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転生人形師は理想の嫁を追い求める。〜こじらせ人形師は実在女に「興味が!」モテない〜  作者: 白ゐ眠子
第四章・王宮中は大騒ぎ!

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第74話 情報が抜かれる。


 訓練場からの帰り道にシュウ様が──。

 久しぶりに撫でてくれたぁ!? って、そうではなくて、急な事だったから意表を突かれたよ。危うく男の子の仮面が剥がれそうになって身悶えそうになってしまった。危ない危ない。

 寮への戻りはそれなりに近いようで遠い道のりだが、五人で話し合いながら戻っているから時間があっという間に過ぎた気がする。

 ただ、マリアが言った、


「でもいいの? このままだと奪われない?」


 この一言にシュウ様は策があるのか笑いながら答えていた。


「このままでいいんだよ」

「はい?」


 これには僕もサーシャ様も、背後を歩くマリアとルイス様もきょとんだよ。

 するとシュウ様はマリアとルイス様の背後を見つめネタばらしした。しかも僕達の周囲を遮音魔法で覆うという念の入れようだ。


「いいか、例の命令は諜報員の侵入が肝だ」

「命令ではそうなっているわね。でも、そのままだと確実に奪われてしまうわよ」

「街道を進んでいくならな。実はな、その命令は既に展開中だったりする。現状では表沙汰には出来ないから黙っていた話だ」

「はい?」


 え? 展開中? それって作戦中って事?

 これには僕を始め、全員の目が点だよ。


「い、いつの間に?」

「サーシャには言っていないが母様と叔母上からは了承済みだ。内戦下にある帝国、帝都の内情を知るには絶好の機会だからな。何処までの技術を持っていて何処に向かうか知る必要があるから。そうしないとこの国は詰む」

「な、なら、何体の人形を送り込んだの?」

「入学式前の数日間に三体を侵入させている」


 えっと、これってつまり、どゆこと?

 流石の言葉にサーシャ様も大興奮だ。

 いや、怒っているともとれるかな?


「でも、街道は衛兵達が居るでしょ?」

「ああ、だから帝都に直接送ったんだ」

「直接?」

「サーシャは覚えが無いか? 俺とシャルが壁から出て壁に消えた件」

「あ! だ、誰かさんがお尻を晒していた時の!」

「ゴッホ、ゴホゴホゴホゴホ!」

「大丈夫か? ミヤ」

「う、うん、大丈夫」


 サーシャ様、そこで僕を見ないで!

 もう、咽せちゃったじゃん!?

 思い出すだけでも恥ずかしい。


「あの白くて丸い可愛い小尻な。誰かは知らないが悪い事をしたと反省はしている」


 反省しているなら、忘れてぇ!

 あ、可愛いって言ってもらえた。

 やっぱり、忘れたらダメェ!

 身悶える僕は置いといてシュウ様はサーシャしか見てないのか、そのまま語る。


「実はあの時の魔法が形を成したから実行に移せたんだ。本来なら数年かける必要があったが改善点が見つかったからな」

「そ、それって?」


 やっぱりサーシャ様は大興奮だった。

 ああ、マリアとルイス様は完全に空気だよ。

 どういう事だよって、話し合っているし。

 知らないもんね、僕がお尻を晒した事は。


「弾で撃ち込む事は戦術としてはありなんだが魔力消費が多いから維持が出来ない。なら魔導具としてはどうかって話になって、場所を指定すると王国民であれば状態異常が無い限り、誰でも出入り自由な転移門になった。使えない帝国間諜から見たら、ただの鏡だけどな」

「「転移鏡!?」」


 それには僕もマリアもびっくりだ。

 ゲームで見た物をまさか実現させるとは。

 今度はサーシャ様とルイス様がきょとんだ。

 しかし、シュウ様は気にせず続きを語る。


「帝都の発現先は路地裏の壁面としていて人形の目を通してなら壁面が鏡に見えるんだ。人の目では壁面だな。一度でも閉じると帝都から転移弾を撃たない限り出入口は繋がらないが、逃げる際に帝国兵が追いかけたとしても壁に激突するだけで転移先は安全だ。転移弾は魔力感知でも気づけないし魔法的な残滓をその場に残さない。そのうえ帝国貴族、帝国兵や機械兵では絶対に撃てない特殊弾だ」


 それって実質無敵では?

