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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第7話「キイロ大ピンチ!? 学年行事は危険がいっぱい!」
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その3「到着☆備北丘陵公園@マジ広い!」

続きデス!

その3「到着☆備北丘陵公園@マジ広い!」


 貸し切りバスに揺られること約40分--三ツ矢学園高1学年ご一行は、目的地である備北丘陵公園に到着した。


 備北丘陵公園は、広島県北東部の庄原市にある中国地方唯一の国営公園である。そもそも庄原市自体も近畿以西では最も広い市町村(全国でも13番目)なのだが、備北丘陵公園も東西約3.5キロ、南北1キロで約340ヘクタール、県民らしくマツダスタジアム何個分かで言えば何と約150個分!という、とんでもなく広い公園である。


 基本車で来るしか方法は無く、年間約45万人もの人が訪れる人気観光スポットだけに、駐車場も大変広くて、しかも第7駐車場まであったりするのだが、大型バスが駐まるのは一番手前の第1駐車場だ。そこからバスを降り、アーチ状の陸橋を越えると「中の広場」と呼ばれる入り口前の広場に出る。


 しかし、これで着いたのかと思えば、またそれからしばらく林道を進み、続けてトンネルになっている地下道をくぐって、更にスロープを上がって行って……と、「え?これいつ着くの??」という気持ちになりかけた所で、ようやく視界が開けたその瞬間--


「うわぁ……♪」


 思わず歓声を上げてしまったのは宗春だけでなく、クラスメートたちもみな同様に「すごい!」とか「綺麗!」とか口々に声を上げている。


 だって目の前に広がっていたのは一面の花・花・花! 赤・黄・桃の色とりどりのチューリップに、ピンクや黄色、赤色のビオラ、更に向こうを見渡せば他にも色んな種類の花々が咲いているのが見える。しかも奥行きがすっごく広い!


「すごいでしょ? これが備北丘陵公園自慢の『花の広場』だよ♪ しかもここはまだまだ入り口。この奥はもっとすごいんだから!」


 視界を埋める春の花々に魅了されていた宗春に向かい、ちょっぴり得意そうに話しかけてきたのは、入学以来仲良くしてくれている同級生の浦上千景うらかみちかげだ。トレードマークのお下げ髪が良く似合う、いかにも純朴な女の子である。


「浦上さんは来たことがあるの?」


「うん、園芸部の課外活動で何度もね。でもいつ来てもここは本当に素敵☆」


 草花が大好きなのだろう。本当に嬉しそうに笑いながら、肩から提げていたバックから高価そうな一眼レフを取り出し、早速写真を撮り始める。


「おんやぁ? ちーちゃんえーもん持っとるなぁ。どないしたん、それ?」


 そう千景にツッコんだのは、同じく入学以来、宗春とも色々と関わることの多い同級生の土橋知由美どばしちゆみである。かなり強めのくせっ毛ボブに、べっ甲の伊達眼鏡が印象的な、エセ関西弁をしゃべる賑やかな子だ。


「これ? 浮田先生が貸してくれたの。春の備北は綺麗だから、ぜひ写真を撮ってきて欲しいって」


「浮田? あー園芸部の顧問の先生やな。でもって確か……ちーちゃんの『想い人』や」


「なななななな何てこと言うのよ!? ち、違うからねっ!!」


 ニヒヒと笑った知由美の言葉に、千景が目に見えて動揺する。あっという間に顔が真っ赤になって、それだけでも何も違わないことがバレバレだ。そしてどうやら有名な話らしく、周囲のクラスメートも微笑ましい顔で見守っている。


「やっぱ図星かぁ~。どないするぅ、ムネムネェ? 強力なライバル出現やで??」


「いやいやいや、そこで何で僕に振るのさ!?」


 同じ岡山出身ということもあって、確かにクラスで一番親しいのは浦上さんだし、すごく可愛いのも認めるけど、でも僕はあくまで「あかりさん一筋」なのでッ! あとこんな女子だらけの中で「ムネムネ」はホント止めて欲しい!(泣)


「と、とにかく! そんなことより、清水くん。分からないことがあったら何でも聞いていいよ。今日は浦上先生が色々教えてあげちゃうから♪」


 それ以上話が変な方向に行かないよう、強引に話題を切り替えた千景が、エヘン♪と胸を張ってくる。確か後で感想レポートを書かなきゃいけないみたいだし、実にありがたい申し出だ。植物のことは詳しく無いし、お言葉に甘えて色々教えてもらっちゃおうかな……


--んん? 今、その子「何でも聞いて」って言ったよね?? じゃあ、まずは「先生」の今日の下着の色を教えてもらえませんかねぇ? グヘヘ♪


(……突然回線繋いだかと思えば、そういうこと言い出すの、ホント止めてもらえません?)


