『学園戦兎トリプルバニー!』「後書き」もとい「中書き」
え? どういう意味??と思った方はお読みいただければ分かります。
「えええええっ!? ここでこのお話『終わり』なの!??」
場面は放課後の三ツ矢学園生徒会室。今日は特に仕事が無いので、備品のノートPCで『小説家にな〇う』を閲覧していた宗春の口から、思わず驚愕の叫びが上がる。
どういう仕組みかは分からないケド、自分たちが登場人物を務めている小説『学園戦兎トリプルバニー!』が、久々に更新されてると思ったら今回が最終回!? 勘違い!? いや、間違い無い。作品情報のタイトルの下には、確かに『完結済』って書かれてるし!?
「まぁ『エタった』んでしょ。どーせ作者コンビが燃え尽きちゃったとか、そんな感じじゃない?」
「アハハ、ハラキリね! ハラキリ!」
衝撃を隠せぬ宗春とは対照的に、碧衣の反応はいたってクールで、キイロなんかはポテチを食べつつケラケラ笑っている。碧衣さん、「エタる」なんて用語知ってるんだ。あと、キイロさん、それは多分「打ち切り」……とかツッコんでる場合じゃなくて!!
「だ、だって『完結』も何も、僕、ようやく生徒会入りしたばっかりですよ!? むしろこれからが本番なのでは!? 伏線っぽい描写も色々あったのに!?」
「そんな『投げっぱなし』、『なろう』界隈じゃよくある話よ。そもそも途中で飽きてやめちゃう人がほとんどなんだから、2年半も連載して、一応区切りが付くとこまで続いただけでも上等なんじゃない? まぁ逆に言えば2年半もやってこんだけしか話が進んでないってどういうこと?って感じだけど」
「ホラ、アレだヨ。『アタタタ』エンドってやつネ! アタタタターーーッ♪」
「いや、『北〇の拳』じゃないんだから! それを言うなら『俺たた』ですよ!」
「エー、『アタシたちのタタカイはこれからダー』で合ってるジャン」
「そりゃまぁそうですけど……って、そんな話がしたいわけじゃなくてッ!」
おかしい。自分たちが出演している作品が終了とか(しかもこんな中途半端な形で!)大変な事態なハズなのに、僕以外誰も動じていない……って、聞いた相手が悪かったような気もする。でも、こんな日に限ってあかりさんは遅れてくるって話だし!!
「マァマァ、ムネリンも落ち着きナヨ。ホラ、ポテチ分けたげるカラ☆」
「あ、ありがとうござ……って、一枚だけ!?」
しかも小さいし!?と驚く宗春の前で、残りのポテチをザラザラと袋からラッパ食いするキイロ。
ちなみにキイロはポテチなら湖〇屋よりも断然カ〇ビー派だ。意外に知られてないけど、カル〇ーは元々は広島発祥の会社だしね!(現在は東京が本社)
「……って、そんな広島豆知識も今はいいですから! そんなことより、せっかく生徒会で頑張ろうって決めた、僕の『成長物語』はどうなっちゃうんですか!?」
「ハ? アンタなんかが成長するわけないでしょ。バカ春はバカ春らしく、身の程ってもんを知りなさいよ」
「ムネリンはサー、ダメなままのホーガいいんダッテー。ホラ、コトワザにもあるジャン。『ダメなコボルトはカワイイ』っテ☆」
「うぐうっ!?」
碧衣の言葉の苦無に急所を刺され、キイロのわけのわからない諺に煙に巻かれ(宗春「てか何でコボルト!?」キイロ「ワンコっぽいカラー♪」)、ライフを大幅に削られる宗春だったが--
「それについては心配無用よ!!」
そのとき、バーン!と生徒会室の扉を開けて登場したのは、我らが生徒会長・吉川あかりだ!
