第56話 準備会中の話題転換。
シュウ様はチート何て思っていた事も──。
有りました、それを改めて提供されると、またも惚れ直してしまいそうになった僕だった。
その前に僕の不注意かつ自業自得の事故とはいえ前世と同じ体勢で全てを見られたのは恥ずかしかったけど、幸か不幸か僕が女の子だと認識されておらずサーシャ様の友達一号として扱われていた。正直、ものすごい複雑だけども。
(全て見られた女の子、その子と婚姻してもいいって意味だよね、言質って事は)
それはともかく、今はナヤ姉様の下着屋から取り寄せた売れ残り下着へと、自動伸縮魔法を付与しつつ転学生向けに個包装を行っているのだけど、僕達の関心は大きさの変わる下着だけではなく制服についても向かっていた。
「成長に即した制服の大きさ変更って凄い!」
「上限はどの程度なのか試してみたいわね?」
「シ、シュウ、す、す、素晴らしいです!!」
僕自身は男子制服だけでなく女子制服にも付与させて貰ったけどね。いつ頃着るか分からない制服だけに、そのまま放置はしたくないし買い換えというのも、もったいないからね。
それがシュウ様の魔法によりいつ着ても大きさが合うという情報は僕にとって朗報だった。
しかも、一度着たら大きさを維持し少しでも変化があると新しい大きさに変化するという。
「そもそも私達は成長期でもあるから」
「育った分だけ買い換えが必要だけど」
「ぜ、ぜ、税金の、む、無駄がなくなるのは」
「嬉しい誤算だよね!」
「叔母上はそのうえでシュウの作ったベストを発注していたわね。布生地はシュウが用意した特殊生地らしいけど」
「オリハルコンの鋏と針を用意していたね」
「ふ、普通の、鋏では、切れないのですか?」
「ミスリル繊維を織り込んだ物らしいわ」
「そ、そ、そ、それ、て?」
「槍で突かれても」
「剣で切られても」
「「怪我しないベストになるって」」
「!!?」
ちなみに、今回から学長の娘ことトゥリオ辺境伯家が長女、マリア・リィ・トゥリオ様も一緒に住む事になった。様付け禁止と怒られたので普通にマリアさんって呼ぶ事になったけど。
学科的には重槍科所属となるらしい。
(マリアさんの称号、気のせいではないよね? う〜ん、銃剣持たせたい! そしたら蘇りそうな気がする。キャラ変するかもしれないけど)
僕の場合は錬成科かと思ったら生産科で統一されていた。あと一人、男子が同じ寮に加わるそうだけど今はシュウ様が迎えに行っている。
それは先の戦争未遂があった事と同時に帝国間諜が禁輸品の火薬を持ち込んでいた事が発覚し、宮廷魔導師団の半数が捜索に駆り出されていて、転移担当者が出せなくなったからだ。
その火薬が原因でサーシャ様の姉様がそれはもう酷い有様になり、女としての生殖機能を失ったとの話だ。本当はそれでサーシャ様を狙っていたらしいけど、返り討ちに遭っただけね。
状況的に擁護は出来ないけど酷ではあるね。
「それと斥候向け魔法も与えられているから野外訓練の時は順番で見て回る事もあるらしいわね。ずっと制服というのは辛い物があるけど」
「そのための下着とスパッツじゃない?」
「あちらのまま下着無しで同じ事をやらされたら動くに動けなかったでしょうね、男子の視線がスカートの中身に釘付けになるから」
「それは絶対になるね、ポロ珍君なんか特に凝視すると思う。サーシャ様のサーシャ様を」
「そ、それは凄い嫌ね」
「ポ、ポ、ポロ珍君?」
「デビュタントでずっこけた騎士爵子息だね」
「あ、ああ! あの、不、敬罪、お、男!」
「可愛らしい芋虫を見せられたわね」
サーシャ様は直で見てるもんね。
あれもシャルの報復だったらしいけど。
本当なら運動着があればいいけど無いんだよね。学校の制服がそのまま正装と同じ扱いを受けるから、別物の服で出歩く事は無いらしい。
それもあって王立学校との違いは下着の有無でも出てくるだろう。夏場の野外訓練では王立学校の生徒とも交流するとの話があるからね。
そのときにチラりとする者とガッチリ固めた者との差が歴然となるだろう、それでナヤ姉様の商売が王都でも成功すれば万々歳だけどね?
