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学園戦兎トリプルバニー!~えっちな怪異は許さない!バニー戦士の三人娘は「ピンチ」に負けず魔を祓う~  作者: 優パパ★&タマネギーニョ
第6話「VS《縄の怪異》! 僕は…あかりさんの力になりたい!」
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その9「改めて清水宗春は強く決意する」

《縄の怪異》との戦い、これにて決着デス!

(お話的にはもう1話あるけど)

その9「改めて清水宗春は強く決意する」


--しっかし、《バニー・ノンエア・ウェーブ》って、相変わらずあやつの技名はド直訳じゃのう。しかもアレ、千年の歴史に敗北の二字が無かったりする流派の技じゃん。『女子高生の私が「陸〇」の名を継いじゃいました☆』的なスピンオフかよって。


 あかりVS怪異の決着を見届けた後、何やらマニアックなツッコみを入れていた玉神に向け、それまで何やら考え込む様子だった宗春が問いかけた。


(……玉神様ですよね? あかりさんに《縄の怪異》のことを色々教えたの)


--ん~何のことかなぁ~☆


 ペコちゃん顔になって誤魔化そうとする玉神であったが、別に本気でしらばっくれるつもりはないらしく、むしろチラチラと聞いて欲しそうなアピールをしてくる。正直イラッとするが、でも今は疑問の解消が先だ。


(弱点を伝えるのは分かりますけど、でもどうして他の情報まで?)


 そう、そこが疑問なのだ。いつの間にか自分も共有していることを踏まえると、やり方的にはおそらく先ほどの…………で《神気》を流し込んだ時に、一緒に情報も伝えたのだろう。どさくさ紛れに「玉神がしたこと」を思い出せばモヤモヤするが、まぁそれはさておき、別にあの怪異の正体が「ずっと学園で使われていた縄」であることまで伝える必要は無かったはずだ。むしろ、そんなこと知ったら何だか倒しづらいし。


--なーに、ただの「付喪神」もどきと、大いなる「神性」に目覚めた吾輩ちゃんとは比較にならぬにせよ、吾輩も元は人に祭られるための「道具」であったわけだし、何だかちょ~っとだけ親近感がわいてな。


 ……「ちょっとだけ」というより「大分深くわかり合ってた」気もするし(主に「性癖」方面で)、それは逆に言えば、玉神の抱える「欲望」の方があの怪異よりも桁違いに大きいってことだよね!? と、色々ツッコみたいところだが、まだ玉神の回答は終わっていないから我慢!


--それ故、慈悲深い吾輩ちゃんとしては、あやつがただの《怪異》として倒されるのが少し不憫だったのよ。それに……


(それに?)


 思わず問い返した宗春に、玉神は続ける。


--碧衣ならともかく、あかりはそういうのを「ちゃんと知っておきたい」ヤツだろ? 

 

(あっ……)


 正直、玉神がそんなことを言うとは意外だったが、でもその言葉はすとんと胸に落ちて、宗春は思わず嘆息する。


 そうだ、あかりさんはそういう人だ。もしもあの怪異を倒した後でその正体を知ったら、きっとあかりさんは後悔する。倒してしまったことにではなく、怪異になるに至ったその歪みに、自分がキチンと向き合わなかったことに……


 でも、同時にそれはつらいことだ。碧衣さんなら「は? それが何か?」とバッサリだろうし、キイロさんもあっけらかんと「悪は成敗デース!」と言うだろう。でもあかりさんはちゃんと向き合い、結果、傷つく。そして一人で背負い込むのだ。誠実ではあるけど、何て不器用なあり方だろうか。


 でも、そんな誠実で、不器用な人だからこそ、僕は--


 改めてあかりへの想いを噛みしめる宗春であったが、でもそれを玉神に再認識させられたのは何だかちょっと悔しい気がして、いかにも「いいこと言っただろ?」的な顔の玉神に向かい、フッと笑ってツッコミを入れる。


(ただの「エロ岩石」かと思ったら、たまにはちゃんとしたことを言うんですね)


--いや前半分余計じゃね!? てか、広島ゆかりネタとはいえ「〇岩石」みたいな呼び方やめて! 吾輩、ヒッチハイクでユ〇ラシア大陸横断とかしないからね!? 


(ごめんなさい。僕、岡山人なので、ちょっと何言ってるのかわかんないです)


--ムキー! 「県民の星」に向かってなんてことを! てか、有〇の方はまだバリバリ現役ではないか! 森〇だって地道にがんばってるんだぞ!


