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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第8話「学園の人魚に迫る魔手! 碧衣、決死の水中戦!」
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その1「ベストタイムは100m自由形で1分切るぐらいかしら?」

お待たせしました!明日からのGW10連休のお楽しみ企画として

本編第8話の更新を今日からスタートします!


今回の主役はタイトル通り、碧衣さん!

殺意あふれるクールビューティー。学園の「女王様」な彼女の活躍にご期待ください!


※間が空いた分、内容を忘れられてると思うので(苦笑)

今回も最初に「ここまでのあらすじ」をつけています。

【ここまでのあらすじ】

 自分をスカウトしてくれた生徒会長・吉川きっかわあかりに憧れ、広島県北部にある名門私立校・三ツ矢学園への入学を決めた岡山出身の少年・清水宗春しみずむねはる。入学前の春休み、希望と不安を胸に初めて学園を訪れた宗春だったが、そこで彼が遭遇したのは恐るべき《蜘蛛の怪異》アラクネーと、それに立ち向かう赤いバニースーツ姿の少女--バニーレッドであった!【第一話】


 バニーレッドの正体が憧れの吉川あかりであることに気付き、戸惑う宗春。しかも驚いたことに、三ツ矢神社の巫女・宮島楓良みやじまふうらが管理人を務める「宿坊」で、あかりともども一緒に暮らすことになった小早川碧衣こばやかわあおいとキイロ・毛利もうり・ジョンブリアンもまた、生徒会役員であると共に学園に巣くう《怪異》と戦う《バニー戦士》であったのだ!【第二話&三話】


 ゴブリン軍団との戦いを終えたその後、バニーイエローであり、三ツ矢神社の宮司代行でもあるキイロに導かれるまま神社の本殿に赴いた宗春は、そこでミステリアスなもう一人の巫女・大三島鼎おおみしまかなえ、そしてこの神社の祭神・玉神たまがみ様と出会う。ウザいぐらいに馴れ馴れしく、うさんくさい玉神様を警戒する宗春だったが、怪異と戦うあかりたちの力になるため、玉神の提案を飲み契約関係を結ぶことにする。契約の内容--それは、宗春を媒介にして玉神にも学園生活を楽しませることと引き換えに、守り神として様々な「ご加護」を与えるというものだった。【第四話】


 そして迎えた入学初日、「共学化」と言いつつ実は自分しか男子生徒がいないという事実に衝撃を受けつつも、浦上千景うらかみちかげ土橋知由美どばしちゆみといった友人もできてホッとする宗春の前に、新たなる怪異、《縄の怪異》ローパーが出現する! 怪異に襲われた千景たちを助けるため、玉神の力も借りて立ち向かおうとする宗春だったが、力及ばずピンチに陥ったそのとき、バニーレッドに変身したあかりが救援に駆けつける。その後、バニーブルーに変身した碧衣も加わっての壮絶な戦いの末、ようやく《縄の怪異》を撃破したあかりの前で、宗春は「いつか絶対、あかりさんの役に立てるような、頼りがいのある男になってみせます。それが、この学園で叶えたい僕の夢です」と誓うのだった。【第五話&六話】


 だがその一方、この学園の平和を脅かす存在もまた新たな計画に向けて動き出す。学園の闇で暗躍する、理科教師・浮田直人うきたなおとが狙った次なる標的は、学年行事の校外学習で備北丘陵公園に出かけたキイロ(と宗春)であった! 浮田の命を受けた淫魔アゲハが生みだした《芋虫の怪異》キャリオン・クローラーに苦戦するキイロだったが、しかしそれは一連の怪異騒動の正体を暴こうとするキイロの罠で、まんまと乗せられたアゲハにより、宗春たちは事件の「黒幕」の存在を知ることになる。【第七話】


 だが、度重なる敗北にも余裕の笑みを浮かべる浮田。彼が次に企むのは、より強力な怪異を生み出すための「母体」探し。怪異の強さはその元となる「負の感情」の深さや、「欲望の強さ」に比例する。となると、「強い欲望の持ち主」、それもできれば「鬱屈し」「歪んでいる者」が望ましい--そんな浮田がターゲットに選んだ、「学園の闇」の体現者とは!?


