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転生人形師は理想の嫁を追い求める。〜こじらせ人形師は実在女に「興味が!」モテない〜  作者: 白ゐ眠子
第三章・子息子女は大騒ぎ!

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第55話 方針転換する試着会、


 叔母上の元で新しい制服に着替えた──。

 率直に言うと転移門の事には驚かれたが、それだけだった。同じ人形師でも母様とは何処か認識が異なる叔母上は魔導具にのみ意識が向きやすいのかもしれない。


「似合ってるじゃないか」

「ど、どうも」

「特士校は白基調なのね」

「それだけではないよ」

「何があるの?」

「制服には特殊魔法陣が編み込まれている」

「特殊魔法陣?」

「ああ、一切の攻撃魔法を跳ね返す特性だ」

「へぇ〜。ということは?」

「攻撃魔法を受けても痛みを感じる程度で怪我はしないって事さ」


 ほぅ、それがこの制服に収まっているのか。

 叔母上が自慢げに語ったので俺は制服の上着を脱いで鑑定する。


(これは一種の刻印魔法みたいな物かね、となれば一着足りないので俺は)


 そう思いつつ白いベストをその場で造った。

 護身用のリボルバーを収めるホルスター付きベストだ。生地にはミスリル繊維を織り込みつつ全体的な強度を引き上げた。それも防刃防弾仕様でな。そして母様の前で披露した空間迷彩を付与した。このベストを着て鍵言を発するだけで周囲の空間に溶け込む事が可能になった。


「急に何か造ったと思えば」

「シュウ、それは?」


 代わりに叔母上から呆れと母様から質問が飛んだけど。俺はベストを着用しつつ腰のホルスターを片付けたのち拳銃を左胸側に差し替えた。

 ホルスターの逆は二本の短剣が収まる。


「ここに護身用の拳銃を収めるんだ」

「ほぅ。反対側は短剣入れかい?」

「短剣でも杖でも収められますね」


 叔母上の視線はベストにチクチクと刺さる。

 絶対、気づいているっぽいな。

 魔法は暗号化しているから分からないけど。

 すると叔母上は何を思ったのか、


「なるほどね、入学式前ということもあるし同じような物を追加発注してもいいか」


 このベストの有用性に気がついたらしい。

 術陣はともかく武装を隠せるからだろう。拳銃を持つ者は少ないけどな。

 女子でも着る事が出来る見た目だから成長しても問題はない。これは自動伸縮付きだから。

 だから俺はベストを新しく作り母様に手渡した、大きさは俺の物と同じだけど。


「それなら男女込みで全て同じ大きさで作って下さい、経費はそれで抑えられるでしょうから。それと、母様はこれを着てみてよ」

「「え?」」


 これにはきょとんだな。うん、分かってた。

 胸の大きな大人が子供のベストに腕を通す。

 絶対に着られるわけがないと思うよな?


