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転生人形師は理想の嫁を追い求める。〜こじらせ人形師は実在女に「興味が!」モテない〜  作者: 白ゐ眠子
第四章・王宮中は大騒ぎ!

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第77話 休日返上のお仕事、


 それから数日後の休日──。

 この日の俺は早朝にマリアとの槍試験、朝方にミヤとの風呂掃除、午前中にサーシャとの市場巡りに付き合った。これらは先の食洗機事案での罰であり自分から言い出した事でもあるので、どれだけキツくとも付き合った俺だった。

 結論から言うとマリアには新型銃槍と各種装備で大満足の結果をいただき、今後は身体成長に合わせて専用武器を用意する契約を行った。


『シュウが付けた時は重そうって思ったけど』

『実際に身に付けたらそうでもないだろ?』


 先ず腕輪から展開される黒色のライオットシールドを試してもらった。通常時は身体を覆い隠す大きさで展開する大盾だが、


『内側から透けて見えるって何! 盾の重量も思ったよりも少ないし!』

『底部排莢口の重量だからな。腕輪に戻すと黒い装飾品の見た目に変化するぞ』


 戦闘時には槍者の意識次第で自由に形状変更するため、覆い隠すなり横に伸ばす事も可能だ。部分的に穴を開けて銃槍だけを外に突き出したりな。腰にあった排莢口もシールド下に移動し、勢いよく飛ばす土玉武器になった。


『へぇ〜。穴も外向きなんだね。強度は?』

『空間その物だから割れる事も無いぞ』

『それは凄い!?』


 槍の発射口は穂先に局所的な空間の穴を開け視界に映る照準補助で発射する。


『撃ち出しとかどうだ?』

『穂先から直ぐに穴が出来るのね。右手の篭手も熱を帯びないし使い勝手はいいかも』


 柄の発射機構を排除し連射変更ボタンとトリガー・色識別のみ残した。発射機構は右篭手内へと収めゼロ距離で発射する。剣帯の弾倉とも空間接続で繋がっている。

 それだけに右手の負担が大きくなるので防御結界を付与したミスリル手袋が必須となった。


『それと装着時に素手では絶対にはめるなよ。専用の黒手袋を絶対に装着しろ!』

『ぜ、絶対を連呼するほどの物なの?』

『これは魔力圧と射出熱を完全防御する手袋だ。身につけないと右手が壊れるか火傷する』

『マ、マジで?』

『大マジだ。魔法弾なら魔力圧、実弾なら』

『ああ、分かった。実弾だけで分かったよ』


 最後は青ざめたが、収納魔法が収納術に変化すれば勝手に装着されるはずなので、しばらくは癖が付くまで練習する事になるだろう。

 夏場は冷たく冬場は温かくなる手袋だが。

 ミヤの時はいつも通りの態度で掃除出来たのが良かった。紅白全身タイツで風呂場に現れた時は何やってんだコイツと思ったけど。


『どう? 僕の体型に違和感ない?』

『寸胴だって事は分かったから掃除しようぜ』

『僕は寸胴じゃないよ! この胸を見てよ!』

『いつか育つといいよな、大胸筋』


 ホントに何やってんだコイツってなった。


『大胸筋、うん。大胸筋だよね、そうだよね』


 自分が女だと認識している証拠だろう。身体はどれだけ頑張っても男の子だが。

 その中で一番キツかったのは、女の子していたサーシャだけだった。何がキツいってゴリゴリと胸板を右腕に押しつけられて、徒歩移動で市場を巡ったから。それも平民の衣装を着つつ髪色を白髪に偽装したうえでのお出かけだった。

