お歳暮とかお中元で箱を振るだけで中身が分かる舌切り雀
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが居住しておりました。
ある日、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、何処かから雀が1羽現れ、お婆さんの洗濯のりを食べてしまいました。
これに激昂したお婆さんは、雀の舌を手刀で切ってしまいます。
レアアイテムである【雀の舌】を手に入れたお婆さんは上機嫌。後は【雀の紅玉】さえあれば新しい装備が作れそうです。
一方、舌を切られた雀は酷く驚き、慌てて巣へと逃げ出します。
その日、お婆さんから雀の話を聞いたお爺さんは、雀を可哀想に思い、雀のお宿を訪ねました。
「ウチの婆様が酷いことをしてすまなんだ。許してけろ」
お爺さんの優しさに心を打たれた雀の親分は、手土産に大きなつづらと小さなつづらを差し出しました。
「どちらか好きな方をお選び下さいませ」
「これはなんと申し訳ないお気遣い。ありがたやありがたや」
お爺さんは大きなつづらを少し持ち上げ、中身を少し揺さぶりながら耳をつけました。
「……中身は魑魅魍魎か」
今度は小さなつづらを持ち上げ、ガサガサと揺さぶりながら耳をつけました。
「……さんご、小判、餅、それと銀かな」
お爺さんは頷きながら小さなつづらを持ち帰りました。
その話を聞いたお婆さん。我急がんと雀のお宿へ駆け出しました。
「来てやったぞつづらをお寄越し!」
「どうぞ。しかし中を揺すってはなりませんよ?」
雀はいきなりやって来て偉そうなお婆さんに苦笑しながらも、サーチ対策に一文を添えました。
お婆さんは二つのつづらを見て偉く上機嫌です。
「パカッとな!」
お婆さんは大きなつづらの蓋を開けました。
「魑魅魍魎かい!! こっちは!?」
今度は小さなつづらの蓋を開けました。
「うひょっ! 金じゃ金じゃ!!」
お婆さんは涎を垂らしながら小さなつづらを持ち上げ、大事そうに抱えて歩き出しました。
「あの夫婦を出禁にしろ」
お爺さんとお婆さんは雀のお宿を出禁となりました。