「だ、大丈夫なの? 破けても知らないわよ」

「大丈夫、大丈夫」


 母様は渋々な様子で腕を通す。

 直後、スーッと生地が伸びた。


「!?」


 叔母上は気づいていないが母様は目が点だ。


「何かあるのかい? 男女とも同じ大きさにする意図がこの服に」

「ええ、結構前から俺の穿いている下着にも与えていますけどね」


 俺がそう言うと母様が大興奮となり叔母上を驚かせた。


「うそぉ!? 子供用と思っていたのに胸が、胸が全然苦しくないわ!」

「なっ!」


 流石の叔母上も母様の胸がベストの中に収まっている事に愕然とする。生地が立体的に胸を包み込み、胸下に短剣のポケットが移動した。

 ホルスターは胸下の少し下に位置を変え邪魔にならない状態に変化した。

 これは女の子が着ても同じ状態に変化する。


「これには成長に合わせて変化する自動伸縮が与えられているのです。流石に色違いは造り出せないので必要な品物をその都度用意する必要がありますけど」

「シュ、シュウ? これはまさか?」

「ああ、うん。下着にも付けてるよ」

「それでかぁ、妙に感じた事のある感触だったから。これなら経費削減にもなるわね、税金の無駄使いとか叫ばれなくて済むわ」


 それも意図としてあるからな。

 追加発注するなら最初から作れとか言うし、その都度計り直しが発生するのも問題がある。

 購買に置いていても問題ない方がいい。

 すると叔母上の関心は母様の発した、


「姉様、下着とは?」

「そういえばシエルは着けてないんだっけ?」

「着けるとは?」

「肌に身につける服よ、こんな感じで」

「ほほう」


 下着に移行してしまった。

 母様は俺が居るにもかかわらず収納術から赤いブラとパンツを取り出した。

 いつも下着を持ち歩いているのな。

 最近は工房で寝起きする事も多いから。

 スパッツも出してる、着る事もあるんだな。


「ね、姉様? この装飾の綺麗な生地は」

「ああ、それはミヤさんがサーシャに教えたレースっていう透かし模様を編み込んだ薄布よ」

「このような物もあったのですね」


 あらら、叔母上が女性に戻った。

 いや、元から女性だったわ。

 俺は空気を読んで反対を向く、このままだと叔母上の大きな胸を拝む事になるからな。

 というか既に裸になっている件について。


「これは少しコツが必要なんだけど」

「あ、凄い、胸に安定感が出ました」

「下もね、これで隠せるから転けても見られる事がなくなるの。もう一枚、この黒い布地のスパッツって物もね」

「ほうほう、これだと走り回っても問題なさそうですね」

「特士校の授業だと座学よりも野外訓練が多くなるしね。なるべく着せておく方がいいわね」

「これらも考慮しておいた方がよさそうですね」

「取り寄せなら領で出来るから発注しておきましょうか、同じ大きさの物も大量発注する事も可能だし。ただ、今期は流石に無理だけどね」

「来期でもいいので、お願い出来ますか?」

「了解よ」

「あ、サーシャから」


 すると今度はサーシャからも連絡が入り、


「マリアが到着したのね」


 娘の到着を知らせてきた。そのうえでストッキングに関する情報まで寄越してきた。


「へぇ、素足を隠せる物もあるのね。マリアも似合ってるじゃない、謙遜しなくていいわ」


 半裸で連絡を取り合う必要は無いと思うが。

 俺は母様を手招きし、パンストを手渡した。


「これは?」

「サーシャのやつは両足別々に履くやつだと思うから同時にならこちらがいいよ」

「へぇ〜、このような物もあるのね?」

「この繊維はミスリルだから伝線しないしね」

「伝線って?」


 ああ、そこまで伝えないとだめか。

 なので分かる範囲で伝線が何か伝えた。

 隣から俺の声が響いたからか、今度はサーシャの通話が繋がった。何でミヤが女子制服なんだ? 中身は女だし似合うからいいけど。


「なるほど、そのような物もあったのですね」


 すると叔母上はいつも通りの声音に戻る。

 いつの間にか脱いでいた服も着ているし。

 というか収納術が生えてるから脱げたのか。

 全員が全員、使い熟していらっしゃる。


「女子制服については必須品として来期から用いる事とするか、今期は」

「ああ、それなら問題ないですよ、叔母上」

「問題ないとは?」

「ミヤ曰く、王都に売りに来た時の在庫が大量に余っているそうなので、それを安く売る事も可能だと。大きさも揃えてあるそうですよ」

「それは助かる」


 あらら、ミヤの実家の姉様ってば売りに来てたのか。案の定、人気が出なくて持ち帰ったぽいな。王都には実用性を無視した田舎流行は不要とか言いそうなバカしか居ないから。


「それなら俺からサーシャ達に自動伸縮の付与魔導具も渡しておきますね」

「こちらにもいただけるかい?」

「もちろんです」


 こうして急な話になった制服兼下着試着会はひと騒動の後に終わった。なお、最後の最後で俺のベストの仕組みを明かしたら、


「これまた、斥候向けの魔法じゃないか!」


 叔母上が大興奮して人数分の追加付与する運びとなった。確かに斥候向けではあるよな。

 元々は諜報員向けなんだけど。

 これには母様も苦笑であった。




 女性が増えれば大騒ぎ。

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