娘は、剣士にお礼の首飾りを贈りました。
「ありがとう、剣士さま!」
首飾りには、村人たちと盗賊たちが協力して磨き上げた、美しい石が使われていました。
「みんな、仲良く元気で暮らすんだぞ!」
こうして剣士たちは、旅立って行きました。
剣士たちが去った後も、盗賊たちは村の一員として、村のために働きましたとさ。
読んで頂きありがとうございます!
初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。
完結まで頑張ります!
次回7話は4/2(水)更新予定です。




