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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第8話「学園の人魚に迫る魔手! 碧衣、決死の水中戦!」
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その3「何でアンタがここにいるのよ!?」

GW毎日更新続きデス!

「なっ、何でアンタがここにいるのよ!?」


 バチコーン! 碧衣の投げたゴーグルが、狙い違わず宗春の眉間を直撃する!


「きゃあっ!? 清水くん大丈夫!?」

「おー! すっごいコントロールやなぁ。さっすが小早川パイセンや」


 ぐはっ!?と仰け反った宗春に、すぐ後ろから慌てて声をかけたのは、大人しそうなお下げ髪の女子と、猫みたいなくせっ毛のべっ甲眼鏡の女子(こちらは慌ててないけど)だ。あれは1年の浦上さんと、新入生の……確か土橋さんだったかしら?


「あ、ちーちゃんにちゆピー、それに宗春くんじゃん。やっほー♪」


 何でこの子たちがここに?といぶかる碧衣の背後から、ちょうど泳ぎ終えたタイミングで宗春たちに気付いた佳美が、プールの中からブンブン手を振る。続いて久留美や朋代も泳ぐのをやめて、突然の訪問者たちを出迎えた。


「あら、もしかしてクラブ見学に来てくれたの? だったら遠慮しないで近くにおいでよ。何なら体験入部とかしちゃう??」


(そっか。今は「クラブ見学週間」か……)


 代表しての朋代の言葉に、碧衣は今月の行事予定を思い出す。直接関係無いのでスルーしていたが、新入生は現在「クラブ見学週間」だ。三ツ矢学園ではクラブ活動は必修となっていて、生徒は運動部なり文化部なり、どこかに入部することになっている(掛け持ちも可)。何せ娯楽が少ない環境だけに、生徒たちにとっても休日や放課後のクラブ活動は学園生活における貴重な楽しみの一つであるのだ。


「スンマセン。ウチはもう新聞部に入部したんで、今日は早速取材に来たんですわ。本校水泳部の期待の星・村上三姉妹の練習風景を撮らしてもらおって思うて」


 そう言って新聞部の腕章と一眼レフを見せる知由美と、「わ、私もただの案内役だから」と手を振る園芸部の千景に続いて、ようやく痛手から回復した宗春が申し訳なさそうに答える。


「僕も、その、あかりさ……会長から言われて、一通り見学をして回ってるだけで。その、入部とかは……」


(そう言えばそんなこと言ってたわね……)


 これまた興味が無いので忘れていたが、確か何日か前の夕食の席で、「施設見学にもなるし、学園のことにも詳しくなれるから、とりあえず全クラブ見とくべきだよ!」とあかりが言ってた気がする。そしてこいつはそれを素直に実践しているというわけだ。バカ正直というか、忠犬というか……


(………………)


 先ほどの「桃太郎」の絵面が思い出されて、またもやイラッとしてきた碧衣の前で、そこは同じ高1の気安さもあってか、プールから上がった佳美と久留美が、宗春たちに近づき会話を続ける。


「な~んだ、そっかー。残念だなぁ、水泳めちゃくちゃ楽しいのに」


「はっはーん、さてはそれを口実に、ウチらの水着姿をのぞきに来たな? もう、宗春くんのエッチー☆」


「い、いやっ! 別にそんなわけじゃなくてッ!!」


 わざと色っぽいポーズをしてみせる久留美に、慌てて宗春は目をそらす。そんなウブな反応にケラケラクスクス笑いながら、村上家の双子姉妹は更にググッと距離を詰めてくる。


「じゃあ、せめて体験ぐらいしていきなよー。泳いでみたら違うかもよ? 何せ三ツ矢のプールは水も綺麗だし、温度も調整されてて気持ちいいよ♪」


「遠慮なんかしなくていいからさ。水着だって、体験者用の貸せるし!」


「いや、その、じ、実は……」


 競泳水着姿の美少女たちの圧にタジタジになる宗春だったが、しばらくゴニョゴニョとためらった後、恥ずかしそうに秘密を打ち明けた。


「僕は、その……泳げなく……って……」


「えっ、そうなの?」「宗春くんかなづちなんだ!?」


 驚く佳美と久留美の背後で、碧衣もピクンと反応する。何それ? 初耳だわ……


「て言うか、それ以前に水が苦手で……何でなのかは、その、よくわかんないんだけど、水に浸かるのが怖くって……いや、シャワーとかお風呂とかは、別に大丈夫なんだけど、プールとか海とか……その、足が付かなそうなところは、正直無理っていうか……」