 撃ったあとの薬莢は土玉に変化するし。

 リボルバーなら戻ってから薬莢を捨てても問題ないし。それが可能になったから気にせず帝都に送り込めたんだね。


「そ、その鏡って何処に?」

「帝都の鏡は秘密だ。但し、同じ物は寮にある」

「ふぇ?」

「正確には一つを王宮に献上してて、対となる出入口が談話室に置いた新しい鏡だ」

「あ、あの、最近置いた、姿見?」

「ああ、サーシャとか殿下が行き来しようと思えば通る事が可能だ。カイナ殿下は除外だが」

「な、なら、戻ったら居るよね、父上が」

「サーシャには事後報告となったが居るな」


 ああ、王太子殿下が談話室に居るのか。

 気兼ね無しに娘の成長を見にくる親馬鹿で。

 でもこれって宮廷魔導師がいなくても行き来が可能って事だから設置場所によっては奥様も行き来が行い易いって事になるよね?


「あれは国内限定の転移鏡だな。設置場所で言えば俺の実家、マリアの実家、ルイスの実家、大公領の(やかた)だ」

「じゃ、じゃあ、いつでも戻れるのか?」

「ルイスに忘れ物があるならな」

「いや、カミナの無事を知らせたい的な」

「ああ、それなら後で行くといいよ」

「助かる、母様が一番気にかけているからな」


 僕が思った通り既に設置済みだった件。

 というより、訪れていそうな気がする。

 けど、誰もがツッコミを入れないので黙る。

 学長も戻ろうと思えば寮に向かえばいいと。


(そういえば何か忘れているような気がする)


 僕はこれで話が終わりという雰囲気の中、何かを思い出す。


「あ! 送ったという人形は大丈夫なの?」


 僕の問いにシュウ様はきょとんとして、


「あ、忘れてた。それなら大丈夫だ、シャル、リーシャ、顔を出せ」


 マリア達の背後に向かって声をかけた。

 すると驚いた事に背後から声が響き、侍女服を着たシャル達が一瞬で姿を顕した。


「「はい」」

「居たのぉ!?」


 僕達ですら忘れていた人形達。

 まさかシャル達が背後に居たなんて。

 サーシャ様はあうあうとリーシャを見つめ、


「こ、これって?」

「表層は斥候向けの魔法と言えばいいか。この制服にも同じ魔法が付与されているが、精度からしたら人形達の方が高精度だ」

「じゃあ、同じような人形を?」


 大興奮なまま問いかけた。


「たちまちは三体だけな。シャルとリーシャは外付けだが三体は思考魔核に与えているんだ。闇無効化を新規で加えた特殊体としてな」


 闇無効化? それって洗脳対策だよね?

 しかし、サラッと流すべきでない単語が含まれているのにサーシャ様の関心はそちらに向いていなかった。


「外付け? 何処にそれが」

「侍女服の生地に隠密魔法と気配隠蔽、魔力隠蔽の魔法陣が縫い込まれていて下着には防御結界だな。残りの遮音魔法と空間迷彩を腕時計に与えているんだ。使う時と止める時だけは竜頭を押せばいいってな。これも時計の中身があれだから可能になったんだ。あれの属性は風と空間と雷の多重属性となったが、シャル達しか持ってない。あれは帝国には持ち込めないから」


 シュウ様があれとするのは変換核の事だね。

 知っているのは僕とサーシャ様だけだから。


「ぎ、技術の集大成じゃないのぉ!」

「まだまだだよ。今回も思考魔核は母様の提供品だ。それを改良したに過ぎないから」

「ああ、そっか。そうだよね」

「元々の命令受諾者は母様だしな。俺は手伝っただけだから。侵入報告は全ての情報が集まってからになるから、早くても数日中だろう」


 するとシュウ様は背後に向かってハンドサインを行い、シャル達はそれを見て再度隠れた。

 多分、解散時にも同じように示して片付けたように見せたのかもしれない。僕達が頻繁に収納術へと片付けていたからそれを利用してね。




 事後報告とはいえ、まさか、そうくるとは。

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