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【5話(1/3)】ひさしぶりのようちえん

神木さまの「ちびちゃん」とお話ができる女の子・美咲(みさき)


痛い検査をしたり、暇で仕方ない時間もあったり。

けれど、お兄ちゃんのお友達・(みなと)さんのおかげで、今日から幼稚園に行けることになった。


久しぶりの幼稚園、みんなと仲良くできるかな?


※小説家になろう・note・Nolaノベルにて同時投稿中

※残酷な描写として、殴る蹴る・鼻血が出る程度です。

「嫌な思いをしてまで行くことはないんだから。分かった?」

湊さんはそう言い残して消えてしまった。


(みなとさん、みさき、いやじゃないよ……ちょびっと、しんぱいなだけ)


待ちに待った幼稚園だけど、みんなと元通りに仲良くできるか不安だった。


「さあ美咲ちゃん、最初は先生とお部屋に入ろうね。お友達にご挨拶しましょう」


美咲は靴を脱いで、先生に着いていく。

先生と一緒なら、ちょっとだけ安心だ。


「みんな〜、今日はずっとお休みしてたお友達が帰ってきました!おいで、美咲ちゃん!」


部屋に入ると、みんなの視線が一斉に集まる。

休む前に話した子の顔もちらほら見える。


(あっ……なおくん)

昨日ブランコで遊んだなおくんもいた。


みんなに向かって、美咲はペコリと頭を下げた。

「美咲ちゃんはお家の事情でお休みしてたけど、今日からみんなと一緒に過ごします。分からないことは教えてあげて、助けてあげましょう」

「はーい」


子どもたちの中で、ショートヘアの女の子が手を振っている。

「みさきちゃーん!」

「あっ、ゆりちゃん!」


侑理(ゆり)ちゃんは、美咲が幼稚園を休む前に仲良くしていた友達だった。


「じゃあ美咲ちゃん、侑理ちゃんのお隣に行っておいで」

「はーい!ゆりちゃん!」


ひとりぼっちじゃなくてよかった。

美咲はほっとして、侑理ちゃんと一緒に活動するのだった。


***


遊びの時間に、侑理ちゃんが尋ねてきた。


「みさきちゃん、なんでようちえんこなかったの?」

「えっと……あのね、ちびちゃんとおはなししてたの」

「ちびちゃん?だれ?」

「うーん……しんぼくさま」

「えぇっ、しんぼくさま!?みさきちゃん、しんぼくさまとおはなしできるの!すごーい!」


侑理ちゃんの声を聞きつけて、男の子がやって来る。

「あぁーっ、みさきがウソついてる!ウソつきはハリセンボンになるんだぞ!」


(あっ、たいせいくん……たいせいくん、こえがおっきくて、あんまりすきじゃない……)


侑理ちゃんが泰星くんに言い返す。

「ちがう!ハリセンボンはハリセンボンじゃない!ハリをせんぼんのむっていみなの!」

「どーでもいいだろ!しんぼくさまは、みつかいさまとしかおはなしできないんだぞ!おれ、みつかいさまにきいたもん!」


泰星くんは大声で周りに呼びかける。


「ねぇー、みさきがしんぼくさまとはなせるってウソついてるー!!」


近くにいた男の子たちが集まってきた。

美咲はもじもじしながら言葉を絞り出す。


「う、うそじゃないもんっ、ほんとにきこえるのっ」

「ウソだ!きこえるわけないじゃん!」

「ほ、ほんとだもんっ」

「ウーソつき!ウーソつき!」

囃し立てられ、美咲は涙目で俯いた。


侑理ちゃんが怒ってくれる。

「いけないんだ!こういうの、いじめっていうのよ!」

「ちがいまーす!ウソつきをウソつきっていっただけでーす!」

「うるさい!よわいものいじめだっ!」


侑理ちゃんはその場にあった木の椅子を振り上げ、泰星くんたちを追い回した。

近くで遊んでいた子たちも、叫んで逃げ惑う。


「せんせいにいいつけてやるーっ!」

「うわぁーっ!ぼうりょくおんなだぁ!」


みんなが騒いでいると、外遊びからなおくんが帰ってきた。


「わぁっ!?ゆりちゃん、やめろよ!」

「なおくんうるさい!あっちがわるいんだっ!」

「イスかえせ!ぼうりょくはんたい!」


なおくんは侑理ちゃんの持つ椅子を掴み、揉み合いになった。


「やめて、なおくんっ、ゆりちゃんっ……」

美咲の小さな声は届かず、2人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。


「そうだそうだ!ぼうりょくはんたーい!」

「やっつけろ、なおき〜!」


侑理ちゃんはなおくんを横に突き飛ばし、囃し立てる男の子たちに突進する。


「うるさいっ!もともとそっちがわるいんだぁーっ!」


その勢いのまま突っ込み、みんなに飛び蹴りを喰らわせた。


「いってー!」

「ぼうりょくおんなをやっつけろー!」


立ち上がったなおくんもその渦中へ加わる。

「ゆりちゃん!やめろってば!」


美咲はそれを見て泣くばかりだった。

「やめて、みんなやめてよぅ……」


***


騒ぎを知った先生が駆けつけた時には、ボロボロになって泣く数人の男児と、泣き疲れてしゃがんでいる美咲、その横で揉みくちゃになって喧嘩を続けている侑理と直樹の姿があった。


「こら!2人ともやめなさい!」


側にいた泰星が声を上げる。

「せんせー!ゆりがイスでぶってきたのと、けってきたのと」


侑理は直樹の髪を掴んだ状態で反論する。

「ぶってない!イカクしただけ!」

「侑理ちゃん!どんな理由があっても暴力はだめよ!」

「ぶってないもん!こいつらがわるいの!せんせい、こいつらがわるい!」


美咲は弱々しく声を上げる。

「ゆりちゃん、もういいよぅ」

「よくないっ!このよわむし!」

「うぅっ、うあぁ〜ん!」


美咲は侑理に怒鳴られ、再び泣き始めた。


「とにかく1人ずつ話を聞きます!こっちに来なさい!」


読んで頂きありがとうございます!

初投稿ゆえ、至らぬ点があればすみません。

完結まで頑張ります!

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