 タハハ……と苦笑しながら、ぽつりぽつりと答える宗春に、双子姉妹もさすがにそれ以上は誘いかねた様子で、「そっかぁ、じゃあ無理に誘っちゃ悪いね」「何かゴメンね。宗春くん」と少しバツが悪そうに笑って引き下がろうとしたのだが--


 まるでそれと入れ替わるかのように、ズイッと宗春の前に立ちはだかったのは、威圧的に腕組みをしたまま、フフフと笑う碧衣であった!?


「だったらむしろ丁度いいわ。命令よ、私がコーチしてあげるから、体験していきなさい、バカ春」


「え”え”え”ええっ!?」


 思わず絶句する宗春に、女王様の威厳を放ちながら碧衣が続ける。


「特に理由があるとかじゃないなら、どこかで克服しなきゃダメでしょ。水泳の授業だってあるんだし、『苦手だ』『怖い』ってず~っとコソコソ逃げ回ってるつもり?」


「い、いや、そ、それはそうなんです、けど……」


「アンタ、こないだ『頼りがいのある男になるのが目標』ってカッコイイこと言ってたよねぇ? なのに、高校生にもなって『水に浸かるのが怖い』とか、みっともないとは思わないわけ? 『頼りがい』どころか、あんたそれでも男なの?」


「うぐうっ!」


 碧衣の投げる言葉の苦無がグサグサ胸に突き刺さり、宗春はもうタジタジどころか涙目だ。そんな宗春の情けない姿に、胸がすく想いを(あとちょっぴり嗜虐的な悦びを)感じながら、碧衣はとどめの言葉を言い放つ。


「そんな情けないアンタを、慈悲深くもこの私が直々に鍛えてやろうって言うのよ。それとも、何か不満があるとでも言いたいワケ?」


「……いえ。無い……です……」


 そして、そんな碧衣に宗春が口答えなどできるはずもなく……


 結局、宗春は貸し出し用の水着に着替えさせられ、碧衣の指導のもとで「体験入部」をすることになったの--だが!


「……まったく、着替え程度にどれだけ待たすのよ。まぁそれはそれとして、ふ~ん、けっこう似合ってるじゃ無い」


「そういう問題じゃないですよ! 何で『女物のスクール水着』なんですかぁぁ!!」


 ニヤニヤ笑う碧衣の前で、水泳部から支給された「貸し出し用の水着」に着替えた、というか「着替えさせられた」宗春が、半ベソ状態で抗議する!


「当たり前じゃない。ここ女子校なんだから。男物のストックなんてあるハズないでしょ? 良かったじゃない。セーラー服に続いて趣味のレパートリーが増えて」


「もともとそんな趣味ありませんからね!?」


 誤解を招くような発言はやめて!と叫ぶ宗春だったが、しかしすでに手遅れのもようで、むしろ周りの女子たちからは大好評だ。


 双子は「いいじゃん、宗春くん、良く似合ってるよ!」「小柄で華奢だし、下手すればウチらより女の子っぽいかも」とかはしゃいでるし、「やめてあげなよ~」という浦上さんも目を輝かせてるし、土橋さんは早速一眼レフで撮影を……って、お願いだから写真は許してぇぇ!!!(by宗春)


「はいはい、おしゃべりはそれぐらいにして、そろそろ始めるわよ」


 パンパンと碧衣が手を叩くと、双子は「「はーい」」と自分たちの練習に戻り、土橋さんと浦上さんも、「長引きそうやし、ほな、ウチはこの辺で」「私も花壇の水やりがあるから。がんばってね、清水くん☆」と言って帰ってしまう。


 となると、その場に残されたのは、碧衣と宗春の二人っきりで--


「…………さて、これで外野もいなくなったことだし」


 そう言って碧衣は妖しく笑うと、ビクッと怯える宗春に向かって、優雅ながらもすごみのある口調で宣告した。


「ここからはた~っぷり私がしごいてあげる。泣き言は聞かないから、覚悟するのね、バカ春!」 

それでは続きはまた明日!

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