 たちまちげんなりとした気分になった宗春が、ジャージの上着ポケットにしまっていた《ネク玉ピン》に向かって思念を送る。


 《ネク玉ピン》--見た目は、ただのダサいネクタイピンだが、宗春は実は《神器》であるソレを通して、頭に響いた声の主--三ツ矢神社の祭神・玉神様と思念を通じて繋がることができる(というか「繋がらされている」)のだ!


--だってな~バスの移動中とかすることなくて退屈じゃん。横に女の子座ってたなら、一緒に「ドキドキ痴漢プレイ」も楽しめるけどさぁ。


(「つれてけ」ってうるさかったの玉神様ですよねぇ!? でもって、何で僕が痴漢行為するのが前提になってんですか!)


--そもそもポケットの中じゃ何も見えんし。自分ばっか楽しんでズルイぞ。ムネッチ!


(いやいや、ジャージにネクタイピン付けてる人なんかいないですって。それに大体、玉神様って花とか興味あるんですか?)


--失敬な! 吾輩とて花を愛でる心ぐらい持ち合わせておるわ! 例えば、そのおさげちゃんの可愛い「花びら」がどんな色をしてるのか、興味津々じゃわい! やっぱりピンクかな? ピンクなのかな?? なあムネッチ、ちょっと聞いてみてよ。

 

(んなこと聞けるわけ無いでしょうがッッ!!)


 と、思わず宗春が思念とはいえ怒鳴りつけようとしたそのとき--!


「ムネリン、ど~~~~んん!!」


「うわぁあ!? キ、キイロさん!?」


 いきなり背後から飛びつかれてよろめく宗春。でもどちらかと言うと、ドカン!とタックルされら衝撃よりも、ムニュン♪と押しつけられた感触の方が、宗春的にははるかに動揺ポイントが高い!


「コッカらはクラスカンケー無しでジユーコウドーだヨ! ダ・カ・ラ、イッショにアソボ☆ ムネリン♪」


 そう言って腕を絡められると、柔らかな「横側」に肘がムニュッ♪と当たって、ますます宗春は動揺する! だが、キイロは全く気にしないどころか、むしろ「アテテンノヨ☆」とばかりにムニュニュッ♪と押しつけながら、花の広場の中央に立つ展望台を指さし、元気いっぱいに宣言した。


「ジャア、マズはアソコまでキョーソーね! マケた方がジュースをオゴる☆ ハイ、スタート!」


「ええっ!? ちょ、ちょっと待ってキイロさ……」


 そうでなくても胸に気を取られている所にいきなり勝負を開始され、思わずパニクる宗春だったが、その隙にキイロはすかさずダッシュを決めると、あっという間にはるか前方を駆けていく。速い! お重を背負ってるのに何て速さだ! それこそまさにウサギなみだし!


「ズ、ズルイですよ、キイロさん! とにかく、待ってくださ~い!」


「あはは、やっぱこの二人見てるとオモロいな。よっしゃ、ちーちゃん。ウチらも行くで!」


「ええ!? ちょっと待って、私はまだ花の撮影が……」


「そんなん、後でいくらでも撮れるやろ。ほら、走った走った!」


「ああもう、わかったよう! だから腕引っぱらないで~」


 そう言って知由美や千景も後に続くと、回りの生徒たちも「私も私も」とばかりにキャーと歓声を上げて走り出す。楽しい遠足はここからが本番。みんな気分はすっかり高揚しているのだ。

 

 --だから、誰一人それに気がつくことはなかった。一眼レフを取り出した後、開いたままだった千景のショルダーバッグの中から、そのどさくさに紛れるかのように、一羽の蝶がひらりと空に飛び立った事を!

国営備北丘陵公園の「花の広場」はホントに見物デスよ!春になったらぜひどうぞ☆

そして次回、これまで声だけの出演だった「あのキャラ」が姿を現します!

それではまた明日~♪

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