 と、ヒートする玉神は無視して、宗春はあかりへと意識を向ける。すでに怪異は跡形もなく消滅していたが、あかりは着地した状態のまま、何も無い空間を前に立ち尽くしていた。


「あかりさん!」


 ぽつねんとした背中に呼びかけると、あかりはそれでも笑顔を浮かべて振り返る。そのどこか憂いの残った笑顔に向けて、宗春はすぅ……と深呼吸すると、精一杯大きな声で続けた。


「今日の入学式のスピーチ……すごくカッコ良かったです!」


「え……?」


 思わぬ方向からの賛辞を受けて、嬉しくは感じながらも戸惑う様子のあかりに、緊張に心臓をバクバクさせながらも宗春は続ける。


「高校に入学したばかりで不安な僕たちに、あかりさんは大きな夢を持とうと呼びかけてくれました。大きな夢を目指すからこそ、人は大きく成長できる。だからこの学園で力を合わせて共にがんばろう、って」


「…………」


「僕はまだまだへなちょこで、弱っちくて、全然ダメなヤツだけど、でもいつか絶対にあかりさんの役に立てるような……頼りがいのある男になってみせます! それが僕の、この学園で、あかりさんと一緒にかなえたい夢です!」


「は……春くん……」


 ぶつけられた宗春の熱い想いに、驚きと共に見開かれたあかりの瞳が、やがてうるっと涙でにじむ。


 そして二人は、そのままじっとお互いに見つめ合って……


「あー、お取り込み中悪いんだけどさぁ」


 と、冷やかな口調で割って入ったのは、教卓の後ろからぬっと顔をのぞかせた碧衣だ。


「そろそろ『この子たち』起きちゃいそうだけど、どうする?」


 しまった!? そう言えば浦上さんたちのことをすっかり忘れてた! ハッと気づいて慌てる宗春に、碧衣はフッと意地悪く笑って言い放つ。


「とりあえず記憶と写真は消しといたから、あとは適当にフォローしといて。だって、『役に立って』くれるんでしょ?」


「そ、そんな急に言われても!?」


 あまりの無茶ぶりに慌てふためく宗春は無視して、ピョン♪とあかりの横までジャンプした碧衣は、「じゃ、戻ろっか☆」とうながすと同時に、逃がさじとばかりに腕を組む。


「う……うん……」


 どうしたものかとあかりはハラハラするも、怪異が消えて結界も解けた今、これ以上ここにいるわけにいかないのも事実だ。教室の復旧は氏子さんたちに任せるとして、あの子たちが目を覚ましてややこしくなる前に、とにかくこの場から退散しないと……


 と、思ったところで碧衣の「手にした物」に気づいて、あかりはギョッと目を開く。


「って、碧衣、『その縄』何ッ!?」


「え、これ? あかりがさみしそうだから、『形見』に切れ端を何本か持って帰ろうと思って。大丈夫、すでに浄化ずみだし『使っても安心』よ☆」


「あ、安心どころか、嫌な予感しかしないんですけどぉぉぉぉ!?」 


 思わず悲鳴を上げるあかりだったが、しかし碧衣は聞いちゃあいない。そのままグイ!と腕ごとあかりを引っぱるようにしてジャンプすると、宗春にべーと舌を出しつつ割れた窓の外へと飛び出していく。碧衣みたいなクール系美人の「べー」って、何だかギャップがあって可愛いなぁ……とか言ってる場合じゃなくてッ!?


「ま、待って下さい、碧衣さぁぁぁん!」


 真っ青になって窓から叫んだものの、すでにあかりを連れた碧衣ははるか遠くで、宗春の声など届かない。がっくりとその場に膝をつき、改めて状況を再確認すべく恐る恐る後ろを振り返った宗春の目に映ったのは--


 無茶苦茶に机と椅子が荒らされた状態の教室(うち机数個と窓ガラス複数枚が破損)と、あちこちに散らばる縄の残骸と苦無、そして教卓の下で気を失ってるけど今にも目を覚ましそうな同級生の女の子が二人……って、


「こんな状況、どうしろって言うんですか~~!!」


 途方にくれた宗春の悲鳴が、2号館に木霊する。なお、当然のように玉神は、こういう時には助けるどころか全く反応さえ返さないぞ☆(多分ゲームに戻ってる)


 ……ということで、がんばれ、清水宗春! 君の学園生活は、まだまだ始まったばかりだ!

あかりの必殺技は、あかりがはまった格闘漫画が由来のものが多いのデスが、

今回はわかりやすかったんじゃないかなと(笑、直訳だし)


それでは次回で第6話ラストです。夏の終わりの8/31更新デス!

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