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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第1話「学園の平和はあたしが守る! 颯爽見参、バニーレッド!」
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その3「ど、どうしちゃったんですか!? バニーさん!(汗)」

必殺の《バニー・ブレイク》によって、見事怪異アラクネーを撃破したバニーレッド。

だが、宗春は知らなかった。ピンチは去ったどころか、ここからがある意味「本番」であったことを!

その3「ど、どうしちゃったんですか!? バニーさん!(汗)」


「これでもう大丈夫。君、怪我は無かった?」


 邪霊の気が完全に消滅したのを見届けた後、残心を決めていた赤バニーは「ふぅ……」と息を吐いて構えを解くと、糸から解放されて尻餅をついていた宗春に向け、スッとその手を差し伸べた。


「あ、ありがとうございます! 大丈夫です! 自分で立てます!」


 月をバックにキリッとした顔で見下ろしてくるその姿は、惚れ惚れするほどカッコよく、そして何より美しくって、そんな人の手を握るだなんて!と宗春は慌てて立ち上がる。


「そうか、それなら良かった」


 そう言ってにっこり笑う姿にも、またまたドキッとさせられたものの、でもやっぱり宗春には、どうしてもツッコまないわけにはいけないことがあって-- 


「…………えーと、その、さっきのは一体何だったのかとか、聞きたいことは色々あるんですけど、でもそれより何より、その……」


 正直言えばそれを聞いていいのか迷う気もするが、やっぱりどうしても我慢できない。宗春はゴクリと息を飲み込むと、おずおずとした口調で問いかけた。


「生徒会長さん、ですよ……ね?」


「にゃあっ!?」


 ギックウウウウッッ!! その一言に、赤バニーのキメ顔がたちまち目に見えて動揺する!


「ア……アハハ、ダ、誰ノコトカナー」


「いや、そのまんまじゃないですか。さすがにムリあるでしょ……」


 何せリモートで一度話しただけとはいえ、もらったパンフレットには「生徒会長・吉川あかり」として思いっきり写真も出ていたし、学校のPCで三ツ矢学園のPR動画とかも観てたから(しかも何度も)、声だってまざまざと思い出せる。


 間違い無い。一応バイザーで目元は隠しているけど、この赤バニーさんの正体は、三ツ矢学園の生徒会長である「吉川あかり」その人だ!


「いやいやいや、そんなことないって! 人違いだよ、人違い! あたしはあくまで『正義の戦士・バニーレッド』であって、その、『生徒なんとか』じゃないからね!」


 あからさまに狼狽えながら、汗だらだらでバタバタと両手を振る赤バニー改めバニーレッド。同時に「あれ? どうして? 《認識阻害》が仕事してない??」とか何やら小声で呟いているのだが、《認識阻害》……って何?

 

 と、宗春が疑問に思った、そのときだった!


 ……ずくん!!


「ひゃうっ!?」


 突然小さな悲鳴を上げて、バニーレッドの身体がビクンと大きく跳ね上がる!


「や、やばい……もう……『反動』……が……」


「だ、大丈夫ですか!?」


 うめき声と共にうずくまり、はぁはぁと荒い息をつき始めたバニーレッドに、慌てて宗春は声を掛ける。とはいえ、肩をつかんで抱き起こすような大胆な行動など取れるはずもなく(素肌が剥き出しだしさ!)、ただおろおろと顔をのぞき込むだけなのだが……


「………………ニンジン……(ボソッ)」


「………………へっ?」


 唐突に聞こえてきたそのつぶやきに、意図をつかみかねた宗春がキョトンとなった--その瞬間!


「ニンジンが……欲しいよぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 切実さに満ちた叫びと共に、バニーレッドはガバッ!と勢い良く身体を起こす! そして、「ええっ!?」と驚く宗春の肩を掴むやいなや、その唇に思いっきり自らの唇を押し当てた!