「これが成長して胸が大きくなると」
「あぁ、母様みたいに見えてしまうのね」
「夏場は透けてしまうよね。あちらだと」
「私達の夏服はどうなっていたかしら?」
「青色に変化するらしいよ。それも冷却が付与された特注品だって」
「それを聞くとどちらが精鋭か分からなくなるわね。あちらは実質、自称と化しているし」
「なんちゃってエリートと一緒は嫌だなぁ」
「ほ、ほ、本校って、そ、そんなに、酷いの」
「「すっごい酷いね!」」
その犯人はシュウ様によって捕縛されたけど影響を受けた者は残っているので回復は見込めないだろう。闇魔法を使えばギリギリで回復するようだが、この国では使い手が少ない関係で手出し出来ないのだ。シュウ様も一応は使えるそうだが、使った後に惚れられる弊害があったとかで、使うのを躊躇っているらしい、ん?
(ま、待って? それってまさか?)
実技試験に居たヤンデレでは?
もしかしたら僕の知らない間に平民の女の子で試して、やらかしていたのかもしれない。
あの子はそのまま隣の教室に居たから会う事すら皆無だったが、教室外では常にシュウ様を見ていたからね。教会所属イコール帝国の間諜の可能性も捨てがたいけど。
するとその直後、
「あら?」
サーシャ様の連絡魔導具が震えた。
サーシャ様の慎ましやかな胸の上で震えた。
僕よりは大きいけどね! マリアさんは着痩せしているのか親譲りなのかAだった、うぅ。
「ね、姉様がシュウの名前を呼んでるって」
「な、何故に?」
「さぁ? 何か治療院からの帰り道で、自身の行いに反省しだして申し訳ない事をしたって」
「それが何で名前に繋がるの?」
「街中でチラッと目が合ったそうなの。そこから急に罪悪感が湧いてきて、ずっと泣きじゃくっているって、側仕えの報告ではね」
そ、それって使ったって事だよね?
見るに見かねたのかな、シュウ様って女の子に興味ないとか言いつつも基本は優しいから。
まぁ女としての機能も失っているしね。
行ってきた事の罪悪感があるなら償うしか手はないと思う。それこそ僕のように。
サーシャ様は一旦連絡魔導具を切る。
すると今度は、
「あ、シュウから、は、はい?」
シュウ様から連絡が入りきょとんとなった。
「部位欠損を補うって、そんな事が出来るの」
「「はい?」」
「理論上は可能なんだね。本人の意思確認、うん。聞いてみる、分かった。教会に気づかれないように、だね」
凄い意味深な会話だね。
本人達にしか聞こえない会話らしい。
一応、近くなら聞こえるとの話だけど。
マリアさんはそれが聞こえたのか、
「か、か、確実に、隠さないとダメですね」
「ええ、傷物が傷物では無くなるなんて。これもシャルに与えた事で可能になったのかもね」
「どういう事?」
「生殖機能は復活しないけど置き換えるくらいは出来るって」
「ああ、人形製造の技術を代用するって事か」
なるほど、異世界でいう義手とか義足みたいな扱いだね。人工心臓なんかもあるし、それと同じような措置をサーシャ様の姉様に施すと。
ああ、だから洗脳汚染を除去したのか。
そのままだとまともな処置が叶わないから。
もしかすると極秘裏に王太子殿下から依頼が入ったのかもしれないね。
「それだけで理解出来るってミヤも凄いわね」
異世界知識があるだけです、とは言えない。
何やら話が凄い方に進んでいってる。




