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転生人形師は理想の嫁を追い求める。〜こじらせ人形師は実在女に「興味が!」モテない〜  作者: 白ゐ眠子
第四章・王宮中は大騒ぎ!

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第75話 平穏とはほど遠い、


 翌日の早朝はいつもより早く目覚め──。

 訓練場へと向かう者は準備を始めていた。

 本日はシャルが朝食当番であり、一人ずつの好みに応じて用意していた。俺とミヤは前世の付き合いから好みが似通っているため、ハムエッグとトーストと珈琲の一般的な朝食となる。

 異世界に生まれ落ちてこのような朝食をとるというのも不可思議な話だが、似たような食材があったため、苦心努力したうえで得られた。

 ひとえにミヤの努力の賜物だろう。


「女子力の高い男の子というのも別路線だな」

「へへん、凄いでしょう! 褒めて褒めて!」

「褒めるのはいいが、何でヤケクソなんだ?」

「そ、それは聞かないで!」


 一方、マリアとルイスは世界特有の硬いパンと濃いスープを好んで食べていた。郷に入っては郷に従えとマリアは言っていたが、ルイスから意味を問われて無視したのは記憶に新しい。


「朝からイチャイチャと羨ましい!」

「男同士でイチャイチャも何も無いだろう?」

「ああ、ここにも朴念仁が居たわ」

「それはどういう意味だ?」

「このスープ美味しい!」

「どういう意味だ?」


 最後にサーシャはミヤ特製の白パンとジャガイモの冷製スープと紅茶をいただいていた。


「母上は一体何をする予定なのかしら?」

「サーシャは聞いてないのか?」

「昨晩訪れていた父上が言うには内緒としか」

「両親そろって秘密にするとはな」

「もしかすると総当たり戦じゃない?」

「ミヤ、そんな脳筋な事を側妃様が選ぶか?」

「いえ、母上ならあり得るかも。脳筋だし」

「まさか、そんな事が? サーシャも脳筋?」

「サーシャも脳筋じゃない? 娘だし」

「そんなわけないでしょ!? マリアにだけは言われたくない!」

「酷い!」


 食事中の話題はこのあと行われるであろう初日の授業についてである。遅れに遅れた教科書の方は絶賛書き写し中との事で、あまりの事に活版印刷を提供しようかと思ったほどだ。

 ただ、それをすると職を無くす者が溢れるため、手近なところではマークシートを作る魔導具のみに留めているのが現状だったりする。

 朝食を食べ終えた俺達の元に寝ぼけ眼のカミナ殿下も起きてきた。そしてシャルと入れ替わるようにライラも厨房に入った。


「ルイス、おはよう」

「カミナ、おはよう」


 それと同時にイチャイチャが始まった。

 例えるなら俺達の目の前で抱き合って軽いキスをしたのち離れたと言えばいいか。

 それを六歳児と七歳児が行えば白けた視線を向ける者がそれなりに居たりする。


「マリア、僕さ、もの凄い砂糖吐きそう」

「私もよ、ミヤ。私も珈琲が欲しいわね」

「お盛んな事で。ブラック珈琲が美味い」

「いいなぁ、私もして欲しいかも」


 主に俺達転生者側の視線がほとんどだが。

 サーシャは羨ましげに俺を見るが無視だ。

 そもそも、そんな関係では無いだろう?

 砂糖を吐く意味が分からないルイスはきょとんとしつつ、カミナ殿下をエスコートして上座へと座らせた。それは出来る貴族令息だな。

 そんな姿を示された俺は席を立ち、


「さて、そろそろ向かうか。シャル」

「はい、兄様。皿をお下げしますね」


 シャルに対して簡単な命令を行う。


「洗いは棚の中に入れておけばいいぞ」

「承知しました、兄様」


 それは新規で用意したとある魔導具の事だ。

 俗に言う食洗機の事だな。中に収めておけば勝手に皿や調理器具を洗い、最後に浄化で汚れを消し去る。乾燥と冷却まで済ませると事前に指定した棚へと転送で戻すという代物だ。