「んんんんんッ!?」


 唇に感じる柔らかな感触に、目を白黒させる宗春! しかしバニーレッドはそれだけでは止まらず、舌先で唇をこじ開けたかと思うと、そのまま中へと侵入させる!


「んん!? んんんん~~~!!」


 もちろんファーストキス、しかもいきなりの「ディープ」というあまりの急展開に、宗春は完全に茫然自失で、ただひたすらにされるがままだ!


 そして一方のバニーレッドは、宗春がフリーズしたのをいいことに、「んん……んふぅ☆」と吐息を漏らしながら、情熱的に舌を絡ませまくる!


「ぷはぁ……☆」


 とはいえ、さすがに息が続かなくなったか、バニーレッドはちゅぽん……と名残惜しそうに唇を離すと、唾液の糸でつながったままの宗春の顔を、蕩けきった表情で見つめてくる。


 そして、宗春は気がついた。至近距離から自分を見つめる彼女の瞳--あの凜とした輝きを宿していたその瞳が、今やすっかり「ハート」の形になっていることに……って、え”え”え”ええ!?


挿絵(By みてみん)


「ねぇ……お願ぁい……ニンジンを……ニンジンをちょうだぁい☆」


 一体、何が起こっているの!?と愕然とする宗春の前で、身体を淫靡にくねらせながら、おねだりをしてくるバニーレッド。


「え……? で、でも僕、ニンジンなんて……」


「はぁ……はぁ……ニ、ニンジン……そこに美味しそうなニンジンが……」


 そううわごとのようにつぶやきながら、バニーレッドは熱に浮かされたようなハート型の瞳を、宗春の顔からスッと「下」に向ける。


 その熱い視線の先にあるのは、まだ大きくなったままの、いやそれどころかさっきの「ディープ」でますます張りを増した宗春のテント……って、


 『ニンジン』って「野菜的な意味」じゃなくて、まさか「隠語的な意味」!?


「ああん……すごおぃ……☆ こんなに立派に育って……☆ ああ……素敵……春くんのおニンジン……☆」


「いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいよぉぉぉぉ!?」


 必死に止めようとする宗春だったが、ハート目のバニーレッドは全く聞いてなどくれず、うっとりとした顔で見つめるばかりか、すぐにでも触りたそうに手をわきわきさせている!


 いや、これではもう完全に痴女ではないか!? ていうかさっきの怪異とやってることあんまり変わらないよ!? それとニンジンに「お」とか付けないで!? 余計に音の響きが似ちゃうからぁぁ!!


「と、とにかく、お願いだから正気に返ってくだ……はううぅ!?」


 懸命の説得も空しく、とうとうさすっ☆と撫でられてしまい、たまらずビクン!とのけぞる宗春。だめだ、こんなの絶対にだめだ! いくらずっと憧れていた人相手とはいえ、明らかに普通じゃ無い状態でこんなことをしていいはずがない!


「とにかくダメです! こんなこと! しっかりしてください! 生徒会長さぁぁぁぁん!!」


「-------ッ!!!」


 その瞬間、宗春の発した「生徒会長」というワードに胸を衝かれた様子のバニーレッドが、はっ!?とばかりに我に返る。ハート型だった瞳もフッと元の形に戻り、そして今更のように今のアレな状況に気が付いたかと思うと--


 たちまちにしてその顔が、かあぁぁぁと茹で上がったように真っ赤になった!

 

「あ……あの……その……こ……これは……!」


 今や完全に狼狽えまくりで、あわあわと言い訳しようとするバニーレッド。しかし次の瞬間、その身体を再びずくん!と発作が襲う!


「~~~~~~ッッッ!!」


 だが、さすがに今度は必死の自制で押さえ込むと、バニーレッドはどうにかキリッとした表情を作って(ただし目は涙目)、唖然と見上げる宗春に宣言した。


「と、とにかく、悪は滅びた! では、さらばだ~!!」


 そして宗春が何か言う暇も無いまま、バニーレッドはぴゅーん!とばかりに跳びあがると、そのまま校舎の屋根の上をぴょんぴょん飛び跳ねるようにして去って行った。それこそ、脱兎のごときスピードで!