 偽名というか愛称を呼ばせられるというな。

 一応、買い物中に大豆や米などを見つけたから良かったかもしれない。それらが帝国産ってところに妙な納得が出てしまったけれど。

 そんな半日デートもといお出かけの後、


「お疲れ様でした、兄様」

「後半が滅茶苦茶疲れた」


 苦笑するシャルを伴って俺は大公領の(やかた)に向かった。主なる目的は今回の帝都侵入に関する情報が集まったからだ。

 そして館のバルコニーに立ち、


「哨戒人形、空間迷彩を維持しつつ大公領へと帰投せよ」

『『『『了解!』』』』


 インカムを右耳に着けて命じた。

 哨戒人形と名付けたそれは赤子サイズの人造兵の事だ。背中に妖精のような羽根を持ち浮遊魔法と風魔法で空を飛ぶ。

 例の変換陣のみで稼働する特殊人形のため実質補給要らずだ。主なる運用方針は侵入作戦に投じられる人形達の補助だった。

 こちらにも闇無効化という魅了や洗脳を完全除去し、記録映像に影響を残さない仕組みを与え、肝心の思考魔核は俺が造った、初めての人形と言っていいだろう。

 全員の容姿と人格は前世のミヤで黒髪女子という感じだ。一応、任務中はシニョンに変えて抜け毛対策をしていたけどな。


『帰ったらお風呂入ろう!』

『お風呂もいいけど、寝たい』

『私は単純に羽根休めしたい』

『ヨミ、フミ、ミミ、まだ任務中!』

『ヒミは生真面目さんだなぁ』

『帰るまでが任務よ、フミ』

『『『はーい!』』』


 上空待機はリーダーのヒミだ。

 サエの支援はフミ。ユエの支援はミミ。

 ヤエの支援はヨミという名前を付けた。

 バルコニーから室内に戻った俺はカーテンを閉め、館の執務室裏にある壁面に手を触れ内部に進む。そこは本来なら無いはずの大会議場と人形工房が隣同士で存在していた。これは亜空間内へと設けた特殊工房ってやつだな。

 入口は執務室の壁面のみ、許可のある者以外は出入りが不可だ。

 そうして俺は工房脇の記録魔導具に触れる。


「四人の哨戒映像も記録済みっと」


 その魔導具には空間接続経由で記録された哨戒映像が集められていた。しかも暗号化処理された符号模様で目前のガラス板に映っている。

 ガラス板自体は寮の絵画と同じ代物だな。


「シャル、プロジェクターを会議場へ」

「承知しました」


 ちなみに、プロジェクターを造っている事はミヤ達には内緒だ。文句が出るから。

 工房脇の記録魔導具やら復号化魔導具やらは一種のスパコン的な魔導具で、今はこの工房しか置いていない。大きすぎて持ち出せない事も理由の一つだが、用途が人形製造のみに限られているため使い手は人形師のみとなっている。

 その内部は水晶板、魔石、ミスリル板という異世界のパソコンの中身とは大違いだが、魔力的な要素で稼働する神秘の塊である。

 思考魔核の製造方法も魔石加工を行う従来方式ではなく魔石の魔力を元に特殊形状の魔石に造り直す、三次元印刷方式を取り入れている。

 製造には従来方式以上の時間がかかるが精密な魔石製造がこれで可能になったともいう。

 最近の母様も思考魔核の設計と製造に使っているが、完全に使い切れていないのが現状だ。

 これには例外魔法を沢山使っている事から、俺に対して度々質問を入れてくるほどである。

 それからしばらくしてシャルに案内された、


「サエ、ユエ、ヤエが戻りました」


 侍女服に着替えた人形達が入ってきた。

 全身スーツは戻ってくるなり着替え終えており記録の吸い出しも既に終了していた。

 三人の姿を見た俺は鑑定しつつ労った。


「任務お疲れさん、本日は別命あるまで待機とするから、いつも通り休むなり、館の仕事を手伝うなりしてくれて構わない」

「「「ありがとうございます、兄様」」」


 それぞれに異常はない。ただ、少しばかりの精神疲労というか思考魔核に小さな劣化が見られるが、少し休めば回復する事が読めた。

 今回侵入した三人の見た目は黒髪黒目でショートヘア、顔立ちは前世のリクを彷彿させる姿としている。断崖絶壁な容姿を含めてな。

 三人を見送った後の俺は椅子に座り直し、


「母様達の到着はもう少しあとか。それまでに必要な資料を用意しないとな。一応、文章記録も書き起こしておかないと」


 カチカチとキーボードを打ってこの後に必要な各種資料を作り始めた。それは記録映像を見ながら重要拠点と情報を示すため準備段階だ。


「全て手書きなら詰んでたな」


 作って良かった活版印刷の魔導具!




 知らぬ間にあれこれ造ってる件。

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