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


第8話「学園の人魚に迫る魔手! 碧衣、決死の水中戦!」


挿絵(By みてみん)


その1「ベストタイムは100m自由形で1分切るぐらいかしら?」


 照明の明るい光を反射し、真珠のようにキラキラと輝く水面みなもを揺らして、競泳水着の長身の少女が屋内プールを泳いでいる。


 力強さよりも優雅さを感じさせるストロークであるが、前に進む速度は驚くほど速い。レベル的には、県大会上位クラスなのは間違い無いであろう。


 少女はあっという間に25mを泳ぎ切ると、流れるようにターンを決めるや、スタート台側に戻ってくる。キッチリと整ったフォームのまま、優美にレーンを進む姿は、思わずため息が漏れてしまう程、実に絵になる美しさであった。


 ここは三ツ矢学園高等部の総合体育館の地下にある、25m×7レーンの屋内プール。温水プールなおかげで年中利用でき、授業での使用はもちろん、休日には一般生徒にも開放されている人気の施設だ。とはいえ、今は平日の放課後であり、水泳部が部活に使用している。


 そうしている内に、軽々と100mを泳ぎ終えた少女は、ぷはっと気持ちよさげに顔を上げると、レーンロープをくぐってタラップに向かい、手すりを握って身体を上に引き上げる。


 飛沫と共に水の中から姿を現したのは、細身ではあるが女性らしい優美さをたたえた美しい肢体だ。モデルを思わせる抜群のプロポーションで、肌にフィットした青の競泳水着が、その美しいフォルムを更に引き立たせている。


 だが、その少女の美しさを象徴するのは、その大人びた美貌や均整の取れた肢体だけではない。プールサイドに上がった彼女が、ゴーグルとスイムキャップを外して軽く頭を振ると、お団子にまとめていた髪が解けて、しっとりと濡れたロングの黒髪が溢れ出す。


 切れ長の瞳に、たおやかな四肢、そして流れるような黒髪ロング--とにかく、もうどこをとっても文句の付けようが無い、「和の女性美」を体現した美少女ぶりであった。


「碧衣様、お疲れ様です!」


 そんな彼女にすかさずタオルを差し出したのは、同じく競泳水着の小柄な少女だ。「ありがとう、久留美くるみ」と黒髪ロングの美少女--小早川碧衣がそれを受け取ると、続いて別の少女の声がする。


「あー久留美ずるい! じゃあ、ウチはドリンクです!」


「ありがとう、佳美よしみ。ちょうど喉が乾いていたのよ」


 張り合うように差し出されたカップを、優雅な仕草で受け取る碧衣。久留美・佳美と呼ばれたその少女たちは、それだけでもうウットリとした表情になっていた。


「こら、あんたたち! せっかくコーチが来てくれてるのに、サボってんじゃないの!」


「サボってなんかないよ、朋姉ともねぇ。碧衣様のお世話をするのは、当たり前のことだよ!」

「朋姉はクラスが同じだから余裕かもだけど、ウチらはこういう時じゃないと、碧衣様にご奉仕できないんだから!」


 「朋姉」と呼ばれた少女の注意に、ぶーぶー反論する久留美と佳美。なお、ここでこの光景を見ている人たちなら気付くと思うが、この三人の競泳水着の少女たちは、全員実に良く似ていた。


 全員が水泳部員らしくショートヘアで、健康的な小麦肌に快活そうな雰囲気の持ち主というのもそうだが、それ以前に顔立ちが似ている。特に久留美と佳美は髪型(久留美がマッシュで佳美がベリーショート、ちなみに「朋姉」はショートボブ)をのぞけばウリ二つだ。


 理由は簡単で、この三人は実の姉妹なのである。その、彼女たちこそは三ツ矢学園水泳部のホープ「村上三姉妹」! 姉の朋代ともよは碧衣と同じ高2で同級、久留美と佳美は双子で、クラスは違うがどちらも高1に在籍している。


 瀬戸内の島で生まれ育った彼女たちは、全国レベルのスイマーとして、高校水泳界でも注目の存在であった。しかも何せ全員美少女だし!


「ごめんね、碧衣。うちの妹どもがうざったくて」


「いいのよ、朋代。可愛い妹さんたちじゃない。私には下の子がいないから羨ましいわ。まぁ、『様』はちょっと困るけどね。恥ずかしいし」


「「そんな! 碧衣様は碧衣様です!!」」


「はは、ありがとう。二人とも」


 すぐさまそんなリアクションが返ってくるのを、苦笑まじりで受け流しつつ、コップのスポドリを口に含んだ碧衣に、朋代がイタズラっぽい口調で続ける。


「でも、そういう碧衣にも最近、可愛い『弟分』ができたじゃん。けっこう評判だよ? 『仲良い』みたい、って」


 そんな朋代の言葉に、碧衣がブホッ!?とむせかえる。ちょっと待って!? それどういうことよ!!と思わず友人を問い詰めようとした碧衣だったが、そのとき少女たちの背後から、パンパンと手を叩く音がした。