「……………………な、何だったんだ……」


 茫然とそれを見送った後で、思わず宗春はつぶやきを漏らす。そう言えば、いつの間にか周囲の時間が元の夕暮れ時に戻っていたが(これは後で知ったことだが、怪異の張った『結界』が解けたためらしい)、そんなことさえ気にならない程のまさに「衝撃」の連続であった。


(最後までごまかしてたけど、あれ……絶対、生徒会長さんだったよね。それがなんで魔物退治、しかもあんな格好で……?)


 それに、さっきは思わず流したけど、自分のことを「春くん」と呼んだのにも正直驚いた。ただの新入生の一人にすぎない自分のことを、いくら自分がスカウトした生徒だからと言って、まだロクに接してもいないのにそんな風に親しげに呼ぶものだろうか??


(……だめだ……考えれば考えるほど、あの人のことが全然わかんない……)


 結局いくら考えても分かるはずが無いことばかりで、いつしか悩むのにも疲れた宗春はがっくり肩を落とす。気がつけば周りは更に暗くなっていて、そう言えば自分は迷子になっていたのだと今更のように思い出し、急に襲ってきた不安にギュッと胸が締め付けられるような気持ちがした--そのとき、


「えーと、清水宗春くん……ですよね?」


 ふわりとした優しい声がして、慌ててそちらを振り向くと、そこには白い衣に緋色の袴という「巫女さん」の格好をした一人の女の人が立っていた。


「あっ……は、はい。僕が清水宗春です」


「ああ、良かった~ちゃんと会えて! ごめんなさい、ずいぶん待たせちゃいましたよね? ちょっと神社の仕事が手間取っちゃったもので……」


 そのままの格好で来ちゃいました、と言ってタハハと苦笑する巫女服の女性。


 ということは、この人が迎えに来てくれるはずだった人らしい。年齢は20歳前後だろうか? 優しそうな雰囲気は大人びているが、でも顔立ちにはまだまだ幼さもある。とはいえ、宗春からみれば明らかに「お姉さん」だ。


(うわぁ、綺麗な人だなぁ……)


 正確には「可愛い」(それもすごく!)と言うべきだけど、年上だし「可愛い」は失礼かな……とドギマギしていた宗春の前で、お姉さんな巫女さんはひとしきりペコペコ謝り終えると、「じゃあ改めまして」とニッコリ笑って自己紹介した。


「私の名前は宮島楓楽みやじまふうら。この学園の敷地にある三ツ矢神社の巫女さんと、これからあなたが暮らす『宿坊』の管理人をしています。それじゃあ、時間も遅くなっちゃいましたし、さっそく宗春君を宿坊にご案内しちゃいますね☆」

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


次回予告!


怪異&赤バニーとの遭遇を終え、宿坊へと辿り着いた宗春を待ち受ける個性豊かな「同居人」たち! 果たして宗春は無事に「歓迎会」を終えることができるのか!?


次回『学園戦兎トリプルバニー!』第2話「ようこそ、宿坊へ!ドッキドキの歓迎会☆」に続く!

ということで第1話はこれで終了デス。最後までお読みいただきありがとうございました☆


……と見せて、実は第1話にはまだ続きがあるのですが、内容が内容なため「小説家になろう」ではとても掲載できません!運営さんに怒られちゃう!!(><)


ということでこの続きとなる「その3.5」は「ノクターンノベルズ」の『学園戦兎トリプルバニー!The Nocturne』に掲載します!

挿絵(By みてみん)

タイトルは「あかり、発情の呪い」。4/10(日)に掲載予定です。ぜひ続けてお読みください☆

https://novel18.syosetu.com/n5781ho/

(というか「ノクタ版とセットで1つの作品」ですのでご了承くださいませm(_ _)m)


※なお本編第2話の掲載は現在未定ですが、できるだけ近いうちにお届けします!、


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