「誤解しないで、春くん! この作品は『終わる』わけじゃなく、リニューアルするのよ!」
「ええっ!? どういうことですか!?」
「ここからのお話は『学園戦兎トリプルバニー!EX』とタイトルも変えて、今までの連作短編形式の長編じゃなくて、時系列バラバラな短編集みたいな形になるんだって! ちなみに春くんが生徒会入りしてから二年生にあがるまでの1年間の出来事を描くらしいけど、それよりも過去に飛ぶこともあるみたいだよ。とにかく、時系列バラバラで色んなエピソードを自由に書くスタイルにしたいんだって!」
「……な、なるほど。でも、あかりさんなんでそんなこと知ってるんですか??」
あかりの説明に納得しつつも、当然のように浮かんだ疑問を問いかけた宗春に、あかりは何だか「血で汚れている」ように見える右拳を、ササッと背中に隠しながら答えた。
「その、あたしもついカッとなっちゃって、ちょっと『直接』聞いてきたんだー『こっからあたしと春くんの青春ストーリーが始まるってのにどがいなことよ!?』って。そしたら親切に全部教えてくれたよ☆」
「いや、絶対実力行使しましたよねぇ!?」
基本あかりさんが広島弁になるときは。ブチ切れた時だけだ。ということはさぞかし血の凍るような惨劇が……って、震えてる場合じゃなくて!
「でも、何でその1年間だけなんですか? 仮にあかりさんたちが卒業するまで書くにしてももう1年ありますよね?」
「んー何でもここまで続いてる『本編』の第9話に当たる話が、『それ以降の内容』になるんだって。だからこの1年に限定しないと、後で辻褄が合わなくなっちゃう可能性があるからって言ってた」
「今のストーリーの続きを書くつもりはあるってことっですね。それはそれで安心しましたけど、でもそれなら別に『完結済』とかにしなくてもいいのでは?」
「続き書くのがいつになるか分からないし、何ヶ月も放っておくと『なろう』って『この連載作品は未完結のまま〇〇以上の間、更新されていません』って表示が出ちゃうのがイヤなんだって。あとそれともう一つ」
「もう一つ?」
「この業界には《完結ブースト》ってのがあるらしいから、試してみたいって言ってたよ」
「めちゃくちゃ打算的じゃないですか!!」
そんな理由で僕はあんなにも慌てさせられていたのか……と思えばガックリと脱力してしまいそうになるが、まぁでも……
「ふーん、続くんだ。ま、確かにここで終わっちゃスッキリしないわよね。だってまだ私とあかりが結婚してないし、あんたのことも殺せてないし」
「キイロはすっごくウレシーよ♪ ダッテ、マダマダ遊び足りないモン☆」
碧衣さんは相変わらず物騒だし、キイロさんは相変わらず困った人だ。そして、
「だから春くん。これからもあたし達と一緒に、この学園で青春しようね!」
爽やかに笑って手を伸ばしてくるあかりさんは、相変わらず真っ直ぐで格好いい。うん、この先輩たち(キイロさんは同学年だけど)と一緒に学園生活が送れるのは、何だかんだあってもやっぱり嬉しい。毎日賑やかで、ドタバタだけど、少なくとも退屈だけは絶対にしないだろうし、ね--
--そして、もちろん吾輩ちゃんも楽しみである!(゜∀゜)
(うわっ、びっくりした!? 何ですか玉神様、急に「回線」繋がないでくださいよ!)
--実は耳寄りな話があってな。『EX』は「なろう」から「ノクタ」に移籍するらしいぞい。何でも「『なろう』は規制が厳しくてラッキースケベが書きにくい」ということらしいのでな。
(そんな理由!?)
--何を言うか!( ゜д゜) めちゃくちゃ重要ぞ! きっとこれからはもっと「日常的に」ウハウハなシーンが描かれるハズ♪ く~ぅ、玉ちゃん、楽しみでタマラ~ンチ!!
(………………どうしよう、もう不安しかない)
一気に気が重くなった宗春を尻目に、うひゃうひゃ♪とご満悦な玉神様@脳内。果たして、この物語はこれから一体どういう展開を見せるのか?
それは『EX』第1話を乞うご期待☆ということで、とりあえずこれにて一旦おしまい!
一同「「「これからも『トリプルバニー!』をよろしくお願いします!!!」」」
玉神「……あれ? 吾輩ちゃんだけ仲間ハズレ??」
【第一部完】
ということで、本編はいったんここでお開きです。ご愛読ありがとうございました!
続きを書く気は十分あるのですが(プロット自体はあるので)いつになるかは分からないので、それまでは新連載『学園戦兎トリプルバニーEX!』をお楽しみいただければと☆
元々タマネギーニョさんとは、お互いの創作の合間に「明るく気楽な息抜き的に」制作しようというコンセプトで始めたこの企画ですが、『EX』はまさにそういう作品になるかと思いマス。
ここまで読んでくださった方なら絶対楽しいので、ぜひ続けてご贔屓の程よろしくお願いいたします!m(_ _)m