「ほら、休憩時間は終わりだ。次のセットいくぞ」


「はい、コーチ」「うええ、もうかぁ……」「じゃ、じゃあごゆっくり、碧衣様!」


 コーチと呼ばれた男の言葉に、三姉妹は再びスタート台の側に集合する。


 とはいえ、面倒くさそうみたいに言っても、とにかく泳ぐのが大好きな三人娘だ。たちまち部活モードに切り替わると、次々とプールに飛び込んでいっては、まさに「水を得た魚」のようにイキイキと泳ぎ始めた。


「……しかし、小早川もキチンと入部してくれたらいいのに。キミなら余裕で全国を狙えると思うぞ?」


 そう言って残念そうに碧衣を見たのは、コーチの児玉だ。なお彼は、水泳部の顧問教師ではない「外部指導員」である。大学時代はインカレでも上位に進出するスイマーだったが、肩を故障して一線を退いた後は、普段は家の農業を手伝いつつ、こうして放課後や休日に水泳部の指導を行っているのだ。


 とはいえ、現役こそ引退したものの、若い頃から水泳で鍛え抜いた身体は、今でも見事にビルドアップされた逆三角形だ。身長も180cm近くあり、26歳という年齢もあって、女子校的にはさぞかしモテそうに見えるが……ただ、残念ながら顔はフツーというか、「個性的」な感じで(婉曲表現)、今のところ特にそう言った噂は聞かない。


 まぁそれはさておき--


「……私には生徒会の仕事がありますから。こうやってたまに気分転換に泳がせていただければ充分です」


 児玉からの誘いを、やんわりとした口調で断る碧衣。


 水泳部での碧衣の扱いはあくまで「仮入部」。大会などには一切参加せず、泳ぎたい時だけレーンを使わせてもらっている--と言うと、優遇されすぎに聞こえるかもだが、何せ部員が全員碧衣ファンなので、黙認どころか大歓迎されている。曰く、碧衣様と一緒に泳げるだなんて幸せ、ううん、それ以前に碧衣様が泳いだプールというだけでもプレミアム!ということだそうだ。


 なお、今日は目前に迫った地区大会、更にはその後の中国春季水泳競技大会に向けた強化練習ということで、村上三姉妹だけが練習に参加している。そして碧衣はといえば、今日は生徒会の仕事が無く、あかりもみっちり空手の稽古をしたいということで、こうして泳ぎに来たというわけだ。


「そうか……まぁ気が向いたらいつでも言ってくれ。そのときは、俺と一緒に全国を目指そう!」


「ありがとうございます。では、私はもう少し泳ぎたいので。コーチも村上さんたちの指導をよろしくお願いしますね」


 碧衣は再びそれを受け流すと、ニコッと児玉に微笑みかける。表情こそは笑顔であるが、「もう話はおしまい」との圧に押された児玉は、「お、おう。じゃあまたな」と言い残して、そそくさと指導に戻っていく。


 そしてそれを見届けた後、


(あーめんどくさ。だから、あいつがいる時は来たくないのよ)


 お嬢様スマイルから一転、はぁ……とうんざりため息をつく碧衣。


 正直、碧衣は児玉のことが「嫌い」だった。いや、コーチとしては優秀なようだし、部員たちの信頼も厚い。個人的にはウザいが、熱血漢であることも認める。でも、問題はそれ以前の話で--


 碧衣は筋肉質な男が大嫌いであったのだ。理不尽? まぁ「生理的に無理」なのは仕方無い!(苦笑)


(「競技水泳」の世界はそれがイヤなのよね。どいつもこいつもマッチョ自慢な男ばっかで……)


 しかもそれだけではない。今の児玉もそうだが(必死に隠そうとはしていたが)、こうして碧衣が競泳水着姿になると、男どもはみんなジロジロ、もしくはコソコソ視線を向けてくる。しかも三ツ矢学園水泳部の競泳水着はスパッツ型でなく、動きやすさ重視のハイカット型なのでなおさらだ。男なんてそんなもんだと分かってはいるが、注目される側としてはひたすらウザったいだけだ。


(大会なんて出るわけないでしょ。何でわざわざ男どものムサい裸を見せられたあげくに、視姦までされなきゃいけないのよ) 


 想像しただけで、嫌悪感にブルルと身震いする碧衣。今日だって児玉がいるのを見て帰ろうかと思ったのだが、とはいえ、何せここんとこモヤモヤすることが続いていたので、どうしても泳いでスッキリしたかったわけで--


(よし……)


 碧衣はグイッと残りのスポドリを飲むと、手早く髪をお団子にまとめて、スイミングキャップを被り終える。続けてゴーグルを装着し、スタート台に上がって小さく呼吸を整えると、碧衣はググッと身体を折り曲げ、綺麗なフォームでプールの中に飛び込んだ。

なお、第8話は全11回なのでGWの終わりまでお楽しみいただけマス(笑)

それでは続きはまた明日!

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