 今のところこの寮にしか存在せず本日初めて公開したようなものだな。昨晩、造ったし。

 すると俺達のやりとりを見ていたミヤが、


「シュウ様? 条件を覚えてます?」

「あー、あれって生活魔導具の事だったのか?」

「おぅ、やっぱり理解していなかった!」

「あれほど条件は明確にって言ったのに!」

「ミヤの悪い癖だね。愛故か、知らないけど」


 引きつり笑顔で問いかけてきて、サーシャとマリアから意味不明な呆れをいただいていた。

 条件って言うから黙認の事で合っていたが、武器の黙認はするが他はダメって扱いなのか。

 とはいえ時間を浪費するのもあれだしな。

 洗い物で時間を無駄にするよりも他の事に時間を使いたいと思っても良いと思うが?

 なにせ厨房はカミナ殿下以外の物はシャルとリーシャだけで回しているようなものだしな。

 あの二人には侍女以外の仕事があるし。


(やっぱり他の侍女人形を増やす方がいいか)


 人手が足りないから不要魔導具を造ったと言われるなら選任の人形を造るほか無いだろう。


「まぁ分かった。生活魔導具は二度と造らないよ。その代わり、侍女人形の数を増やすよ」


 それしか手が無いしな。

 しかし、俺の考えは何故か通じなかった。

 ミヤとサーシャは困り顔で目配せし、


「い、いや、造るなとは言ってないけど」

「う、うん、便利だからあると嬉しいけど」


 マリアが溜息を吐きながら苦言を呈した。


「シュウ、何か誤解してるみたいだけど、造るなら一言だけ言ってって意味なんだけど?」

「は? それだけでいいのか?」

「事後報告で驚かされる身にもなってくれって事。意図を聞かされないまま渡されても困るでしょう? この中で造り出せる者はサーシャとミヤが居ても魔法込みで用意出来るのはシュウ以外は居ないからね?」


 そういう事か、つい思いつくままに造っていたからな。これは反省しないといけないな。

 だから俺は先日の事を思い出して苦笑する。


「分かった。なら今度の休みにでも市場巡りに付き合うよ、サーシャからの罰だしな」

「え? いいの?」

「相談無しでやらかしたから」

「う、うん。分かった」


 サーシャはそれで納得してくれた。

 次いでミヤに対しても詫びる事にした。


「ミヤは風呂の付き合いだな」

「ま、待って、それは、ダメ!」

「は? 風呂掃除の手伝いだが?」

「そっち!? そ、それならいいけど」


 だが、何故かあたふたされた件。

 真っ赤に染まるような事はあったか?

 最後にマリアに対しては、


「槍の改良型が出来たから後日試験してくれ」

「えっと、それって例の?」


 テスターをお願いした。

 詫びというか戦力増強だけどな。


「マリアしか使えないからな。大きさの変化するライオットシールドと共に用意したから役立つと思う。排莢部はシールド下部に設けたし」

「そ、そうなんだ。うん、分かった」


 これで全員からの許しを得たという事で。

 但し、用意したのはこれだけでは無いので追加で詫びを入れる俺だった。


「それと、もう一つ、事後報告しておくよ」

「「「はい?」」」


 一応、こちらは生活魔導具では無いから黙認されると思うけど。


「入口正面の絵画、あれは哨戒映像だから」

「しょ、哨戒!? あ、あの絵画が!」

「い、いつの間にそんな物をぉ!」

「哨戒って、なに?」


 反応は三者三様の有様だ。

 マリアは少しずつ変化する絵画に驚き、ミヤは愕然としたまま指をさす。サーシャはきょとんと理解不能を示しただけだな。

 同じ表情はカミナ殿下とルイスもだわ。


「綺麗な風景画と思ったら違うの?」

「そういえば、夜に見た時と明るさに違いが」

「初めて見る者が多いと思うが、これは帝国上空から向きを変えつつ帝都を映しているんだ」

「て、て、て、帝国上空ぅ!?」


 これは単に侵入している人形の命令用で用意した魔導具だったりする。定期的にこれで覗き見ては、何処に向かうかを指示しているから。

 人形達に対して、情報公開していない知らない国で右往左往させるのも忍びないからな。

 連絡手法は空間接続経由の音波魔法だな。




 新発想のオンパレードやぁ。

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