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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第6話「VS《縄の怪異》! 僕は…あかりさんの力になりたい!」
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その10「そして、闇もまた動き出す」

第5話から続いた「入学式&《縄の怪異》」編、これにて終了です!

ぜひ最後までお楽しみくださいませ☆

その10「そして、闇もまた動き出す」


「……それにしても今日は、不思議な一日だったなぁ……」


 その日の夕方、2号館前の花壇に水をやりながら、お下げ髪の少女・浦上千景は、あれから何度目かになる疑問を口にする。


 清水くんが言うには、私と土橋さんは2号館の中央階段で「2人そろって」足を滑らせ、そのまま20分ほど気絶していたらしい。そしてビックリした清水くんは、とりあえず私たちを階段前のロビーに運んで、そこで介抱していたとのこと。


 怪我も無いし、その……服の乱れとかも無かったから、せっかく仲良くなれそうなのに変に疑うのもどうかと思って(土橋さんの追及に清水くん目をぐるぐるさせてたし)うやむやにしたけど、「?」という気持ちが残っているのは否めない。


 でも、その後食べた遅まきのランチは美味しかったし、事務棟3Fからの景色も最高だったから、まぁいいか。中学時代は利用できなかったから、高校生になったって気分も味わえたしね♪


(……これで、一花いちかがいてくれたらなぁ……)


 ただ、そう思うとやっぱり寂しい気持ちになって、千景の胸は未だにキュッと苦しくなる。


 同じ岡山の出身で、中学時代の親友だった三村一花は、高等部には進まず別の学校に行ってしまった。部活も同じ園芸部で、ずっと仲良くしてたのに、千景には何も言わないままある日突然、学校を去ってしまったのだ--


(仕方ないよね。きっと一花には一花で、何か事情があったんだろうし……)


 そんな寂しさを紛らわすように、「高校生になったら一緒に水やりしようね」と約束していた園芸部用の花壇に、一人じょうろを傾ける千景だったが……


「--水やりですか? 入学式の後だというのに、感心ですね」


 不意に背中から聞こえた声に、千景は(あっ……♪)と表情を明るくすると、くるっと後ろを振り返って答える。


「はい、今日は私の当番なので。ホントはもっと早い時間がいいんですけど、どうしても今日はバタバタしちゃって……」


 そこに立っていたのは、千景と比べれば優に頭一つ分は背が高い、白衣姿のまだ若い男性教員であった。良く見れば彫りが深く、整った顔立ちなのだが、寝癖の残るぼさぼさの髪に、野暮ったい感じの黒縁眼鏡、そして何よりいかにも人の良さそうな表情が、「イケメン」というより「人畜無害」という印象を与えている。


 でも、そんな冴えない「この先生」が、千景はとっても大好きで、さっきまでの憂鬱も消え去り、自然に笑顔になるのを止められない。


「4月になり、気温も上がって来ましたからこれぐらい問題無いでしょう。それより、浦上さんもいよいよ高校生ですね。遅れましたが、入学おめでとうございます」


「は、はい! ありがとうございます! それと、これからもよろしくお願いします!」


 お下げを揺らしながらピョコンと頭を下げる千景に、「先生」は優しくほほ笑みを返すと、何気ない口調で問いかけた。


「ところで、入学と言えば『清水くん』とは仲良くなれそうですか?」


「はい! 先生から同じ岡山出身だって聞いてたので、勇気を出して話しかけてみたら、とっても良い人でした!」


「そうですか、それは良かった。彼も故郷から離れて寂しいでしょうから助けてあげてください。私たちもこの学校初の、そして唯一の男子生徒として、彼のことは気にかけているのですよ。また色々どんな様子なのか教えてくれると助かります」


「分かりました! 任せてください、先生!」


 大好きな先生が自分を頼りにしてくれる--そう思うとすごく嬉しい気持ちになって、千景は張り切ってそう答える。


「ありがとう。浦上さんにそう言ってもらえると頼もしいですね。今日はもう遅いですが、またゆっくり話を聞かせてください。楽しみにして待っていますよ。では」


「了解です。先生もお仕事お疲れ様でした!」


 話を終え、駐車場へと向かう先生に、礼儀正しく挨拶した千景は、「頼もしいって言われちゃった、へへ……☆」とニコニコ笑顔で水やりに戻る。


 ……だが、浮かれる千景には気づけるはずも無かった。彼女が慕う「先生」の、いかにも人の良さそうなその顔が、彼女に背を向けた途端、まるで別人のように変貌していたことを!


(……そう、本当に「楽しみ」なことばかりです)


 黒縁眼鏡の下の瞳を妖しく光らせ、嘲るように「先生」は嗤う。


 三ツ矢学園高等部理科教師・浮田直人--この地に集う闇を操り、学園を混乱の渦に陥れようとする張本人の、それが名前であった!



次回予告!


かくして始まった宗春の波乱に満ちた学園生活! だが、始業式&対面式を無事終え、ホッとしたのも束の間、学年の親睦行事として遠足に出かけた宗春たちの前に次なる《怪異》が出現する! しかも「敵」の真の狙いは、同行していたキイロの方で!?


次回、『学園戦兎トリプルバニー!』第7話「キイロ大ピンチ!? 学年行事は危険がいっぱい!」に続く!

ということで、黒幕の正体もついに明らかになったところで

第5話&第6話のエピソードも無事終了デス!

ここまでお読みいただきありがとうございました!m(_ _)m

7月・8月の二ヶ月をかけて更新してきたのですが、

ノクタ版も含め楽しんでいただけたなら嬉しいデス☆


そして予告にも書いた通り、次のお話はキイロ回です!

そこは「ご当地小説」らしく、国営備北丘陵公園を舞台に

キイロが可愛く大暴れする予定ですので乞うご期待☆

挿絵(By みてみん)


……と言っても、多分秋以降になると思いマスが(笑)

『トリプルバニー!』に関してはそういう連載スタイルなので

気長にお待ちいただければとm(_ _)m


それではまた第7話でお会いしましょう!(^^)/

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作品の製作お疲れ様です。甘酸っぱい青春ラブコメとエロバトルでの熱い勇姿を満喫できて夢心地でした。洗練された技名や設定がワクワクドキドキ好奇心が刺激され臨場感抜群に体感できました。効果音も迫…
2023/09/02 10:06 退会済み
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